心血管イベントの予防におけるスタチンの効果が得られるまでの時間は？

コメントを頂きました。

5月７日血液検査でLDL216HDL74
中性脂肪118でした。
その時に先生からスタチンをと言われましたがこちらを拝見してたので戸惑って居ると次回血液検査でと言われ8月26日に血液検査をしました。
LDL 175
HDL 79
中性脂肪　84でした。
先生は第一声
長生きしたいかと聞かれ私はびっくりして黙っていると長生きしたかったら薬を飲みなさい。と話されました。
でも考えますと言って帰って来ました。

尿が泡立ち気になり腎臓内科へ受診したのですが沢山の患者さんで皆さん沢山の薬を飲まされてるのだろと思うとシミズ先生のお話しを医師の方達に伝わって欲しいと心から願います。

よく、スタチン医者は患者を脅します。スタチンを飲まないと死ぬぞ、とか、この方のように、長生きしたかったらスタチンを飲め！と言われ、不安や恐怖を与え、医師の言いなりになるように誘導します。スタチンを飲めばどれくらい長生きできるかというと、以前の記事「薬ってそんなに必要ですか？理解して飲んでいますか？」で書いたように、心血管疾患で死亡することに対する一次予防（まだ症状がない人の予防）、二次予防（すでに心血管疾患を発症している人の予防）のそれぞれの寿命延長効果は、中央値はそれぞれ3.2日および4.1日です。5年間スタチンを飲み続けてやっと3～4日寿命が延長するということです。30年飲めば、18～24日寿命が延びます。誤差範囲ですね。

以前の記事「スタチンの効果はほんのわずか」で書いたように、スタチンで減らせるのは全原因死亡では0.8％、心筋梗塞で1.3％、脳卒中で0.4％程度です。

しかも、これらのもとになる研究は利益相反バリバリ、製薬会社のお金で行われた研究での結果です。実際にはほとんど効果がないと考えた方が良いでしょう。

今回の研究では、50～75歳の成人における最初の重大な心血管イベント（MACE）の予防のための介入の効果が得られるまでの時間（TTB）を決定するために、65,383人をランダム化した8 つの試験の分析を行いました。平均年齢は55歳から69歳の範囲で、追跡調査の平均期間は2年から6年の範囲でした。

スタチンが全原因死亡率を低下させることを示した研究は8件中1件のみでした。（図は原文より）

上の図は横軸がスタチンを飲み始めた後の年数、縦軸は100人当たりの心血管イベント数です。年を重ねるごとに、確かにコントロール群よりもスタチン群の方が心血管イベントが少なくなっています。メタアナリシスでは、スタチン療法のメリットは追跡期間が長くなるにつれて着実に増加することが示唆されるように見えます。

では、どれくらいの人を治療すれば、効果が認められるでしょうか？スタチンで治療した50～75歳の人100人あたり1件の心血管イベント（MACE）を予防するには、2.5年かかる計算になります。。同様に、1件のMACEを回避するには、50～75歳の人200人をスタチンで1.3年治療する必要があり、1件のMACEを回避するには、50～75歳の成人500人をスタチンで0.8年治療する必要があるのです。約10カ月スタチンを500人に飲ませても、やっと1件の心血管イベントが防げる程度です。499人に効果はありません。

つまり、スタチンの効果なんて何百人に1人あるかどうかです。しかも、この研究のベースになる研究はほとんど製薬会社がスポンサーであるものばかりです。それなのに、この程度の効果であること、様々な有害な副作用があることを考えると、スタチンを飲む意味はありません。

スタチンを飲んだからと言って、死を防げるわけではないし、長生きできると言っても贔屓目に見て、30年で18～24日程度です。

スタチン医者はこれを知っていて、患者を脅します。まあ、もちろんこのことを知らない医者も多いでしょう。

自分の体のことは自分で考えて判断しましょう。

「Evaluation of Time to Benefit of Statins for the Primary Prevention of Cardiovascular Events in Adults Aged 50 to 75 Years A Meta-analysis」

「50～75歳の成人における心血管イベントの一次予防に対するスタチンの有効期間の評価 メタ分析」（原文はここ）