コレステロール値が高いだけで多くの人はスタチンを飲まされています。コレステロール値が高いと本当に心血管疾患で死んでしまうのでしょうか?
今回の研究は日本で集団スクリーニング検査を受けた40〜69歳の健康な成人12,334人が対象です。平均追跡期間は11.9年でした。ちなみに総コレステロール値の基準値は150~219mg/dLです。(表は原文より改変)
総コレステロール値(mg/dL) | ||||
<160 | 160–200 | 200~240 | ≥240 | |
ハザード比(95% CI) | ||||
男性 | ||||
総死亡率 | ||||
多変量調整 | 1.38 (1.13–1.66) | 1 | 1.09 (0.88–1.34) | 1.21 (0.82–1.78) |
肝疾患による死亡を除く | ||||
多変量調整 | 1.27 (1.03–1.56) | 1 | 1.10 (0.89–1.36) | 1.25 (0.85–1.85) |
女性 | ||||
総死亡率 | ||||
多変量調整 | 1.42 (1.02–2.00) | 1 | 0.93 (0.73–1.17) | 0.93 (0.67–1.30) |
肝疾患による死亡を除く | ||||
多変量調整 | 1.40 (0.99–1.98) | 1 | 0.92 (0.72–1.17) | 0.93 (0.66–1.31) |
上の表は総コレステロール値による男女別の総死亡率です。男女ともに最もコレステロールが低いグループが、最も死亡率が高くなっています。総コレステロール値160–200mg/dLの人と比較して、160未満だと男性では1.38倍、女性では1.42倍です。
総コレステロール値(mg/dL) | ||||
<160 | 160–200 | 200–240 | ≥240 | |
ハザード比(95% CI) | ||||
男性 | ||||
脳卒中による死亡率 | ||||
多変量調整 | 1.21 (0.66–2.21) | 1 | 0.99 (0.53–1.82) | 0.98 (0.29–3.23) |
出血性脳卒中 | ||||
多変量調整 | 1.96 (0.80–4.79) | 1 | 0.68 (0.21–2.16) | 1.76 (0.38–8.09) |
虚血性脳卒中 | ||||
多変量調整 | 0.79 (0.30–2.04) | 1 | 1.55 (0.70–3.43) | 0.65 (0.19–2.23) |
心臓病による死亡率 | ||||
多変量調整 | 1.36 (0.76–2.46) | 1 | 1.04 (0.54–2.01) | 2.14 (0.81–5.65) |
心筋梗塞 | ||||
多変量調整 | 0.99 (0.40–2.46) | 1 | 0.86 (0.30–2.47) | 2.37 (0.52–10.83) |
心不全 | ||||
多変量調整 | 1.32 (0.36–4.79) | 1 | 1.59 (0.48–5.27) | 3.86 (0.76–19.58) |
がんによる死亡率 | ||||
多変量調整 | 1.66 (1.22–2.27) | 1 | 1.18 (0.85–1.66) | 1.07 (0.55–2.07) |
女性 | ||||
脳卒中による死亡率 | ||||
多変量調整 | 1.84 (0.71–4.76) | 1 | 1.29 (0.68–2.44) | 1.52 (0.66–3.48) |
出血性脳卒中 | ||||
多変量調整 | 3.86 (1.18–12.68) | 1 | 1.94 (0.77–4.89) | 2.15 (0.68–6.77) |
虚血性脳卒中 | ||||
多変量調整 | 0.57 (0.07–4.54) | 1 | 0.90 (0.37–2.19) | 1.17 (0.36–3.85) |
心臓病による死亡率 | ||||
多変量調整 | 1.34 (0.54–3.35) | 1 | 0.78 (0.42–1.42) | 0.39 (0.11–1.30) |
心筋梗塞 | ||||
多変量調整 | 1.07 (0.30–3.79) | 1 | 0.38 (0.11–1.34) | 0.52 (0.18–1.46) |
心不全 | ||||
多変量調整 | 5.79 (1.07–31.27) | 1 | 0.72 (0.12–4.28) | 2.33 (0.37–14.66) |
がんによる死亡率 | ||||
多変量調整 | 1.44 (0.83–2.49) | 1 | 1.07 (0.72–1.59) | 1.58 (0.97–2.56) |
上の表は死因別の総コレステロールと死亡率の関係です。コレステロールが高いと血管が詰まって死んでしまうと脅されるのですから、さぞかし低コレステロールだと虚血性脳卒中や心筋梗塞の死亡率は低いのでしょうね?では見てみましょう。総コレステロール値160–200mg/dLの人と比較して160未満だと、男性では、虚血性脳卒中は0.79ですが有意ではありません。心筋梗塞も1.07で全く死亡率を下げません。逆に240以上の高コレステロールだと、虚血性脳卒中は0.65(有意差なし)です。心筋梗塞は2.37でしたがこれも有意差なしでした。コレステロールが血管を詰まらせるというのはウソだということですね。
逆に低コレステロールで有意に死亡率を上げる疾患がありました。がんです。男性のがん死亡率は総コレステロールが160未満だと1.66倍でした。
女性を見てみましょう。総コレステロール値160–200mg/dLの人と比較して160未満だと、虚血性脳卒中は057ですが有意ではありません。心筋梗塞も0.99で全く死亡率を下げません。逆に240以上の高コレステロールだと、虚血性脳卒中は1.17(有意差なし)です。心筋梗塞は0.52でしたがこれも有意差なしでした。女性でもコレステロールが血管を詰まらせるというのはウソだということですね。女性では閉経後にコレステロールが高くなりますが、無駄にコレステロールを下げられているのでしょう。
女性でも逆に低コレステロールで有意に死亡率を上げる疾患がありました。出血性脳卒中死亡率は総コレステロールが160未満だとなんと3.86倍でした。そして心不全ではなんと5.79倍でした。
高コレステロールが死亡率を上げる危険因子でないばかりか、低コレステロールの方が死亡率を上げてしまうことがわかります。
でも医師はこのことを認めてしまうと、大事な顧客が激減します。ずっと薬をもらいに来てくれる患者を手放さないように、ウソで脅し続けるしかありません。
心血管疾患は糖質過剰症候群です。糖質制限で高血糖や高インスリン血症、インスリン抵抗性を回避しましょう。
「Low cholesterol is associated with mortality from stroke, heart disease, and cancer: the Jichi Medical School Cohort Study」
「低コレステロールは脳卒中、心臓病、がんによる死亡率と関連している:自治医科大学コホート研究」(原文はここ)
パラダイムシフトは
起きるのでしょうか?
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
起きません