ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源ではありませんが、もちろん重要なエネルギー源です。特にほとんどの人は糖質過剰摂取ですから、ケトン体が産生されるわけではないので、ブドウ糖が唯一のエネルギー源となってしまいます。
子供の場合、まだ成長段階であり、脳も成長しています。小児期には、脳は総エネルギーの最大65%を消費するともいわれています。その段階で糖質過剰摂取で脳のインスリン抵抗性が起きてしまうと非常に問題です。成人では、インスリン抵抗性と脳容積減少の関連が多くの研究で示されています。1 型糖尿病の小児では灰白質の成長に広範囲にわたる有害な影響を及ぼすことが示されています。
今回の研究では、9歳から17歳までの、薬物治療を受けていないうつ病および太りすぎの若者46人を対象としています。インスリン抵抗性(インスリン感受性)とMRIで測定した全脳容積との関係を調べました。
下の図は全脳容積とインスリン感受性の指標のMatsuda Index(松田指数)の相関関係を示しています。(図は原文より)
Matsuda Indexが低いほど、インスリン抵抗性が高いことを示します。全脳容積とMatsuda Indexは有意に関連していました。つまり、インスリン抵抗性が高い子供の脳は小さくなってしまっているのです。
中枢神経インスリンシグナル伝達は認知機能だけでなく感情調節にも影響を及ぼすという研究もあります。子供の脳のインスリン抵抗性は、子供のうつ病や不安と関連していると思われます。
脳のインスリン抵抗性が高くなれば、脳はさらにブドウ糖を求め、過食に向かわせてしまう可能性があり、そうするとさらにインスリン分泌がおこり、インスリン抵抗性は増加するでしょう。悪循環です。
子供の脳の成長の異常は、当然後から修正ができない可能性が高いでしょう。何でも好きなものを与えていては、その後の長い人生の中で、取り返しのつかないことが起きているかもしれません。
超加工食品やお菓子には、糖質や依存を招くような物質が多く含まれている可能性があるでしょう。企業はおもちゃなど子供にとって魅力的なおまけをつけて、子供を依存状態へと導きます。
食育は親の仕事です。できる限り、お菓子、超加工品やお惣菜などを避けて、子供を守りましょう。
「Insulin Resistance is Associated with Smaller Brain Volumes in a Preliminary Study of Depressed and Obese Children」
「インスリン抵抗性は鬱病および肥満の子供の予備研究におけるより小さい脳の量と関連している」(原文はここ)
若者が「闇バイト」に安易に加担してしまうのも、結局は糖質過剰摂取等による
インスリン抵抗性の影響が大きいのでは?