慢性的な痛みを抱える人の3人に2人が、痛みを和らげるために食べている

慢性疼痛のある人では、甘いものを食べると、一時的に痛みが低下するような錯覚を覚えるかもしれません。しかし、実際にはそれが悪循環になると思います。慢性疼痛のある人は疼痛に対する反応として慰めの食事を摂っているようです。

今回の研究では、141人(平均年齢 41.40歳、範囲 20~78歳、101人(71.6%)が女性)の慢性疼痛のある人を対象として、Pain-induced comfort eating(疼痛誘発性慰め食) (PICE)の役割と機能を調査しました。平均BMIは28.98、31.2%がBMI正常範囲、37.6%が過体重、29.8%が肥満、1.4%が低体重でした。17%が疼痛のために失業していると回答し、61.7%が配偶者またはパートナーと同居していると回答しました。慢性疼痛の平均持続期間は7.8年でした。

70.1%が、少なくとも月に1回、痛みに対処する方法として食べ物を使用していると報告しました。さらに、64.2%が2週間に1回以上PICEを行っていると報告しました。3分の2以上(69.4%)が、痛みが急に悪化したときに普段よりも多く食べると報告し、4分の3以上(82.1%)が、痛みが急に悪化したときに気分を良くするために好きな食べ物をより多く食べると報告しました。(表は原文より改変)

%
自分に楽しい経験を与える51.8
気を紛らわす49.6
感情を抑える39.0
自分がコントロールできることをする28.4
痛みがあることを忘れる27.7
痛みを軽減する24.1
どれもそうではない。痛みがあるときは食べる量を減らす傾向がある18.4
無感覚になる15.6
どれもそうではない。痛みがあるときはいつも通り食べる傾向がある11.3

上の表はPICEを行う理由です。最も多かったのは、楽しい経験を提供するための食事(51.8%)、気分を紛らわすため(49.6%)、感情を抑える方法として(39%)でした。

実際には何を食べるかは書かれていません。様々な研究では、過食、特にエネルギーの高いものや、甘いものを食べることなどが示されています。食事は快楽であり、報酬です。特に糖質は報酬系を強く刺激します。そして恐らく甘いものはネガティブな感情を軽減してくれるでしょう。しかし、それは一瞬でしょう。

痛みの強いときに慰めの食事をすることを否定するわけではありませんが、それにより高血糖、肥満をもたらすと、慢性炎症を引き起こし、逆効果、悪循環になってしまいます。そしてそれは脳にも波及し、さらに負の感情を起こす可能性が高くなるでしょう。慰めの食事は快感を与えるだけでなく、疼痛の激増から気をそらし、感情を和らげる役割を果たしている可能性があることは理解できます。しかし、根本原因の一つはその誤った食事であることを考えなければなりません。

慢性的な痛みを抱えて生きる人が短期的な解決策に誘惑されてしまうことはある意味仕方がないですが、もっと毎回の食事の重要性への認識は必要でしょう。

「Eating to Feel Better: The Role of Comfort Eating in Chronic Pain」

「気分を良くするための食事:慢性疼痛における慰めの食事の役割」(原文はここ

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