完全メシは完全に糖質過剰のジャンクフード

以前の記事「日清食品の完全栄養食プロジェクトは糖質過剰」で書いたように、カップヌードルの日清食品が完全栄養食プロジェクトというものをやろうとしています。そして、5月30日「完全メシ」シリーズ5品を発売しました。(ここ参照)これがこのプロジェクトの答えなのでしょうか?なんかもうちょっとまともなものが出てくると、ほんのわずか期待していましたが、やっぱりただの糖質過剰ジャンクフードでした。

その新発売の商品の1つ、「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」の中身を見てみましょう。

栄養成分表示(1食 (119g) 当たり)

熱量 471kcal
たんぱく質 20.9g
脂質 12.4g
飽和脂肪酸 2.8g
n-3系脂肪酸 0.8g
n-6系脂肪酸 4.0g
炭水化物 74.4g
糖質 63.3g
食物繊維 11.1g
食塩相当量 2.7g
ビタミンA 416μg
ビタミンD 13.8μg
ビタミンE 6.1mg
ビタミンK 83μg
ビタミンB1 1.2mg
ビタミンB2 0.7mg
ナイアシン 12mg
ビタミンB6 7.8mg
ビタミンB12 2.0μg
葉酸 139μg
パントテン酸 3.4mg
ビオチン 29μg
ビタミンC 72mg
カリウム 824mg
カルシウム 284mg
マグネシウム 178mg
リン 353mg
4.3mg
亜鉛 5.2mg
0.7mg
マンガン 1.6mg
ヨウ素 62μg
セレン 15μg
クロム 11μg
モリブデン 51μg

日本人の食事摂取基準を基準にして栄養素の量を設定しているので、栄養満点(?)です。糖質も63gです。

では、原材料名を見てみましょう。

ライス(米(国産)、食物繊維、コラーゲンペプチド、乳化油脂、食塩)、味付けの素(コラーゲンペプチド、植物油脂、オニオンパウダー、砂糖、トマトパウダー、乳等を主要原料とする食品、ドロマイト、小麦粉、香辛料、食塩、カレー粉、香味調味料、ココアパウダー、酵母)、味付豚ミンチ、フライドポテト、にんじん/カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、グルコン酸K、増粘剤(加工でん粉、増粘多糖類)、リン酸塩(Na)、トレハロース、塩化K、酸味料、乳化剤、香料、V.C、トリプトファン、酸化防止剤(V.E)、ナイアシン、ピロリン酸鉄、V.B6、甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、V.E、パントテン酸Ca、V.B1、香辛料抽出物、V.A、V.B2、くん液、葉酸、V.K、V.D、V.B12、(一部に小麦・卵・乳成分・牛肉・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む)

いわゆる3大栄養素だけでなく、その他必要な栄養素の基準値を満たすために、とにかく無理矢理詰め込んだ印象でしかありません。食品に入れさえすれば、それが全て吸収されて、人間の代謝に有益だと思っているのでしょうか?

ある栄養素の吸収を阻害する栄養素が色々わかっているのに、こんなに詰め込んだら、どうなるのか全く未知数ですね。ジャンクフードを食べて健康になると思っている人が大勢いるのでしょうか?ほとんどの人はジャンクフードはあまり健康に良くないことは知っているけど、手軽でお腹を満たすために許容して食べているのではないでしょうか?ジャンクフードに「完全な栄養」「健康」を求めている人がいるのかな?

しかし、こともあろうに、全国医療機関291施設の管理栄養士各1名に「忙しい日の食事の選択肢の1つとして完全メシを活用して欲しいと思いますか?」という質問をして、それに対して、 管理栄養士 91%が「はい」と回答したとしています。(ここ参照)いつもこのようなアンケートを見て思いますが、実際には異なる意図の質問をしていて、肯定的な答えが非常に多くなるように作られているのではないでしょうか?

でも、もしかしたら本当に病院で働く管理栄養士は、この商品を「栄養バランス」が良いから本気で推奨している可能性もあります。病院食を見たらその可能性は十分にあると思います。

ホームページでは、健康的にダイエットをしたい人には、1日2食を「完全メシ」に置き換えるのを推奨しています。怖!

糖質制限をしている人には無縁の商品でしょうが、こんなものを400円以上出して買う人がどれだけいるのでしょうか?

でも、プロジェクトは「完全栄養食」という言葉を使っていましたが、「完全メシ」とちょっとぼかした表現にしていますね。まあ、これを完全栄養食とは到底呼べないですからね。そこはどこかからストップがかかったのでしょうね。

14 thoughts on “完全メシは完全に糖質過剰のジャンクフード

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      古典栄養学しか信じていない、学ぼうとしない、栄養士に存在意義なんてあるのでしょうか?
      本当はこんなジャンクフードを推奨なんてしないのであれば、管理栄養士の方は企業に反論、抗議するべきでしょう。

  1. お値段だけ考えたら、いい食あたりでも普通に鶏もも肉や豚バラ肉が150グラムは食べられますし、卵なら2パックは買えますね。そのほうがいっそ健康な食生活です。

    1. omasicoさん、コメントありがとうございます。

      栄養素を詰め込めば健康な食事になるわけではありませんからね。

  2. ダイエットコーラと同じですね。
    これを飲んだらダイエットできるわけではなく(知り合いにそう思ってる者がいました)、飲まないほうが良いに決まってます。完全メシもこれさえ食べたら健康に生きていけるわけではないですね。
    どちらもそれまでの通常製品(完全ジャンクフード)に対して、少なくとも「多少はマシなのでは」と思わせるイメージ戦略的商品ですね。残念ながらジャンクフードの域を出てません。毎日これを食べて健康になれるなんて勘違いする人が出ないことを祈りたいです。

    1. 西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      動画を見ると、本当にイメージ戦略がすごいですが、出てきた商品はただの「カップヌードル」と同様の商品でした。
      カップヌードルならまだ安いので許せる部分がありますが、これは完全ジャンクフードなのに高すぎるので、
      恐らく売れないでしょう。

  3. 初めてスーパーで見かけた時に、そのインパクトからつい手にとって栄養・成分を見て「あー、いつもの日清だな」と思ってしまった製品です。
    ついでに、ある程度の添加物に目をつむったとしても、カレーメシに至ってはスクラロース、アセスルファムKという全く無用なものがいつも通り混入されています(思えばカップヌードルって通常のよりプロの方が更に添加物まみれなんですよね)。
    こんなのにホイホイと金で利用されるような栄養士にはお世話になりたいと思えませんが、
    少ないながらもしっかりと突っ込み入れてる人もいらっしゃるようですね。
    https://kanrieiyoshi-hanayo.com/3961/
    https://bodymake-blog.net/complete-meal/kanzen-meal/

    1. makiさん、コメントありがとうございます。

      管理栄養士のほとんどは古典栄養学しか学んでいませんから、糖質過剰摂取推奨派でしょう。
      もちろん金で釣られた人はいるかもしれませんが、栄養成分だけで本気で推奨している人もいるかもしれませんね。

  4. 一食分の栄養素が詰まってるらしいし多少高いけどたまに飲めば健康の足しになるかなくらいに思っていたのですが、ふと流石にこんだけ甘いのに糖質低いってある?と気になり調べこのサイトに辿り着きました。
    職場上ほぼ毎日のようにパンを食べるので家では甘いものをほとんど食べないのですが、まさか甘い菓子パンを普通に越える糖質だったとは・・・。
    何も考えず鵜呑みにするべきではありませんね。
    仮に栄養が取れてもこの糖質は許容出来ないのでもう買うことはないです。
    助かりました。

    1. 烏龍茶さん、コメントありがとうございます。

      本当にものすごい糖質量です。
      他の栄養素も入っていますが、摂れているか(吸収されているか)どうかはわかりません。

  5. 2年ほど前からこちらで学ばさせて頂いております。

    タンパク質20.9gに違和感を覚えたので製品ページを確認したところ、やはりというかコラーゲンペプチドがライスにも味付けの素とやらにも含まれていました。
    含有量はわかりませんが、記載が上位なのでそれなりに多く使われているのでしょう。

    おそらく、これを含めてのタンパク質総含有量なのではないでしょうか。
    コラーゲンペプチドもたしかにタンパク質ではありますが、御存知の通りアミノ酸スコアは0。
    この手法(?)は味の素の1食で8gのタンパク質を摂取できるという「たんぱく質がしっかり摂れる味噌汁シリーズ」でも見られます。
    https://direct.ajinomoto.co.jp/nutricare/miso_tofunegi/
    ※やましいことがあるわけでもないでしょうに(苦笑)デフォルトでは閉じてあるので「製品の原材料名等」プルダウンして御覧ください。

    原材料の筆頭なので、含有量も最も多いのでしょうね。
    ただ、こちらは”優良誤認と受け取られないよう”小さなフォントで「たんぱく質は主に魚コラーゲンペプチド由来」と表記されているので、一応予防線が敷かれています。

    以前から「大豆やホエイ+ゼラチン」のような増量法は一部のプロテインバーにはみられていましたが、ここまでアグレッシブになってくるとは…。

  6. 焚きつけるつもりまではありませんでしたが「大メーカーが類似の大胆な手法を取り始めたこと」に清水先生はどのように思われるのかと色々想像していました。
    しかし、思いのほかドライな御回答に萎みました。。。

    ネットというハードルの低さから安易にコミットしようとした一ファンの愚かさよ…
    これからは、元通りROM専として分析やレギュラーの方々との書簡を拝読するスタンスに戻ります。

  7. 「自分の健康に対する罪悪感」
    を誤魔化せるのかもしれません。

    でも現実はジャンクフード。

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