Lp(a)に対する食事や運動などの影響

専門家、医療側の主張からすれば、リポタンパク質(a)(Lp(a))の上昇は、心血管疾患の原因またはリスク因子です。それが正しいとすれば、Lp(a)は低い方が良いはずです。

Lp(a)が低い方が良いのであれば、Lp(a)を下げるような因子は、心血管疾患に対して保護的だと考えられ、Lp(a)を上げるような因子は健康に有害なはずです。

では、食事の影響を見てみましょう。

まずは私自身の人体実験から。5日間連続で高脂肪食を食べる人体実験を行いました。通常の食事に、目標は脂質をプラス200g前後、エネルギー量はいつもの2倍でした。(「5日間の高脂肪高エネルギー食負荷試験(人体実験) その1」「その2」など参照)

上の図のように、私のLp(a)はベースライン時では24.5あったのですが、高脂肪食を食べ始めてどんどん低下し、5日後には9.2まで低下しました。

ということは、高脂肪食は心血管疾患にとっては非常に良い食事だということになります。

ある研究(ここ参照、図もここより)では、平均的なアメリカ人の食事(総脂質 37%: 飽和脂肪酸16%)から、高血圧を予防するための食事療法(DASH食)に類似した食事(総脂質 25%: 飽和脂肪酸 6%)へ変更すると、下の図のように、LDLコレステロールは低下したにも関わらず、Lp(a)は24%増加しました。

 

また、他の研究(ここ参照)でも、飽和脂肪酸が総カロリーの15%から6%に減少するにつれて、Lp(a)値は約15%増加しました。

別の研究(ここ参照)でも、平均的なアメリカ人の食事(エネルギーの36%が脂質由来)を、飽和脂肪酸由来のエネルギーの7%を炭水化物または一価不飽和脂肪酸に置き換えた2種類の食事でも、Lp(a)レベルがそれぞれ20%と11%上昇しました。

ケトン食を摂っている、トライアスロンをしている55歳の男性医師、n=1の研究(ここ参照)では、地中海式ダイエットを実践し、1日200~250gの炭水化物を摂取しながら、週7~10時間の運動をし、スタチンを飲んでいた頃のLp(a)の最大値は108 mg/dLでした。その後、ケトジェニックダイエット(炭水化物量50~80g、総エネルギーに対する炭水化物の割合<10%)を始め、Lp(a)を再測定したところ、65~70 mg/dLまで低下しました。再度、高炭水化物・低脂肪(HCLF)食に切り替え、1日平均400g以上の炭水化物を摂取したところ、14日後には95および101 mg/dLに上昇しました。ケトン食に戻ったところ、Lp(a)は2週間後に80 mg/dL、3週間後に74 mg/dLに再び低下しました。

面白いですね。飽和脂肪酸の増加はLp(a)の減少と関連しています。飽和脂肪酸は有害であるので、摂取量を減らすという現在の推奨が、逆に有害なLp(a)を増加させてしまっていたのですから。

運動はどうでしょうか?

活動性の低い20人、ボディビルダー20人、長距離走、持久走のアスリート20人を対象とした研究(ここ参照)では、Lp(a)はそれぞれ、活動性の低い人で24mg/dL、ボディビルダーで40mg/dL、ランナーで52mg/dLでした。活動性の低い人の方がLp(a)が低いなんて…

もう一つ(ここ参照)見てみましょう。運動不足の男性21人と女性15人が、9か月間、週3~4回のトレーニングを徐々に強度を上げて行いました。24週間後、全員が15kmのレースを走り、36週間後にはハーフマラソン(21km)を走りました。トレーニングプログラム前、両レースの5日前、ハーフマラソン走行の5日後にLp(a)を測定しました。

男性グループのトレーニング前の値の中央値は3.2mg/dL、女性グループでは6.5mg/dLでした。24週間のトレーニング後、

トレーニング24週間後、Lp(a)濃度は上昇し、男性群の中央値は3.7mg/dL、女性群は6.7mg/dLでした。トレーニング36週間後、ハーフマラソン競技5日前のLp(a)の中央値は、男性群が6.0mg/dL、女性群が10.8mg/dLでした。さらに、ハーフマラソン大会5日後もまだ高値でした。

トレーニング36週間後では、21.5→59.9mg/dL、19.3→45.0mg/dL、10.4→27.0mg/dL、10.2→24.9mg/dL、13.0→51.9mg/dLなど大きな増加を示す人もいました。

ハーフマラソン程度の持久走は非常に健康的だと思いますが、Lp(a)が大きく増加してしまうこともあります。本当にLp(a)は超悪玉なんでしょうか?そもそもLp(a)測定に意味があるのでしょうか?

食事や運動以外でも、ホルモンや疾患の影響を受けるようです。そうであるならば、本当にLp(a)値は90%が遺伝的に決まっているのでしょうか?

本当にLp(a)が低い方が良いのであれば、ケトン食や飽和脂肪酸をたっぷり食べるように推奨すべきです。そうすると、LDLコレステロール値の推奨と両立ができなくなるジレンマがあるのでしょう。そして、LDLコレステロールもLp(a)も薬で下げましょう、となってしまうのです。

医療の推奨は、医療側にとって都合の良いようにできています。

「Non-genetic influences on lipoprotein(a) concentrations」

「リポタンパク質(a)濃度に対する非遺伝的影響」(原文はここ

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