糖質制限によるLDLコレステロールの上昇と動脈硬化

コレステロール悪玉仮説に洗脳されている医師は、いまだにLDLコレステロールが高くなると、すぐに下げなきゃ大変だと患者を脅します。糖質制限では少なくない割合でLDLコレステロールが上昇します。それだけを理由に糖質制限は危険だと主張する、知識が少ない専門家もいるでしょう。

今回の研究では、家族性高コレステロール血症がなく、糖質制限（1日あたり25g未満の炭水化物）によりLDLコレステロールが2年以上にわたり190mg/dL以上、HDLコレステロール60mg/dL以上、中性脂肪80mg/dL以下の80人と、年齢、性別、人種、高脂血症、高血圧、喫煙状況についてマッチングしたマイアミハートの集団80人とを比較したものです。平均年齢は55.5歳、HbA1cは5.4～5.5、糖質制限群は平均4.7年糖質制限を行っていました。

もちろん、糖質制限群は一般の人たちよりも痩せているので、BMIはそれぞれのグループで違いがありました。糖質制限群は平均BMI22.5、マイアミハート群で25.8でした。（図は原文より、表は原文より改変）

上の図は、緑がマイアミハート群、青が糖質制限群です。左上がLDLコレステロール、右上が総プラークスコア、左下が総狭窄スコア、右下がCAC（冠動脈カルシウム）スコアです。一目瞭然、LDLコレステロールは糖質制限で大幅に高いですね。平均値でLDLコレステロール272mg/dLです。最大LDLコレステロールは591mg/dlです。HDLコレステロールおよび中性脂肪も違いがあり、糖質制限群の平均は、HDLコレステロール90mg/dL、中性脂肪64mg/dLで、マイアミハート群はHDLコレステロール63mg/dL、中性脂肪96mg/dLでした。ちなみに糖質制限群でコレステロール低下薬を飲んでいる人はゼロです。

それ以外の冠動脈関連のスコアにグループ間で差はありません。下の表のようにCACスコアの中央値は、糖質制限では0マイアミハートでは1でした。総プラークスコアおよび総狭窄スコアの中央値は、糖質制限ではすべて0、マイアミハート群で1であり、グループ間差は認められませんでした。

上の図は横軸LDLコレステロールと縦軸が総プラークスコアです。上が糖質制限群、下がマイアミハート群ですが、どちらもLDLコレステロール値と総プラークスコアの相関はありません。

つまり、糖質制限によるLDLコレステロールの上昇（平均272mg/dL）が平均4.7年間続いた後も、代謝的に健康な糖質制限をしている人では、LDLコレステロールが低い人達よりもアテローム性動脈硬化性プラークの負荷が大きくなるわけではないのです。冠動脈疾患、冠動脈のプラークはLDLコレステロール値とは関係ないのです。

糖質制限をして、LDLコレステロール値が上昇してしまっても、不安になることはありません。脅しに負けないようにしましょう。

「Carbohydrate Restriction-Induced Elevations in LDL-Cholesterol and Atherosclerosis: The KETO Trial」

「炭水化物制限によるLDLコレステロールの上昇と動脈硬化: KETO試験」（原文はここ）