自律神経の障害は様々な症状をもたらします。例えば、めまい、立ちくらみ、動悸、頭痛、肩こり、疲労感、胃腸の不調などです。その症状を診て、「自律神経失調症」という便利な病名をつける医師もいるでしょう。原因のよくわからないものは「自律神経失調症」という病気にすれば、患者も何となく納得してしまいます。
しかし、自律神経の障害は病気そのものではなく、症状です。原因が他にあるはずです。もちろん、それは血液検査で診断できるものでも(一部はわかるけど)、画像検査でわかるものでもありません。それは代謝障害、つまり、高血糖やインスリン抵抗性が原因であることが最も多いと思います。だから、自律神経失調症も糖質過剰症候群なのです。
高血糖状態は、酸化ストレス、ポリオール経路の変化、プロテインキナーゼCの活性化、終末糖化産物の形成などを介して神経損傷を引き起こす可能性があります。通常はまず最も長い副交感神経である迷走神経に影響を及ぼします。その結果、相対的な交感神経緊張が高まり、安静時の心拍数が増加します。副交感神経系の損傷に続いて交感神経系の損傷が起こり、運動不耐性(軽い運動で息切れなどを起こす)や起立性低血圧を引き起こす可能性があります。
インスリンの交感神経系活動に対する刺激作用は脳内で直接発揮されます。空腹状態では、血中のインスリン濃度が低いため、視床下部神経におけるインスリンを介したブドウ糖代謝が減少し、その結果、脳幹の慢性的に活動している交感神経中枢を抑制する抑制経路が活性化されます。糖質を摂取すると、インスリン濃度の上昇により、同じ神経におけるインスリンを介したブドウ糖代謝が増強され、抑制経路が減少し、最終的に脳幹レベルの交感神経中枢が刺激され、結果として中枢交感神経活動が増加します。
つまり、糖質過剰摂取をすれば、交感神経系が活性化されてしまうのは当たり前なんです。慢性的にインスリン分泌が高まっていると、交感神経は休まりませんし、正常な自律神経の反応が鈍化します。
急性の交感神経活性化に伴う代謝の変化は、本来は特定の状況で望ましい反応です。しかし、交感神経系の慢性的な刺激は、肥満、高血糖、インスリン抵抗性、高血圧などを通じて、様々な疾患のリスクを高める可能性があることは明らかです。
内臓肥満(中心性肥満)やインスリン抵抗性のある人では、交感神経系が非常に活発です。
インスリンの交感神経活性化作用は、弓状核から室傍核に投射するニューロペプチドY(NPY)ニューロンが抑制されることによるものと推測されています。食事後、中枢作用型インスリンは、NYPニューロンの抑制などを介して視床下部で食欲抑制効果を発揮します。しかし、慢性的に糖質過剰摂取をしていると、高インスリン血症を介したインスリン受容体とインスリンシグナル伝達経路の変化の結果として、弓状核におけるNPY遺伝子発現が逆説的に上昇し、脳のインスリン抵抗性が増強されます。NPYニューロンの活性化は、肝臓への交感神経活動の増加を介して強力な食欲促進効果をもたらし、肝臓のインスリン抵抗性と内因性ブドウ糖産生の増加につながります。
さて、一番の問題は、自律神経の障害で何らかの症状が起きたときに、精神科や心療内科を訪れてしまうことです。精神科や心療内科の医師は、それが食事の間違いによる結果であるということは知らないことが多いでしょう。そんな教育は受けていません。というよりも医師全体がそのような教育は受けていません。原因に対処せずに、症状を抑える薬を処方されます。精神科や心療内科で処方される薬の多くは、脳に働きます。そうすると、活動性も低下し、薬の依存にもつながります。
痩せていても糖質過剰摂取をしている人、お腹がポッコリ出ている人など、自律神経が乱れていると思ったら、まずは糖質制限をしっかりしてみてください。お腹が出ていることに、中年だから、運動習慣がないから、などの言い訳を考える必要はありません。その体型はあなたの身体の中の代謝の異常の結果です。
自律神経の障害は糖質過剰症候群です。
「Relevance of Sympathetic Nervous System Activation in Obesity and Metabolic Syndrome」
「肥満およびメタボリックシンドロームにおける交感神経系活性化の意義」(原文はここ)
「食事の間違いによる結果であるということは知らないことが多いでしょう。そんな教育は受けていません。というよりも医師全体がそのような教育は受けていません。原因に対処せずに、症状を抑える薬を処方されます。」
治療はまだしも、健康管理は医療頼でなく自己責任ですね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
医師は健康の管理のプロではありません。医師はどうしたら健康で過ごせるのかの方法は知りません。