マイクロプラスチックおよびナノプラスチックは今や避けられないものとなっていますが、人体にとって重大な危険因子となっています。
今回の研究では、頸動脈プラークからマイクロプラスチックまたはナノプラスチックが検出されるかどうかで、その後の心血管疾患や死亡率についての違いを分析しています。対象患者は平均年齢72歳で、無症候性の70%超の内頸動脈狭窄を有し、頸動脈内膜剥離術を実施された257人です。平均33.7か月の追跡調査で、150人(58.4%)は切除した頸動脈プラーク中に検出可能な量のポリエチレンが認められ、そのうち31名(12.1%)は頸動脈プラーク中に測定可能な量のポリ塩化ビニルも認められた。プラーク中にこれらのマイクロプラスチックまたはナノプラスチックの証拠がある患者では、下の図のようにポリエチレンの平均値はプラーク1ミリグラムあたり21.7μg、ポリ塩化ビニルの平均値はプラーク1ミリグラムあたり5.2μgでした。(図は原文より)
下の図はプラークの電子顕微鏡画像です。
図Aは、矢印で示した粒子は、生きたマクロファージの内部と、プラークの外側にある非晶質物質内に検出されました。おそらく異物由来と考えられます。図Bは、同じ標本を走査型電子顕微鏡で撮影した画像です。非晶質プラーク物質内に分散したマクロファージ(矢印)と、プラーク内に確認された細い高反射物質の線で輪郭が描かれた低反射物質の小さな粒子(赤枠)が示されています。元素などの分析の結果からポリ塩化ビニルと考えられます。
上の図はプラークサンプル中の炎症マーカーを示しています。図のAからDは、インターロイキン-18、インターロイキン-1β、TNF-α、インターロイキン-6のそれぞれ存在量を示しています。オレンジ色のマイクロプラスチックが検出された患者の方が、どのマーカーも高くなっています。
図のE、F、Gは、プラーク内にマイクロプラスチックが認められる患者群とマイクロプラスチックが認められない患者群において、コラーゲン、CD3、CD68のそれぞれ存在量を示しています。CD3とCD68はリンパ球とマクロファージの浸潤の2つのマーカーです。
上の図はマイクロプラスチックの存在と心血管イベントとの関連性を示しています。複合アウトカム(非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞、または全死因死亡)の累積発生率を表しています。オレンジ色のプラーク中にマイクロプラスチックがある患者群は青色のプラーク中にマイクロプラスチックがない患者群と比較して、明らかに発生率が高くなっていて、リスクは4.53倍です。
マイクロプラスチックとナノプラスチックが検出された頸動脈プラークを有する患者は、検出されなかった患者と比較して、明らかに心筋梗塞、脳卒中、またはあらゆる原因による死亡の複合リスクが高くなりました
マイクロプラスチックやナノプラスチックはいくつかの研究で、摂取や吸入、皮膚への曝露を通じて体内に入り込み、細胞組織や臓器に作用することが示されており、母乳、尿、血液だけでなく、胎盤、肺、肝臓などでも見つかっています。飲食を通じて口にするものほとんどにマイクロプラスチックが含まれていると考えて間違いないでしょう。もちろん、空気中にもありますし、マスクをするとさらに大量にマイクロプラスチックを吸入してしまいます。(「マスクを今すぐ外そう! その2」参照)
医療で点滴を受けても血管内にマイクロプラスチックが注入されることになります。(「点滴をするとマイクロプラスチックが直接血管内に注入される」参照)
今後人類はどうなってしまうのでしょうか?
「Microplastics and Nanoplastics in Atheromas and Cardiovascular Events」
「アテロームおよび心血管イベントにおけるマイクロプラスチックとナノプラスチック」(原文はここ)