スタチンはがんのリスクを増加させる可能性

スタチンは多くの人に処方されてしまっています。しかし、スタチン治療とがんの関連はいくつも指摘されています。(ここ参照)

スタチンの中のシンバスタチンの試験では、2つの試験のそれぞれでは有意な関連ではありませんでしたが、2つを合わせて分析すると、皮膚がんが有意に増加していました。

プラバスタチンの試験ではプラセボ群では1人の患者、プラバスタチン群では12人の患者に乳がんが発生しました。

もう一つのプラバスタチンの試験でも4年間で新たながんの診断がプラセボよりも25%増加しました。

シンバスタチンとエゼチミブの試験でもがんのよる死亡がプラセボよりも67%増加しました。

今回の研究では47,294人日本人を対象としたスタチンを使った研究です。シンバスタチンでコレステロールを低下させると6年間でどうなったでしょうか?

上の図は6年間の間の冠動脈のイベントのリスクです。確かに、総コレステロール、LDLコレステロールが高いとリスクが高くなっています。中性脂肪の高値、HDLコレステロールの低値もリスクを増加させています。コレステロールの値が高いことそのものよりも、総コレステロールやLDLコレステロールが糖質過剰摂取にもかかわらず高いこと(さらにスタチンを使っても高いこと)は非常に高いインスリン抵抗性があるのかもしれません。

上の図は死亡リスクです。総コレステロールもLDLコレステロールもU字型になっていて、高値でも低値でも死亡リスクが高くなっています。HDLコレステロールは低値で死亡リスクが高くなっています。

上の図は死亡の原因と総コレステロール値別です。一番上の「Cardiac」というのは心臓ですので、総コレステロールが160未満でも6倍以上死亡リスクが増加しています。コレステロールは低ければ低いほど心臓に良いというのはウソですね。さて、問題は3つ目、「Malignancy」と書いてありますが、これはがんのことです。総コレステロールが160~179では1.85倍、160未満では3.16倍もがんによる死亡が増加しているのです。160未満での死亡の最も多い原因です。

以前の記事「LDLコレステロールが高いとがんのリスクは低下する」で書いたように、LDLコレステロール値が10mg/dL減少するごとにがんリスクはおよそ20%上昇する計算になります。

スタチンを飲んでいる人は、がんのリスクが高くなる可能性があることを知っていて飲んでいるのでしょうか?

「Large scale cohort study of the relationship between serum cholesterol concentration and coronary events with low-dose simvastatin therapy in Japanese patients with hypercholesterolemia」

「日本人の高コレステロール血症患者における低用量シンバスタチン療法による血清コレステロール濃度と冠動脈イベントとの関係に関する大規模コホート研究」(原文はここ

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