加齢黄斑変性症(AMD)は、高齢者における不可逆的な視力低下、失明の主な原因です。滲出型と萎縮型(非滲出型)がありますが、重度の視力喪失の90%は新生血管を伴う滲出型が原因です。
AMDは確かに病名に「加齢」とあるので、加齢からくる要因もあるでしょう。しかし、恐らくAMDは糖質過剰症候群です。
あるメタボリックシンドロームとAMDの関連を調べた研究では、70歳以下の人において、メタボは後期AMD(進行した加齢黄斑変性症)と有意に関連し、後期AMDの可能性は2.16倍でした。さらに、メタボの5つの構成要素のうち、BMIは30以上で2.22倍、高血糖で3.12倍、高中性脂肪で2.06倍でした。
糖尿病と加齢黄斑変性のリスクについて24の研究を分析したメタアナリシスを見てみましょう。7件のコホート研究において、糖尿病はAMDの危険因子であり、AMD発症の可能性は1.05倍でしかありませんでした9件の横断研究の結果では、糖尿病ではAMD発症の可能性は1.21倍、特に後期AMDは1.48倍でした。11件の症例対照研究においても、AMD発症の可能性は1.29倍で、後期AMDは1.16倍でした、95%信頼区間1.11-1.21)に同様の関連性が認められました。滲出型AMDでは、コホート研究で1.10倍、横断研究で1.48倍、症例対照研究で1.15倍でした。
メカニズムは完全には解明されていませんが、糖質過剰摂取で起こる高血糖やインスリン抵抗性などによる、酸化ストレスの増加、終末糖化産物(AGEs)の蓄積、炎症、増殖因子の増加などが大きく関係していると思います。
ある研究(ここ参照)では、滲出性AMD患者の血中では対照群と比較して脂質過酸化の指標としてのマロンジアルデヒド(MDA)、タンパク質酸化のマーカーとしてのタンパク質カルボニル(PC)、酸化DNA損傷の指標としての8-ヒドロキシ-29-デオキシグアノシン(8-OHdG)、 総酸化状態(TOS)が有意に高く、総抗酸化能(TAC) のレベルが低くなっていました。
インスリン感受性を改善するメトホルミンの使用は、AMD発症の可能性を大きく低下させると言われています。(ここ参照)
糖化ストレスも酸化ストレスも糖質過剰摂取によって起こります。
ちなみに、以前の記事「糖尿病薬?やせ薬?GLP-1受容体作動薬の副作用 その13 加齢黄斑変性症」で書いたように、糖尿病の薬のGLP-1受容体作動薬の副作用には加齢黄斑変性症があるのでお気をつけて。
目を守るためにも糖質制限ですね。
「Diabetes mellitus and risk of age-related macular degeneration: a systematic review and meta-analysis」
「糖尿病と加齢黄斑変性のリスク:系統的レビューとメタアナリシス」(原文はここ)
加齢黄斑変性症は、罹りたくない疾患
個人的ランキング上位です。
糖質制限してる者としては、
今回の記事には安心感持てました
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
個人的には私はランキングはありません。
死ぬまで健康でいられるようにしたいですね。