認知症の患者は増加しています。誰しも認知症にはなりたくないと思いつつも、日常の生活、食事で認知症にならないことを意識している人は少ないでしょう。そして、企業の謳い文句を信じて、サプリメントばかりに頼っている人もいるでしょう。
最近、認知症とサプリメントに関する話題が2つ出てきました。まずは、グルコサミン。グルコサミンは膝の痛みなどに効果があるなどと言われ、これを飲んでいる人も少なくありません。
これまでの研究では、グルコサミンサプリメントが正常な認知機能をもつ成人の認知症リスクを低下させることが示されているようです。(ここなど参照)
しかし、すでに認知機能の低下が始まっている脳に対しては有害となりうるかもしれません。脳細胞には「N-グリカン」と呼ばれる短い糖鎖が付着しており、重要な役割を担っているようですが、とアルツハイマー病患者の脳では、この「グリコシル化」という糖鎖の付着プロセスが過剰に進んでいるそうです。アルツハイマー病において過剰な糖鎖修飾(ハイパーグリコシレーション)が病態進行の中心的な代謝メカニズムとして機能している可能性が示されました。
今回の研究では、アルツハイマー病マウスにグルコサミンを経口投与すると、脳内の糖鎖量が増加して記憶障害がさらに悪化しました。それを人間でも示すために、アルツハイマー病および関連する認知症(ADRD)1,896人と軽度認知障害(MCI)と診断された患者2,750人を対象として分析しました。その結果、両タイプの患者のうち、約8%がグルコサミンを服用していたことが判明しました。(図は原文より)
上の図のh、グルコサミン使用の有無によるADRD患者の10年間の全原因生存曲線を見ると、グルコサミン使用者では生存率が低下しています。グルコサミン使用はADRD患者の死亡リスクの25%増加させてしまうのです。図のiはMCI患者の10年間の全原因生存率ですが、グルコサミン使用者と非使用者の間に有意差はありません。図のjは、時間の経過に伴うMCIからADへの移行の累積発生率です。マッチングされた非使用者と比較して、グルコサミン使用者では移行率が高く、これも25%の増加です。
つまり、すでにアルツハイマー病になっている人、その手前の軽度認知障害の人では、グルコサミンは有害になり得るのです。まだ、何も症状がなくても、もしかしたら脳の認知機能の低下は始まっているかもしれません。その場合、もしかしたら進行を速めてしまう可能性もあります。
しかし、不思議なのは、グルコサミンのサプリは飲んでも、そのままの形で吸収されず、分解されて吸収されるはずなのに、そのグルコサミンが脳に影響を与えるということです。もしかしたら、グルコサミンのまま吸収ができてしまうのでしょうか?それとも、グルコサミン摂取は何らかの代謝のスイッチをONにして、体内でグルコサミンの生成を増加させるのでしょうか?
グルコサミンのサプリの有無にかかわらず、糖質過剰摂取では高血糖になり、解糖系からヘキソサミン経路に流れる代謝が増加し、その結果N-グリカンも増加します。過剰な糖鎖修飾(ハイパーグリコシレーション)は糖質過剰摂取から起こり得ます。
いずれにしても、認知症だけでなく、膝の痛みもサプリに頼るのは、無理がありますし、リスクもあるかもしれません。
認知症も膝の関節症も糖質過剰症候群です。
「Hyperglycosylation is a metabolic driver of Alzheimer’s disease」
「高糖鎖化はアルツハイマー病の代謝的要因である」(原文はここ)

糖質過剰摂取を始めとした生活習慣の
乱れで認知機能が衰えてくると、
益々セルフケアが出来なくなる悪循環。
健康食品や、医療薬品業界の
良いお客様ですね。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
多くの人は引き算をしません。たとえもしも有益なサプリがあったとしても、
たっぷりと有害なものを摂取していれば、大海の一滴にすぎません。