降圧剤の処方中止は心臓発作や脳卒中の入院と関連しない

日本高血圧学会は高齢者の血圧をもっと下げようとしています。(記事はここ

高血圧治療の目標値、75歳以上で「上130・下80未満」に…10引き下げで脳卒中などの予防に

 日本高血圧学会は25日、高血圧の治療で血圧を下げる際の目標値について、75歳以上で上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)をこれまでより10引き下げ、上130、下80未満に抑える新たな治療指針を発表した。75歳以上の場合、血圧の下げ過ぎによる転倒リスクなどから、目標値が高めに設定されていたが、血圧を下げることで、脳卒中などの予防効果が高いと判断した。

 同学会によると、国内には、約4300万人の高血圧患者がいるとされ、脳卒中や心筋梗塞など脳や心臓の血管に生じる病気の原因となる。年間17万人が高血圧が要因の病気で死亡したと推計されるが、高血圧患者の4割強が未治療となっている。

 前回の指針では75歳未満の治療目標を上130、下80未満としていたが、新たな指針では75歳以上も一本化した。高血圧と診断する基準は、上140以上または下90以上で変更しない。

 同学会理事長の 苅尾七臣・自治医科大教授(循環器内科)は「最新の研究結果から、高齢者も血圧を下げることでのメリットが明らかになった。広く呼びかけ、適切な治療につなげたい」と話している。

高血圧の治療で血圧を下げる際の目標値について、75歳以上で上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)をこれまでより10引き下げ、上130、下80未満に抑える新たな治療指針を発表した。75歳以上の場合、血圧の下げ過ぎによる転倒リスクなどから、目標値が高めに設定されていたが、血圧を下げることで、脳卒中などの予防効果が高いと判断した。

怖い怖い!患者を増やしたいだけでしょうか?ポリファーマシーまっしぐらですね。誰が得するの?

日本では、介護の施設に入居する高齢者に対して、どれほどの医師が薬を減らそうとしているでしょうか?特に血圧の薬などは処方を減らせる人が大勢いるはずですが、実際には低血圧になるほどの薬を飲まされていることもあります。

今回の研究では、降圧薬の処方を中止した長期ケア入居者と降圧薬を継続している長期ケア入居者における心筋梗塞または脳卒中による入院の発生率を比較しています。アメリカ退役軍人省のコミュニティ生活センターに入院し、少なくとも1種類の降圧薬を服用している65歳以上の長期ケア入居者13,096人(男性97.4%、年齢中央値 77 歳)が対象で、そのうち降圧薬の処方が中止(減薬)されたのは17.8%でした。2年間の心筋梗塞または脳卒中の入院を分析しました。降圧薬中止および減薬のプロトコルはいろいろありますが、血圧に関しては収縮期血圧160mmHg未満です。降圧薬中止群の収縮期血圧と拡張期血圧の中央値はそれぞれ127mmHgと69mmHgで、中止しなかった群ではそれぞれ129mmHgと70mmHgでした。(図は原文より)

上の図は心筋梗塞または脳卒中による入院の発生を示しています。右の図のプロトコル準拠解析で、心筋梗塞または脳卒中による入院の累積発生率は、降圧薬の処方が中止された入居者と中止されなかった入居者で有意差なく、11.2%対8.8%でした。交絡因子などを完全に調整した後、降圧薬の処方中止による心筋梗塞または脳卒中による入院の発生リスクは0.93倍で、有意差なしでした。

以前の記事「高齢者の高血圧の治療は死を早めるかもしれない その1」「その2」で書いたように、多くの高齢者が、年齢とともに変化する状態に合わない、不適切な降圧薬を処方され続け、無駄に血圧を下げられ、死亡率や心血管疾患などのリスクが増加している可能性があります。認知機能も低下させられているかもしれません。

高齢者の薬は最低限にすべきです。必要がない薬を処方され、それに対する副作用でさらに薬を処方されている人も多いでしょう。

自分の薬、高齢の親の薬を見直してみましょう。

「Antihypertensive Deprescribing and Cardiovascular Events Among Long-Term Care Residents」

「長期ケア入居者における降圧薬減量と心血管イベント」(原文はここ

4 thoughts on “降圧剤の処方中止は心臓発作や脳卒中の入院と関連しない

  1. ポリファーマシー、
    怖いですが無くなりませんね。

    誰かの利益になっているのでしょうね。
    処方される側の利益なら何の文句もありませんが、

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      循環器は薬多いですからね。ポリファーマシーしないと彼らは治療できません。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      食事を変えるという選択肢を示さず、ポリファーマシーに導きます。

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