LDLコレステロールが低い方が本当に健康的であるのであれば、急性心筋梗塞時のLDLコレステロールが低い方が、その後の死亡率、心血管イベント発生などの予後も良さそうですよね?でも、以前の記事「LDLコレステロール高い方が心筋梗塞後の死亡率が低いのですが」「急性冠症候群のLDLコレステロールは低い方が死亡リスクが高まる」でも書いたように、実際には反対の結果が示されている研究がいくつもあります。
今回の研究は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受け、術前LDLコレステロール値が利用可能な急性心筋梗塞患者1,987人が対象です。患者はLDLコレステロール値に基づいて4つのグループ(LDLコレステロール<97、97-119、120-144、>144mg/dL)に分類されました。全原因死亡および5年以内の再発性心筋梗塞を含む主要心血管イベント(MACE)の発生率を評価しました。術前LDLコレステロール値というのが、心筋梗塞を起こす前なのか、起こした後なのかはよくわかりません。追跡期間中、455件(20.9%)のMACEが確認されました。(図は原文より)
上の図のように、最もLDLコレステロールが低いグループが、MACEの累積発生率が有意に高くなりました。LDLコレステロール値が最低のグループの患者は年齢が高く、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病の有病率が高かったのもあるでしょうが、リスク因子を調整後でもLDLコレステロール値が最低の群は、LDLコレステロール値が最高の群と比較して、MACEのリスクが1.52倍と有意に高くなりました。
つまり、心筋梗塞患者において、LDLコレステロール値が低いほどその後の転帰が悪くなるのです。LDLコレステロール値が低い患者は予後が悪く、より注意が必要です。
LDLコレステロールが低いと心血管疾患の予防効果があるとしたら、なぜ心筋梗塞後では予後が悪いのでしょうか?LDLコレステロール値が最も低いグループの患者は、年齢が高く、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病の有病率が高かったからでしょうか?そうだとしたら、逆に考えれば、LDLコレステロール値が低いことは、年齢や健康状態と相関しているのです。さらに、糖質摂取は通常、LDLコレステロールを低下させるので、LDLコレステロール値が低いことは糖質過剰摂取である可能性もあります。
全文は公開されていませんが、もし出てきたら、詳しく読んでみたいと思います。
心血管疾患は糖質過剰症候群です。まずは糖質制限をしましょう。
「Lower low-lipoprotein cholesterol level at the time of acute myocardial infarction is associated with increased cardiovascular events」
「急性心筋梗塞時の低リポタンパク質コレステロール値の低下は心血管イベントの増加と関連している」(原文はここ)