いまだに卵は1日1個までしか食べてはダメだと思っている人がいます。医師の中にもそのように推奨している人もいるでしょう。それは卵には大量のコレステロールが入っているからだと思いますが、レスポンダーもいますが、多くの人は卵をいくら食べても血中のコレステロールは変化しません。
今回の研究では1日3個の卵と軽く糖質を制限をした食事をした場合について分析しています。対象はメタボの37人(⼥性25人、男性12人)で平均年齢51.9歳、平均BMIは30.4 です。1日全卵を3個食べるグループ(EGG)と卵に似せた卵代替品(SUB)を食べるグループに分けました。卵製品は液体として与えられ、粘度も⾊も同等なので、参加者は本物の卵か偽物の卵かは知りません。そしてどちらのグループも12週間、適度な炭⽔化物制限⾷(エネルギーの25〜30%を炭⽔化物、25%〜30%タンパク質、45%〜50%脂質)に従うよう求められました 。ただしエネルギー制限は求められていませんが、自然と自己申告のエネルギー摂取量は24%減少しました。
12週間の介入時の炭水化物摂取割合は40.9%から28.3%に、炭水化物摂取量は211.9gから114.5gに減少しました。脂質とタンパク質の摂取量はベースラインと変化がありませんでしたが、炭水化物が減った分エネルギー摂取量に対する割合はどちらも増加しました。
コレステロール摂取量は当然EGG群で増加し1日359.9gから740.8gに倍増しました。一方SUB群は344.9gから213.4gと38%減少しました。(図は原文より)
上の図は血中の脂質、インスリン抵抗性などの推移です。総コレステロール、LDLコレステロールともに12週間でどちらの群も変化なしです。HDLコレステロールはどちらも増加しましたが、EGG群の方が大きな増加です。中性脂肪もEGG群で大きな減少でした。メタボの指標がEGG群では改善したことになります。当然中性脂肪/HDLコレステロール比も改善し、EGG群で3.2から1.9へ、SUB群では3.4から2.4へ低下しました。
インスリン値、インスリン抵抗性のHOMA-IRもEGG群で減少です。
上の図はVLDLとLDLの変化です。VLDLは両群で12週間後にサイズが小さくなりました。サイズの変化は中性脂肪が低下するほど小さくなっています。インスリン抵抗性があるとVLDLが大きくなり、その後の小さな危険なLDLの元になります。だからVLDLが小さくなることは良いことです。
LDLはEGG群で有意にサイズが大きくなりました。サイズの変化は中性脂肪/HDLコレステロール比が低下するほど大きくなっています。LDLは大きなフワフワした方が質の良いLDLです。
上の図のようにHDLサイズは12週間後にEGG群で有意に大きくなりました。HDLのサイズはHDLコレステロールが増加するほど大きくなっています。
上の図はVLDLの変化の推移です。EGG群では全体的にVLDLは減少し、中等度の大きさのVLDLも減少しています。逆にSUB群では中等度のVLDLが増加しています。
上の図はLDLの変化の推移です。全LDLは有意な変化はありませんでしたが、EGG群では大きなLDLが増加し、中等度と小さなLDLは減少しました。
酸化LDLはどちらの群でも減少しましたが、SUB群の方が大きく減少していますね。
上の左の図は小さいLDLと中等度のLDLの変化と酸化LDLの変化の関連を示しています。小と中のLDLが減少するほど酸化LDLも減少します。右の図はLCATの活性です。不要となったコレステロールをHDLに載せて肝臓に送り込むために必要な酵素です。EGG群ではLCATの活性が増加しています。
上の図のようにHDLは大きなHDLがEGG群で増加しています。
上の図はアポリポタンパクですが多くのアポリポタンパクは減少しています。中性脂肪に富む大きなVLDLが低下しているのでApoC-Ⅲが大きく減少しています。
軽い糖質の制限をしていますが、卵3個を食べた方が全体的に大きな改善が認められています。
一般的な医学ではメタボリックシンドロームはアテローム性動脈硬化症のリスクを大きく上げると考えられています。そしてそのアテローム性動脈硬化の原因はコレステロールだとされています。
しかし、非常に多くのコレステロールを含む卵を1日3個摂取することはメタボを大きく改善しています。もちろん軽い糖質制限による影響もありますが、SUB群よりも大きく改善しているのです。
つまり、卵は非常に健康的であるだけでなく、コレステロール摂取はメタボや動脈硬化の原因ではありません。
しっかりと糖質制限+卵摂取で健康になりましょう。
「Whole egg consumption improves lipoprotein profiles and insulin sensitivity to a greater extent than yolk-free egg substitute in individuals with metabolic syndrome」
「全卵摂取は、メタボリックシンドローム患者のリポタンパク質プロファイルとインスリン感受性を、卵黄を含まない代替卵よりも大幅に改善する」(原文はここ)
糖質たっぷりのご飯・麺類・パンなど
の方が身体に良くない事は明らか。
にも関わらず、
これほど卵摂取に悪評がまとわりつく
のは、ビーガンにも通じる
「動物を食べない」思想が
関係しているのでは?
と考えてしまいます。