「コレステロールは低いほど良い」と思っている人がいまだに多くいます。しかも一般の人だけでなく、医師にもいるので非常に問題です。

スタチンが開発、販売されて、この「コレステロールは低いほど良い」という考えは定説化してしまいました。一度正しいと判断し、そう思い込むと人間はなかなか考えを変えられません。

私はLDLコレステロールには質があり、質が良ければLDLコレステロールは高くても問題ないと考えています。それを患者さんに言っても、なかなか響きません。

スタチンがコレステロールを下げて、心血管疾患予防に良いというデータはこれまで出ていますが、どれほどのものでしょうか?

JAMAに発表された新しい分析を見てみましょう。21件のランダム化臨床試験のこのメタアナリシスです。追跡期間の平均は4.4年です。(図は原文より)

上の図のRRRとARRに注目してください。RRRは相対リスク減少であり、ARRは絶対リスク減少です。スタチンはコントロールよりもRRRで見ると、全原因死亡、心筋梗塞、脳卒中はそれぞれ9%、29%、14%減少していることになります。まずまずのリスク減少ですね。しかしARRで見てみましょう。全原因死亡では0.8%、心筋梗塞で1.3%、脳卒中で0.4%です。随分数値が小さくなりました。一次および二次予防も分析していますが、一次予防では相対リスク減少は全原因死亡で0.6%、心筋梗塞で0.7%、脳卒中で0.3%、二次予防ではそれぞれ0.9%、2.2%、0.7%でした。

上の図はRRRとARRをグラフで表しました。濃いバーがARRで薄い方がRRRです。相対リスク減少は非常に大きく見えますが、現実には絶対リスク減少はほんのわずかです。

 

上の図はスタチンによって達成されたLDLコレステロールとコントロールのLDLコレステロールの差が、全原因死亡、心筋梗塞、脳卒中の低下とどれだけ関連しているかの相対リスク減少の割合を見ています。相対リスクの減少はLDLコレステロールが低下し、コントロールとの差が大きいほど減少率が大きいように見えます。

しかし、絶対リスクではどうでしょう?

上の図は絶対リスクでの全原因死亡、心筋梗塞、脳卒中の低下とLDLコレステロールのグループ間の差の関係です。どれも非常にわずかです。

スタチン治療後のLDLコレステロールの低下と全原因死亡、心筋梗塞または脳卒中との間に一貫した関係は見られませんでした。

相対リスク減少は、より印象的な統計であり、患者に、利益が実際よりも大きいと誤解させる可能性があります。悪意を持って統計を用いれば、簡単に人を騙せます。

ここに含まれているすべての研究は、製薬業界によって部分的または全体的に資金提供されています。つまり、スタチン製造企業によってお金が提供されただけでなく、スタチン製造企業と関係のある研究者によって設計され、分析され、論文がかかれました。そのことを考えれば、実際にはもっと効果が小さい可能性が高いと思われます。

スタチンはコントロールよりもRRRで見ると、全原因死亡、心筋梗塞、脳卒中はそれぞれ9%、29%、14%減少し、ARRは全原因死亡では0.8%、心筋梗塞で1.3%、脳卒中で0.4%です。スタチンにより全原因死亡1人を減らすためには4.4年の間125人を治療しなければなりません。心筋梗塞を1人減らすには77人を4.4年間治療が必要です。脳卒中1人を減らすには250人の治療が必要です。

このような絶対リスクの減少がどれほどあるのかは、患者にとって、最初にスタチンを使用し始めるかどうかの意思決定には非常に重要です。このような非常にわずかな効果について、どれほどの医師が患者に説明しているでしょうか?副作用についてもどれほど説明されているでしょうか?

この研究でわかる通り、スタチンの効果は最小限であり、スタチンを服用したほとんどの人は臨床的効果をもたらさなかったのです。

ちゃんとした説明を受けて、副作用のリスクを受け入れ、自分に起こるかどうかわからないほんのわずかな効果を期待してスタチンを飲む人はどれほどいるでしょうか?

医師に「スタチンを飲まないと死ぬ!」と脅される場合もあるでしょう。無防備な患者は医師がウソをつくとは思えないので、簡単に受け入れることも多いでしょう。

しかし、LDLコレステロールよりももっともっと重要で、気を付けなければならないことがあります。心血管疾患は糖質過剰症候群です。

食事によってコントロールできることは医療ではないと思っている人も多いかもしれません。あなたの体があなたの食べているものでできている、ということを考えてください。あなたの病気はあなたの食べたものから起きているのです。

 

「Evaluating the Association Between Low-Density Lipoprotein Cholesterol Reduction and Relative and Absolute Effects of Statin Treatment  A Systematic Review and Meta-analysis」

「LDLコレステロール低下とスタチン治療の相対的および絶対的効果との関連性の評価  系統的レビューとメタ分析」(原文はここ

4 thoughts on “スタチンの効果はほんのわずか”
  1. CMでもTVやネット情報でも、NHKでも、勿論3大新聞でもコレステロールは健康の大敵、
    動脈硬化の原因は常識となってしまっています。

    ただ一つ良い事は、マスコミをはじめとした情報を疑い、自分で判断する意識が
    強くなった事です。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      コレステロールの洗脳は深く強烈ですからね。なかなか解けません。

  2. いつも参考にさせていただいてます。
    >医師に「スタチンを飲まないと死ぬ!」と脅される場合もあるでしょう
    まさしく私の主治医がこの通りです。
    糖質制限をしながら積極的に良質のオイル、バター、ココナッツオイル、MCTなどを
    摂取するようになってから歴然とHDL、TG値が90以上、40以下になりました。
    ただLDLの140前後(いわゆる基準内ですが)を医師が検査のたびにすごく気にして
    「あなたの場合は悪玉が100以下じゃないとだめなんだ」と。
    いままでただの一度もHDL、TG値に触れることはありません。

    主治医もアップデート
    してくれたらなと思い本サイトを教えてやろうかと日々悶々としてます。(笑)

    1. T.Iさん、コメントありがとうございます。

      HDL90以上、TG40以下素晴らしいですね。
      主治医にこのサイトを教えても無駄です。スタチン脳は簡単には変化しませんから。
      HDLやTGに触れないのは恐らく薬でコントロールできないからですね。

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