気づいたら公開している記事が2,000を超えていました。丁度2,000の記事で気づかず、これが2,008番目の記事です。1,000ぐらいまでは何を書いてきたのかほとんど記憶していましたが、さすがに最近は昔何を書いたか忘れてしまい、時々同じ記事を書いてしまうこともあります。途中でだいたい気が付くのですが、もしかしたらすでにいくつかの記事は重複したものかもしれません。気づいた方は教えてください。
さて、昨年2022年に米国心臓協会(AHA)は、2010年に提示した心血管健康状態の評価指標「Life’s Simple 7」を改訂し、「Life’s Essential 8」を発表しました。日本語では「健康に必須の8項目」とでも訳すのでしょうか?なんかハリウッド映画のタイトルみたいで、「オーシャンズ11」のようでカッコいいですね。(?)「Life’s Simple 7」に「睡眠」の要素が加わりました。その他の7つは「食事」、「身体活動」、「ニコチン曝露」、「BMI」、「血中脂質」、「血糖値」、「血圧」です。
でも、根本的に考えれば、「食事」、「身体活動」、「ニコチン曝露」に集約されるはずです。「BMI」「血中脂質」「血糖値」「血圧」「睡眠」は食事によってほとんど決まるからです。
新たに加わった睡眠は非常に重要ですが、健康的な睡眠、質の良い睡眠を取ろうとして取れるものではありませんし、睡眠時間だけの問題でもありません。睡眠には食事が大きく影響します。
さて、Life’s Essential 8の中身は、あまりにもありきたりで、これまでの見解とほとんど変わりません。例えば食事に関しての彼らの推奨は、
「健康的な食事スタイルを構築するために、賢明な選択と交換を行ってください。カロリーに気をつけて、少しずつ食べましょう。
・野菜、果物、全粒穀物、豆、マメ科植物、ナッツ、植物性タンパク質、脂質の少ない動物性タンパク質、皮を取り除いた鶏肉、魚介類を楽しんでください 。
・加糖飲料、アルコール、ナトリウム、赤肉、加工肉、添加糖類や加工穀物食品などの精製炭水化物、全脂肪乳製品、高度に加工された食品、ココナッツやヤシなどの熱帯油を制限してください。
・トランス脂肪 や部分硬化油(一部の市販の焼き菓子や揚げ物に含まれる)は避けてください。」
です。
また、成功へのヒントの中に、「身体活動で使い切ったカロリー分だけを食べましょう。」と書かれています。そんなことできるかい!
睡眠の項目では、睡眠不足が様々な疾患のリスクを高める可能性があることが書かれています。間違ってはいませんが、原因と結果が逆のことも多く、疾患があるから、または疾患が起こるような食事をしているから睡眠不足であることも多いでしょう。
睡眠不足を解消するためのヒントは、ほとんどスマホに関してしか書かれていません。もちろんスマホは睡眠を妨害しますが、根本的な睡眠不足の原因ではありません。せっかく新たに加えた項目なのに、ほとんど意味がありません。
血圧や血糖値の項目の成功のヒントもバカげています。血圧では「賢く食べる、もっと体を動かす、体重を管理する、ニコチンを絶つ、よく眠る」
血糖値では「賢く食べる、もっと体を動かす、体重を管理する、ニコチンを絶つ」
結局、Life’s Essential 8の他の項目と同じことが書かれているだけです。わざわざ独立した項目にしている意味がありません。
さらに血中脂質の項目は、ほとんどコレステロールについてです。コレステロールのコントロールを成功させるヒントはもっとバカげています。「賢く食べる、もっと体を動かす、ニコチンを絶つ」以外に「あなたの摂っている脂質を知る」というのがあり、これまで通り飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えることを推奨しています。そして最後には「指示通りに薬を服用する」と書かれています。えー?結局薬を飲めって?具体的にスタチンの名前が書かれています。薬を飲んでいる時点で健康ではないので健康のために必須のことが薬では話になりません。
BMI、つまり体重管理についても見ていきましょう。成功へのヒントは次のようです。
「ポーションをコントロールする」つまり、実際に食べている量を見直せ、食べ過ぎだと言いたいのでしょう。
「アクティブになれ」つまり、より多くのカロリーを消費するために、より多くの運動と強度を追加しろ、ということです。それができない人がほとんどでしょうし、運動では体重管理はできません。
そして毎回出てくる「賢く食べる」というのがあり、最後は「助けを求める」となっています。自分でうまく体重を減らすことができない場合は、医療の専門家に相談してください、ということです。しかし、通常相談してもほとんど成功しません。彼らが言うことは、このLife’s Essential 8に書かれているようなありきたりのことをなぞって言うだけですから。それ以外の方法を彼らが提案できるとは思えません。
もちろん、多くのアメリカ人は酷い食事をしています。ここに書かれていることを実行すれば、それまでの生活、食事よりはかなりマシになるので、ある程度は様々な改善を認めるでしょう。しかし、根本的に糖質過剰摂取が無くならないと大きく改善し、健康を取り戻すことは難しいでしょう。
Life’s Essential 8に興味がある方はここからスコアを計算してください。(登録が必要です)ちなみに私のスコアは75点でした。当然問題になったのはコレステロールです。
どんなアルゴリズムで計算しているのかわかりませんが、大して参考にもなりません。
「Life’s Essential 8: Updating and Enhancing the American Heart Association’s Construct of Cardiovascular Health: A Presidential Advisory From the American Heart Association」
「Life’s Essential 8: 米国心臓協会の心臓血管の健康に関する概念の更新と強化: 米国心臓協会会長勧告」(原文はここ)
塩分や脂肪そしてコレステロール等への偏見、
㌍神話(摂取㌍〈消費㌍推奨)、
これらの「健康常識」は根強いですね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
メシの種ですから。