心血管・腎臓・代謝症候群と死亡率の関連性

2023年からアメリカ心臓協会は心血管・腎・代謝(CKM)症候群というものを提唱しました。代謝、腎機能、心血管機能の障害間の相互作用を強調するものです。つまり、心血管疾患も腎機能障害も代謝障害と強く結びついていると認めているのです。その考え方は非常に良いと思います。糖質過剰症候群の一部の考え方と同様です。

CKM症候群にはステージ分類があります。慢性腎臓病(CKD)はCKDの原因、糸球体濾過率、アルブミン尿という3つの主要なパラメータに基づいて分類されますが、詳細は割愛します。

CKMステージ0:BMIが25未満(アジア人の場合は23未満)、正常な腹囲(アジア人女性は80 cm未満、男性は90 cm未満、その他の民族:女性は88 cm未満、男性は102 cm未満)であり、高血圧、高中性脂肪血症(135 mg/dL未満)、メタボリックシンドローム、糖尿病予備軍、糖尿病、またはCKDなどの代謝リスク因子がない人

CKMステージ1:BMIの上昇(アジア人の場合は23以上、その他の民族の場合は25超)、腹囲の増加(アジア人女性の場合は80 cm以上、アジア人男性の場合は90 cm以上、その他の民族の女性および男性の場合は88 cm以上および102 cm以上)、または糖尿病予備群の存在(HbA1cが5.7%~6.4%または空腹時血糖値が100~126 mg/dL未満)

CKMステージ2:代謝リスク因子または中等度から高リスクのCKDを有する人。代謝リスク因子には、空腹時中性脂肪値の上昇(135 mg/dL以上)、高血圧、糖尿病、またはメタボリックシンドローム(以下の項目のうち少なくとも3つを満たすものと定義される:腹囲の増加、低HDLコレステロール値(男性は40 mg/dL未満、女性は50 mg/dL未満)、中性脂肪値150 mg/dL以上、高血圧(130/80 mm Hg以上または降圧薬服用中)、または糖尿病予備群)が含まれる。CKDは、糸球体濾過率と尿中アルブミン/クレアチニン比によって分類される。

CKMステージ3:非常にリスクの高いCKD、または予測される10年間の心血管疾患リスクによって定義される。PREVENT方程式(基本モデル)(「30年間の心血管疾患リスクを推定できるの?」参照))を使用して10年間の心血管疾患リスクを推定し、高リスクは次の10年間のCVDイベントが20%以上と設定。

CKMステージ4:主に国民保健サービス記録から提供される国際疾病分類第10版(ICD-10)コードによって特定される、医師によって診断された心血管疾患(冠動脈疾患、心不全、脳卒中、末梢動脈疾患、心房細動を含む)と定義。

この心血管・腎・代謝 (CKM) 症候群について、今回の研究では、イギリスのバイオバンクから347,131人を対象に、CKM症候群の各段階における有病率と死亡リスクを評価しました。

347,131人のうち、19.50% が CKM ステージ0、23.03% がステージ1、49.74% がステージ2、2.77% がステージ3、4.98% がステージ4 に分類されました。中央値 14.8 年の追跡期間中に、全原因死亡 29,150 件、心血管疾患特異的死亡 2,984 件が記録されました。(図は原文より)

上の図のように、全原因死亡率は CKM ステージ全体で段階的に増加し、5.36% (ステージ 0)、6.01% (ステージ 1)、8.26% (ステージ 2)、24.69% (ステージ 3)、23.64% (ステージ 4) でした。同様に、心血管疾患特異的死亡率は 0.32%、0.45%、0.77%、4.26%、3.85% でした。ステージ0と比較して、全原因死亡率は、ステージ2で1.17倍、ステージ3で1.58倍、ステージ4で2.09倍でした。心血管疾患特異的死亡率は、ステージ2で1.64倍、ステージ3で2.95倍、ステージ4で3.86倍でした。

約80%の患者がCKMステージ1~4に分類され、7.75%が進行期(ステージ3以上)に分類され、CKM症候群はすでに常態化しています。

糖質過剰摂取により、高インスリン血症、インスリン抵抗性、高血糖などが起こり、代謝状態はどんどん悪化していきます。そして、それが腎機能障害や心血管疾患を起こすのです。

CKM症候群という考え方を導入したことは悪くありません。でも、それに対する治療のアプローチは専門家に任せると結局、薬物治療がメインとなってしまうのです。

CKM症候群のステージが進んでからでは遅すぎます。医療は空腹時のインスリン値や食後の血糖値を測定しようとせず、代謝障害が進行するのを待ち、いいだけ進行してから治療と称して薬をどんどん盛ってきます。根本治療は行いません。食品業界は医療に手を貸し、代謝障害がどんどん悪化する商品に、人々を依存させます。

CKMステージ1以上の状態、つまり日本人であればBMIが23以上、腹囲が女性の場合は80 cm以上、男性の場合は90 cm以上、HbA1cが5.7%~6.4%または空腹時血糖値が100~126 mg/dL未満になったら、またメタボの他の基準の低HDLコレステロール値(男性は40 mg/dL未満、女性は50 mg/dL未満)、中性脂肪値150 mg/dL以上になったら、急いで糖質制限を始めましょう。

「Prevalence and Mortality Association of Different Stages of Cardiovascular-Kidney-Metabolic Syndrome」

「心血管・腎臓・代謝症候群の各病期における有病率と死亡率の関連性」(原文はここ)

2 thoughts on “心血管・腎臓・代謝症候群と死亡率の関連性”

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      夏井先生も「患者よ、医者から逃げろ」という本を出していますからね

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