今回は「その1」の続きです。もう少し年齢が低い人達について見てみましょう。
スポーツをしている子供たちは何の疑いもなくスポーツドリンクを飲んでいることが多いでしょう。コーチも親も運動にスポーツドリンクは必須だと思い込まされています。
しかし、世の中のアスリートの口腔の衛生状態は非常に悪いです。(「エリートアスリートは歯磨きをしっかりとしても口腔の健康状態が悪い」参照)
企業のマーケティングやマスコミの情報に騙されて、糖質がたっぷり入ったドリンクを毎日のように大量に飲んでいることでしょう。
では、子供の糖質たっぷりドリンク摂取と骨密度の関連はどうなっているでしょうか?今回の研究は、糖質入りドリンクと骨密度の関連のシステマティックレビューです。ただし、いつものように食事アンケートなのでデータの質は低いです。(表は原文より改変)
年齢または年齢範囲 | 主な結果 |
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8~10歳 | 異なる量の糖質入り飲料を摂取した子供の間で全身の骨量に差はなかった |
9歳 | ∙甘い飲み物をより多く飲んだ女子は、全身の骨密度が有意に低かった |
6~18歳 | ∙小児および青年のソフトドリンク摂取量が多いほど前腕の骨塩量が低下していた |
9~16歳 | ∙炭酸飲料やコーラ飲料と骨の測定値の間には有意な相関は見られなかったが、すべて逆の傾向だった(つまり摂取量が多いほど骨の測定値が低下傾向) |
4~16歳 | ∙炭酸飲料をより多く摂取した子供は、脊椎、上半身、下半身の骨密度と骨塩量のZスコアが有意に低かった |
12~15歳 | ∙炭酸飲料の総摂取量と骨密度の間には、女子の前腕部およびかかと部で有意な逆相関が観察された(つまり摂取量が多いほど骨密度が低下) |
10歳前後 | ∙12オンス以上を摂取した子供の骨密度は、 0~8オンスを超えなかった子供よりも有意に低かった |
10~16歳 | ∙炭酸飲料および栄養価の低い飲料の摂取は、思春期の女子では骨塩量と逆相関していたが、男子では逆相関していなかった |
上の表のように、小児および青少年における糖質入りドリンク摂取と骨の健康との関係の8つの研究があり、そのうち6つでは、摂取量と骨の健康との間に有意な逆相関関係が報告されていました。
10歳未満、そして10代の子供たちを中心としたこれらの研究から考えると、子供たちに安易に糖質入りドリンクを与えるべきではありません。
骨量は小児期と思春期に急速に増加し、ピーク骨量の最大90%がこの時期に蓄積されるそうです。思春期の糖質入りドリンクの頻繁な摂取は骨の健康に有害な影響を及ぼす可能性があります。
それなのに、スポーツの名のもとに、運動する子供たちには大量のスポーツドリンクが与えられます。だたでさえ、子供の頃は糖質入りドリンクの摂取量が多いと思いますが、それプラススポーツドリンクですから、大いに悪影響があるでしょう。あるバスケットのコーチは、練習(運動)中はポカリスエット、夜寝る前にはアクエリアスを飲め、と指導しているようで、多くの子供たちが、そして親もそれを信じてそれに従っているそうです。銘柄まで指定しているのも不思議ですが、なぜ夜はアクエリアスで、運動中はポカリなのかよくわかりません。このコーチに従った子供たちの口腔衛生や骨の健康が心配です。
運動するのにスポーツドリンクは必要ありません。暑い中で12時間以上ウルトラマラソンで走っても、1滴もスポーツドリンクを飲まなくても大丈夫なのですから。
子供たちのコーチはもっと学ぶべきでしょう。学ばないのであれば、指導もしないことです。
「Sugar-sweetened beverage consumption and bone health: a systematic review and meta-analysis」
「砂糖入り飲料の摂取と骨の健康:系統的レビューとメタ分析」(原文はここ)
半端ない経験に基づく言葉は貴重ですね。
「運動するのにスポーツドリンクは必要ありません。暑い中で12時間以上ウルトラマラソンで走っても、1滴もスポーツドリンクを飲まなくても大丈夫なのですから。」
うちの子は、糖質低めの食事を摂らせています。
スポーツドリンクは飲ませたことがありませんし、普段は水です。
骨密度を測る機会がないため、周りの子供たちと比較ができないのが残念です。
もし取れれば、良いサンプルデータになりそうです。
骨密度の話題からそれますが、周りの子供たちと確実に違うのは、歯の生え変わりが遅いことです。
最近の子供たちは、乳歯が抜けるのがやたら早いが、うちの子は遅い。
こういったことも糖質の摂取量と関係ある気がしています。
西村圭吾さん、コメントありがとうございます。
最近の子供は歯の生えかわりが早いだけでなく、思春期も早く訪れるようになりました。
糖質の影響は計り知れないと思います。