ここ最近、GLP-1受容体作動薬に対する美辞麗句を並べ立てたような研究が多いですね。それについては次回以降に記事にするとして、その前段階として、糖尿病薬の中のDPP-4阻害薬について書きたいと思います。
アメリカ内科学会(ACP)の2024年のガイドラインからは、「メトホルミンの投与と生活習慣の改善に向けた介入を行っているにもかかわらず、血糖コントロール不十分な成人2型糖尿病患者に対して、MACEの発生やCKDなどの罹患率と全死亡率を減少させるために、DPP-4阻害薬を追加することを推奨しない。」と完全に外されてしまった薬です。もちろん、背景にはもっと儲かるSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の存在があるのかもしれません。
しかし、日本は、日本人の方がDPP-4阻害薬の効果が大きい、として、処方が続けられています。では、どの程度の効果があるのでしょう?
まずはアジア人と非アジア人の効果の違いです。(ここ参照、図もここから)
上の図のAはHbA1c、Bは空腹時血糖、Cは食後血糖です。HbA1cは単剤療法では確かに、1%程度低下し、非アジア人よりも0.37%低下が大きいですが、所詮その程度。経口併用療法で見れば、HbA1cは0.19%しか違いはないし、空腹時血糖や食後血糖に関しては、全く非アジア人と差がありません。
血糖値も下がるには下がるけど、それが臨床的に意味があるかどうかな別の問題です。
次に、日本人と非日本人の違いを見てみましょう。(ここ参照、図もここより)
上の図のように、HbA1cは確かに日本人の方が低下が大きいですが、これも差は0.24%でしかありません。空腹時血糖に至っては2.19mg/dLの差しかありません。
では、日本でDPP-4阻害薬を単剤療法として使用した場合の心血管リスクを、他の抗糖尿病薬と比較してみましょう。(ここ参照、図もここより)
上の図は、DPP-4阻害薬に関連する心筋梗塞(MI)、心不全(HF)、脳卒中(Stroke)の発生率を、ビグアナイド(メトホルミン)(BG)、スルホニル尿素(SU)、またはα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)に関連する発生率と比較したものです。
メトホルミン(ビグアナイド)と比較して、DPP-4阻害薬は心筋梗塞のリスクが1.48倍、心不全のリスクが1.46倍になりました。脳卒中は違いがありませんでした。
糖尿病の薬の中では最悪であるかもしれないスルホニル尿素と比較すると、心筋梗塞は0.84倍、心不全は0.86倍でした。
α-グルコシダーゼ阻害薬との比較では、心不全のみ1.12倍になりました。
つまり、DPP-4阻害薬が勝てる薬はスルホニル尿素くらいしかないのです。使うだけ損かもしれません。
日本は含まれませんが、アジアを含む26か国で実施された研究を見てみましょう。(ここ参照、図もここより)DPP-4阻害薬のサキサグリプチン(商品名:オングリザ)とプラセボとの比較です。主要エンドポイントは心血管死、非致死性心筋梗塞、または非致死性虚血性脳卒中です。副次エンドポイントイベントは心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性虚血性脳卒中、不安定狭心症による入院、冠動脈血行再建術、または心不全です。
上の図のように、主要エンドポイントも副次エンドポイントもDPP-4阻害薬はプラセボと何ら違いを示せませんでした。それだけではなく、心不全による入院リスクはプラセボと比較して、DPP-4阻害薬の方が1.27倍高くなりました。
いくつもの研究のメタアナリシス(ここ参照)でも、DPP-4阻害薬はプラセボまたは通常の治療と比較して、全原因死亡、主要心血管イベント、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院などどれをとっても有意な違いは確認されませんでした。
つまり、DPP-4阻害薬はある程度はHbA1cおよび血糖値は下げると思われますが、心血管イベントや死亡率に何ら影響を及ぼさない、または有害作用さえある可能性のあるショボい薬です。
まさに数値だけを整えて、効果があると思わせる薬ですね。
こんな薬を飲むよりも糖質制限をしましょう。




薬を売るために、誤差程度の数値を
針小棒大に宣伝している印象です。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
そんな薬ばかりです