GLP-1受容体作動薬は青年や若年成人でも胆道系疾患リスクを増加させる

以前の記事「糖尿病薬?やせ薬?GLP-1受容体作動薬の副作用 その13」では、GLP-1受容体作動薬が胆嚢炎、胆石症リスクを高くすることを書きました。

76件のメタアナリシスでも、胆嚢および胆道系の疾患のリスクを増加させることが示されています。(ここ参照、図もここより)

上の図のように、 GLP-1受容体作動薬は、対照群と比較して胆嚢または胆道疾患のリスクが1.37倍と有意な増加と関連していました。さらに、胆石症は1.27倍、胆嚢炎1.36倍、および胆道疾患1.55倍、胆嚢摘出術のリスクは1.70倍でした。胆道がんのリスク増加は有意ではなく、1.43倍でした。

GLP-1受容体作動薬の使用は、高用量では胆嚢または胆道疾患のリスクが1.56倍増加し、低用量では関連がありませんでした。26週間を超えるような治療期間が長いと胆嚢または胆道疾患のリスクが1.40倍に増加し、治療期間が短い(≤26 週間)場合は関連がありませんでした。糖尿病のためにGLP-1受容体作動薬を使用した場合は1.27倍、体重減少のために使用した場合は2.29倍でした。

さて、アメリカではGLP-1受容体作動薬の適応が小児にも拡大されています。思春期および若年成人におけるGLP-1受容体作動薬での胆嚢または胆道疾患のリスクはどうなんでしょうか?

今回の研究では、12歳から21歳(平均年齢17.4歳)の過体重および肥満の患者18,759 ⼈と対照群を比較しています。(表は原文より改変)

結果 相対リスク(95%信頼区間) HR(95%信頼区間)
全コホート(各グループn=18,759)
胆嚢炎 1.22 (0.84-1.78) 2.22 (1.51-3.25)
胆石疝痛 1.62 (1.28-2.04) 2.92 (2.29-3.71)
胆嚢摘出術 1.39 (1.04-1.87) 2.39 (1.77-3.22)
肥満度IまたはII(各グループn=8046)
胆嚢炎 1.70 (0.85-3.39) 3.36 (1.72-6.57)
胆石疝痛 1.45 (1.00-2.09) 2.78 (1.92-4.01)
胆嚢摘出術 1.54 (0.96-2.48) 2.93 (1.82-4.72)

上の表のように、全体では、GLP-1受容体作動薬の使用は、胆嚢炎2.22倍、胆石疝痛(胆石発作)2.92倍、胆嚢摘出術2.39倍とリスクが増加していました。

クラスIまたはIIの肥満グループだけを見ても、胆嚢炎3.36倍、、胆石疝痛2.78倍、胆嚢摘出術2.93倍と、発生率が時間とともに上昇することが明らかになりました。

小児は別としても、日本でも若年成人への減量目的のGLP-1受容体作動薬の処方が安易に行われています。この薬の副作用は多岐におよび、様々なリスクがあります。胆石と簡単に言いますが、その痛みはかなり激しい痛みです。そして、胆嚢摘出術必要になることもあります。

胆嚢なんて無くても良いや、と思っている人もいるかもしれませんが、人間の臓器で不要なものはありません。虫垂(盲腸と言われていますが、虫垂が正しいです)も腸内細菌の避難所、大腸に動員されるIgA産生細胞を作り出す役割を持つとも言われています。(ここ参照)扁桃腺も腫れたら取れば良いやと思っていても、「扁桃やアデノイド摘出は様々な疾患のリスクを増加させる」で書いたように、扁桃摘出は様々な呼吸器疾患、そしてがんまでも増やす可能性があります。

胆石、胆嚢摘出の人のその先に待っているものは何か?それは次回以降に記事にします。

いぜれにしても、安易な薬の使用は、時にとんでもないことを巻き起こします。

肥満も2型糖尿病も糖質過剰症候群です。

「Biliary Events and GLP-1 Receptor Agonist Therapy in Adolescents and Young Adults」

「青年および若年成人における胆道系疾患とGLP-1受容体作動薬療法」(原文はここ)

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