アメリカでは鉄分を強化した小麦粉で鉄欠乏を予防しているけど、日本ではそのような強化したものはないから、日本人は鉄欠乏が多いというようなことを言う人がいます。しかし、鉄を強化した結果、アメリカ人の代謝はどうなっていますか?肥満大国アメリカです。もちろん鉄のせいでそうなったかどうかはわかりませんが、鉄は代謝に影響があります。
今回の研究では、アディポネクチンとフェリチンの関連および献血により血液を抜いて、鉄を減らしたときの代謝の変化を調べています。アディポネクチンは脂肪細胞で産生、分泌され、肥大した脂肪細胞からの分泌量は少なくなるので、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、冠動脈疾患の患者では血中濃度が低下します。いわゆる「善玉」ホルモンと考えられています。抗糖尿病ホルモンとも言われ、インスリンの効果を高める働きがあるとも考えられています。(ただしアディポネクチン上昇は肝細胞がんの場合はリスク増加と関連しているという研究がいくつかあります。)
まずは、糖尿病49人と非糖尿病61人、合計110人のデータを見てみましょう。(図は原文より)
上の図Aは横軸がフェリチン値、縦軸がアディポネクチンです。フェリチン値が低い方がアディポネクチンは高いですね。Bは糖尿病の有無によるフェリチン値の違いです。黒が糖尿病、白が非糖尿病です。明らかに糖尿病の方がフェリチンが高く、およそ2倍です。Cの図は糖尿病の有無によるアディポネクチン値の違いですが、フェリチンとは逆で糖尿病の方が低い値です。DとEは白が非メタボリックシンドローム、グレーがメタボだけれども非糖尿病、黒はメタボで糖尿病です。メタボで糖尿病だとフェリチン値は明らかに高く、メタボがあると明らかにアディポネクチンは低いですね。
フェリチン値が正常の場合、インスリン感受性はフェリチンと逆相関し、アディポネクチン値と正相関していて、HOMA-IRで示されるインスリン抵抗性は、フェリチンと正の相関があり、アディポネクチンとは負の相関を認めています。
次に献血で血液を抜くことによりアディポネクチンが増加し、血清フェリチンが正常高値のヒトの耐糖能が改善することを確かめるために、フェリチン濃度が正常範囲にある人を4つのグループに分けたときに最高の値(平均フェリチン値221 ng/ml)のグループで耐糖能障害の人を対象に、赤十字センターで1か月に1単位、献血しました。1人あたり2~3単位を献血した後、ヘマトクリット、ヘモグロビン、鉄の指標を測定し、フェリチンが正常値の4つのグループの最低レベル(目標 = 50μg/dl)になるまで献血を続けました。赤血球数が10%以上減少したケースはありません。フェリチンの目標値に到達してから2~3か月後、再検査を受けました。平均献血量は3.7単位でした。(ただしn=3でしかありません)
3人は全員、献血前に耐糖能異常(IGT)と空腹時血糖異常(IFG)の両方を有していました。献血後、1人はIGTおよびIFGの両方のパラメータが改善し、1人は IGTのみ、1人はIFGのみ改善しました。フェリチン値は平均221から33まで低下しました。アディポネクチンは10.3から11.7に増加しました。有意差はありませんが、献血後空腹時血糖は低下傾向、OGTT(ブドウ糖負荷試験)2時間値も低下傾向でしたが、BMIは増加傾向でした。インスリンの効きが良くなったからかもしれません。
上の図のAはOGTTでの120分間のブドウ糖曲線下面積の変化を示しています。献血後に低下していますね。Bはインスリン分泌能を示す急性インスリン反応(AIRg)です。AIRgは約2.5倍になっています。Cはインスリン感受性 (Si)で約3倍になっています。SiとAIRgを掛け合わせ、Dの全体的な糖尿病リスクのより優れた予測因子であるDisposition index (DI)は有意に改善しました。
献血によりフェリチンが減少したという事実から考えると、献血前に正常高値であったフェリチン値は炎症によるものではないということを裏付けています。耐糖能異常の人が献血により鉄を減らすと、インスリン感受性が増加し、分泌能も増加し、耐糖能が改善すると考えられます。
ワクチンや農薬、食品添加物などの様々な兵器を使って、多くの人を病気にして儲けている人、企業が存在します。殺さないまでも様々な症状や病気をもたらすことにより、ずっと人々は代謝障害や病気のままでいてくれて、医療および薬などに依存します。鉄の食品への添加も恐らくその一環なのではないかと思います。
貧血をもたらさないほどの低めのフェリチンでも、鉄欠乏だと不安にさせられて、鉄サプリなどで補給し続けると、代謝に悪影響が出る可能性があるでしょう。
普通に赤肉を食べれば、通常は鉄欠乏の心配はないでしょう。
「Adipocyte iron regulates adiponectin and insulin sensitivity」
「脂肪細胞の鉄はアディポネクチンとインスリン感受性を調節する」(原文はここ)