糖尿病の死亡リスクの増加に関連する食後高血糖および食後高中性脂肪

もともと2型糖尿病は糖質過剰症候群の代表ですので、死亡リスクは高いでしょう。糖質過剰摂取のままの場合、全原因死亡を予測する食後の血糖値や非空腹時の中性脂肪値はどれくらいなのでしょう?

今回の研究では、朝食後の2時間後の血糖値、非空腹時中性脂肪値を食後中性脂肪値と定義し、分析しました。食後2時間血糖値は最も低い方から126mg/dL未満、126~157、157~193、193~248、248以上の5つの群です。食後中性脂肪値は80未満、80~108、108~143、143~204、204以上の5つの群です。(図は原文より、表は原文より改変)

2時間後血糖値Q1 < 126Q2 126~157Q3 157~193Q4 193~248Q5 ≧248
HR (95% CI)10.97 (0.56–1.68)1.28 (0.74–2.21)1.01 (0.56 ~ 1.80)2.37 (1.26–4.47)
食後中性脂肪値Q1 < 80Q2 80~108Q3 108~143Q4 143~204Q5 ≧204
HR (95% CI)10.88 (0.57–1.35)1.01 (0.64 ~ 1.59)1.24 (0.78 ~ 1.98)1.63 (1.03–2.60)

上の表は朝食後2時間の血糖値と食後中性脂肪値による全原因死亡のリスクです。下の図はそのグラフです。

そうすると、2時間血糖値は248mg/dL以上で死亡リスクは2.37倍、食後中性脂肪値204mg/dL以上で1.63倍になっていました。この結果は薬物投与とは無関係でした。

食後血糖値の2時間値の248はかなり高いですが、2型糖尿病であれば薬なしで朝食に糖質50g以上摂っていれば超えそうな値です。薬を飲んでも糖質80gくらいなら十分に超えそうです。

中性脂肪値204は結構低めの印象です。糖尿病で通常に糖質過剰摂取のままであれば、多くの人は超えそうな値です。

いずれにしても、糖質制限をすれば、恐らく死亡リスクは下がると思われます。

 

「Thresholds for postprandial hyperglycemia and hypertriglyceridemia associated with increased mortality risk in type 2 diabetes patients: A real-world longitudinal study」

「2型糖尿病患者の死亡リスク増加と関連する食後高血糖および高中性脂肪血症の閾値:現実世界の縦断研究」(原文はここ

8 thoughts on “糖尿病の死亡リスクの増加に関連する食後高血糖および食後高中性脂肪

  1. いつも貴重なデータありがとうございます。
    個人的なことではありますが、起床後飲まず食わずで1時間ヨガをして血糖値測ると110~120の値が多いです。
    これは糖新生なのでしょうか?

    空腹時血糖は70~90程度です。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      ヨガは料理や洗濯程度の活動レベルなので、有酸素運動と呼べるかどうかわかりませんが、
      やはり何らかの活動をすると血糖値を上げようとして糖新生が起きているのではないかと思います。
      それに関する記事を近いうちに書きたいと思います。

    1. T.Mさん、コメントありがとうございます。

      ご質問の「アジア人にはあまり効果がないのですか?」は、何の何に対する効果かよくわからないので、何とも答えられませんが、
      提示された論文の結論は「高炭水化物の食事が心血管疾患ののリスクを高める可能性がある」というものです。
      しかし、これも食事アンケートのものなので質は低いです。

  2. 『トロント最高の医師が教える世界最有効の糖尿病対策』
    名前負けのしない、納得の本でした。

    とくにファスティングの効果に関して新しい知見が得られました。

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