妊娠後最初の1000日間の糖分制限は成人後の様々な疾患のリスクを下げる その1

妊娠後最初の1000日間の糖分制限シリーズがたくさん論文化されています。これは、イギリスの歴史的な砂糖配給制度を自然実験として活用して、妊娠から幼少期の砂糖の制限が後の人生において、様々な疾患とどのような関連があるかを分析しています。

1942年7月、イギリスは第二次世界大戦中の14年間の食糧配給プログラムの一環として、砂糖と菓子類の配給制を導入しました。この期間中、妊婦や子供を含むすべての人の砂糖の許容量は、当時の食事ガイドラインに沿っており、 成人は1日あたり 40g未満、子供は15g未満、2歳未満の子供は摂取が推奨されませんでした。(図は原文より)

上の図は、1950 年第 1 四半期 (1950 q1) から 1958 年第 4 四半期までの英国における砂糖の平均日消費量の変化率を、配給制中の平均消費量と比較したもので、同じ期間の農産物 (果物と野菜)、総タンパク質、総脂肪の摂取量も示しています。縦線は、1953 年 9 月に砂糖の配給制が終了したことを示しています。

平均的な成人では、1 日の砂糖消費量は 1953 年第 1 四半期の 41 g から 1954 年第 3 四半期までに約 80 g に急激に増加し、この高いレベルが数年間維持されました。他の研究では、配給制終了後の子供の砂糖摂取量が 2 倍以上になり、口腔衛生も悪化したことが示されています。配給制終了後に生まれた人の比較的高い砂糖の摂取量は、60 歳代まで維持されました。

配給終了後のカロリー摂取量の増加の平均77%が砂糖消費量の増加によるものであると考えられ、実際の割合はさらに高かったと考えられます。砂糖以外の食品や栄養素の消費量はほとんど変化がなかったか、わずかな変化しか示しませんでした。

今回の研究では、1951年10月から1956年3月の間に生まれた60,183人の参加者が含まれており、調査時点では51歳から66歳でした。1953年9月以前の1000日間に妊娠した成人は「配給対象」(1951年10月から1954年6月生まれ、38,155人)に分類され、それ以降に妊娠した成人は「配給対象外」(1954年7月から1956年3月生まれ、22,028人)に分類されました。

上の図は、砂糖の配給制への曝露による2型糖尿病(上)および高血圧(下)のリスクを示しています。グレーは曝露されていない、つまり砂糖の配給制終了後の群です。水色は妊娠から生後の1000日間はずっと砂糖制限をされていた曝露群で、緑は胎児期のみ砂糖制限に曝露されていた群です。

そうすると、1000日間はずっと砂糖制限群が、2型糖尿病、高血圧ともに最もリスクが低く、逆に砂糖制限に曝露されていない群ではリスクが最も高くなっています。リスクは参加者が 50 代半ばになると乖離し始め、最大の差は 60 歳以降に観察されました。

上の図の縦線より右の横軸は、胎内、胎内+出生後6、12、18、24か月砂糖制限に曝露されていた群で、縦線の左側は全く砂糖制限を受けなかった群です。

砂糖配給制への曝露期間が長くなるにつれて、2型糖尿病または高血圧のリスクは減少しました1954年7月から12月の間に生まれた配給制を経験したことのない成人と比較して、胎内でのみ配給制に曝露された成人は、2型糖尿病のリスクが16%低くなり、少なくとも19か月間曝露された成人では、リスクは38%低くなりました。高血圧についても同様のパターンが観察されましたが、リスクの減少は2型糖尿病より小さくなり、胎内でのみ曝露された成人では6%減、少なくとも19か月まで曝露された場合は21%減でした。

幼少期に砂糖の配給制限にさらされると、2型糖尿病または高血圧の最初の診断までの時間が長くなりました。胎内で砂糖配給制限を受けた成人は、2型糖尿病の発症が1.46年、高血圧の発症が0.53年遅れました。胎内および生後1年以降に配給制限にさらされた人は、2型糖尿病は約4年、高血圧は2年、診断が遅れました。

さらに、胎内および生後1年以降の配給制への曝露により、肥満のリスクが31%減少しました。

もちろん、妊娠後の1000日間がすべてを決めるわけではありませんが、妊娠中及び幼少期の食事は、後々の様々な疾患のリスクに関連していると考えられます。

母親になる方は、妊娠中に自分が何を食べ、生まれてからの赤ちゃんに何を食べさせるのか、よく考えた方が良いでしょう。食育は親の仕事です。

我々は、記憶にない間の食事に影響を受けています。「三つ子の魂百まで」ならぬ「三つ子の食事百まで」なのかもしれません。

ただ、幼少期以降でも修正は十分に可能だと思います。糖質制限をするのは今からでも遅くありません。

「Exposure to Sugar Rationing in the First 1000 Days of Life Protected Against Chronic Disease」

「生後最初の1000日間の砂糖制限への曝露は慢性疾患から身を守る」(原文はここ

2 thoughts on “妊娠後最初の1000日間の糖分制限は成人後の様々な疾患のリスクを下げる その1

  1. このタイミングで生まれた世代は
    ある意味幸運なのかもしれませんね。

    個人的には、災害などで医療継続困難な場合の健康への影響も気になります。
    救急医療は必須ですが、生活習慣病等へは、どうなんでしょうね。

    1. 鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      災害は非常に大きなストレスです。食事とは別の身体への大きな負担があると思います。

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