乳がんの患者はどんどん増加しています。しかし、今後、外科医の減少も伴い、診断から手術までの期間が延びる可能性があります。乳がんの診断は生検で行います。以前の記事「前立腺生検はがん細胞をばら撒いている可能性がある」でも書いたように、生検はがん細胞をばら撒いている可能性があります。必然的に、針ががんの腫瘍を通過して引き抜かれると、生検針による組織の損傷の結果として、腫瘍内の細胞が隣接する軟部組織や皮膚に移動する可能性があります。実際に針の経路に沿って腫瘍が広がり、局所再発に至ったと思われる症例報告もいくつも存在しています。(ここ参照)針生検後の腫瘍の転移の可能性はよく知られていることですが、ほとんどの場合、発生頻度は低く、患者の予後に直接的な影響はほとんどないとしています。
しかし、術前に抗がん剤の治療を行わない場合には、やはり生検の影響を無視はできないでしょう。
今回の研究では、ステージI~IIIの乳がんと診断された31,306人の女性を対象に、針生検の種類(コア針生検(CNB)または真空吸引生検(VAB))という、生検の種類が治療遅延による死亡リスクにどのような影響があるかを調べています。治療開始までの時間(TTT)は、診断生検から治療開始(手術または術前補助療法)までの日数として定義しています。診断時の年齢の中央値は75歳、追跡期間の中央値は3.8年です。(図は原文より)
上の図のようにTTTが60日以上の場合、60日未満と比較して、乳がんによる死亡率は1.45倍になりました。
上の図のように、治療開始までの時間とは無関係に、CNB はステージ II〜III の症例において VAB と比較して 乳がんによる死亡率は1.28倍になりました。ステージⅠでは生検の種類は関連していませんでした。
もう一つ、メタアナリシスを見てみましょう。(ここ参照)18件の研究のメタアナリシスです。
その結果、治療遅延が長くなるにつれて死亡リスクが段階的に増加しました。全原因死亡率については、4週時点で1.12倍、8週時点で1.25倍、12週時点で1.39倍でした。乳がんによる死亡率では、4週で1.20倍、8週で1.43倍、12週の遅延で1.71倍でした。4週間治療が遅れるごとに死亡リスクが10%以上増加するため、診断から治療までの経路の遅延を最小限に抑えることが必要です。
現在の医療システムの状況を考えると、何とも悩ましいことですね。
乳がんになる前に、糖質制限でできる限り予防しましょう。
「Increased breast cancer mortality due to treatment delay and needle biopsy type: a retrospective analysis of SEER-medicare」
「治療の遅延と針生検の種類による乳がん死亡率の増加:SEER-medicareのレトロスペクティブ分析」(原文はここ)

