あけましておめでとうございます マラソンランナーはレース中に大量の糖質摂取が必要か?

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

それにしても青山学院は今年も強かったですね。1区で出遅れたときは、今年はダメかな?と思いましたが、その後は最終的にはすべての選手が安定した走りで、見事優勝です。私は登りが嫌いで、苦手です。5区で、あのスピードで山を登れるなんて、どんな体をしているのでしょう?素晴らしいです。

ランニングシューズのシェアは、あれだけすごかったナイキはどんどん低下し、いまだ3位ではありますが、16.7%までシェアが落ちています。(ここ参照)今年もアディダスが35.7%とシェアトップをですが、アシックス25.7%→28.5%、プーマ11.9%→14.8%とシェアが伸びています。私は今年何にしようかな?

 

さて、我々市民ランナーとエリートランナーは違いがあります。エリートは記録が最も重要でしょう。そのためには健康は度外視されることがあります。

今回の研究では、8人の男性エリートマラソンランナー(プライベートベスト記録の平均が2:22:54)を対象として、マルトデキストリン(デンプンから作られた、消化吸収が早く、水に溶けやすい糖質)およびフルクトースの3種類の比率で構成されたドリンクの効果を調べました。

下の図のように、24時間前の高糖質食(8g/kg)と運動前食(2g/kg)の摂取後、15分間を95%乳酸閾値(LT)で、90分間を94%乳酸ターンポイントで、そして最後の15分間を95% LTで走る、120分間のランニングトライアルを完了しました。(図は原文より)

実験の試行中、参加者には60、90、または120g/hの糖質飲料が提供されました。

糖質ドリンクは、各条件で次の比率でマルトデキストリンおよびフルクトース を使用して配合されました。60g/h (マルトデキストリン120g、フルクトース0 g)、90g/h (マルトデキストリン120g、フルクトース60g)、 120g/h (マルトデキストリン120g、フルクトース120g)。

各ドリンクは1Lで、15分ごとに125mL(500mL/時)が摂取されました。マルトデキストリンの投与量は全条件で一定(2時間で120g)とし、フルクトースは目標摂取量と混合比を達成するために変化させています(2時間で0、60、120g)。

上の図は、心拍数 ( A )、RPE(自覚的運動強度 ) ( B )、血中乳酸値 ( C )、ランニングエコノミー ( D )、ランニングのカロリーコスト ( E )です。図のように、2時間全体を通して、運動により心拍数、血中乳酸濃度、RPEが有意に増加し、ランニングエコノミーが低下しました。これらの変数については糖質ドリンクによる試験間で差は見られませんでした。ただし、ランニングエコノミーでは、60g/hドリンクと120g/hドリンクの間で酸素コストに有意差がありました(P = 0.04、平均差8.11、95%CI [2.4、13.9] O 2・kg −1・km −1、コーエンのd = 1.18)。酸素コストは、60g/hドリンクと比較して、120g/hドリンクでは3.6%、90g/hドリンクでは1.5%それぞれ低下しました。

上の図は、血糖値 ( A )、全身炭水化物酸化速度 ( B )、脂質酸化速度 ( C )、呼吸交換比 (RER) ( D )、総炭水化物使用量 ( E )、総脂質使用量( F )です。

運動中の糖質摂取量に応じて、運動中の血糖値は有意に上昇し 、ドリンク間でも有意差が認められました。ドリンク間の比較では、120g/hでは60g/hと比較して血糖値が高く、平均濃度はそれぞれ109mg/dLと92mg/dLでした。

RERと全身炭水化物酸化はともに徐々に低下し、それに伴って脂質酸化は徐々に増加しました。糖質ドリンクの違いで、糖質の摂取量が増加すると、運動中のRER、全身炭水化物酸化および脂質酸化、総炭水化物使用量および総脂質使用量は、条件間で有意に異なりました。糖質が多いドリンクほどRER、炭水化物酸化速度は高く、脂質酸化速度は低く、総炭水化物使用量は多く、総脂質使用量は少なくなりました。つまり、糖質を多く摂れば、運動中のエネルギー源は糖質がメインとなる割合が高くなるということです。

上の図は、総エネルギー消費量(A)、60g/h(B)、90g/h ( C )、120g/h ( D )の炭水化物および脂質由来のエネルギー消費量です。

運動中の総エネルギー消費率にはドリンク間で差は認められませんでした。ドリンク別で炭水化物および脂質由来のエネルギー消費量を見てみると、90g/hドリンクを摂取した場合、代謝クロスオーバー ポイント、つまり、運動中に脂質の総エネルギー消費量が炭水化物よりも大きく寄与する時点が、60g/hドリンクと比較して約40分遅れたのに対し、120g/hドリンクではクロスオーバーポイントの発生ありませんでした。つまり、1時間に120gの糖質を摂取しながら走れば、運動中のエネルギーのメインスポンサーが糖質であり続けることになります。

上の図は、呼気 13 CO2 濃縮 ( A ) と外因性炭水化物酸化 ( B )。2時間目の外因性炭水化物酸化の平均値( C )、外因性炭水化物酸化のピーク ( D )、2時間目の酸化効率 ( E )、総エネルギー消費量への基質寄与 ( F )です 。

外因性炭水化物酸化はドリンク間で有意に異なり、当然糖質量が多いほど、外因性炭水化物酸化も多くなりました。2時間目の平均外因性炭水化物酸化、外因性炭水化物酸化速度のピークも、糖質量が多いドリンクほど高くなりました。

2時間目の酸化効率にはドリンク間で有意差はありません。図のFに示すように、運動2時間目のエネルギー消費に対する内因性炭水化物酸化、外因性炭水化物酸化、脂質酸化の寄与については、内因性炭水化物酸化の寄与はドリンク間で差がなありませんでした。しかし、糖質摂取が外因性炭水化物酸化に及ぼす用量反応効果と一致して、総エネルギー消費に対する外因性炭水化物酸化の寄与も糖質が多いほど多くなりました。もちろん、その分脂質の酸化の寄与は減少しています。

さて、上の図は、60g/h ( A )、90g/h ( B )、120g/h ( C )のドリンク負荷でトレッドミルを長時間走行した際の運動中の消化器症状の重症度です。赤が濃いほど重度の症状です。1~4は軽度の症状(つまり、消化器症状の感覚はあるが、運動を妨げるほどではない)、5~9 は重度の症状(つまり、運動を妨げるほどの消化器症状)、10 は運動中止を必要とする極度の消化器症状を示します。

中等度または重度(4以上)の消化管症状の発現率は、すべての条件において高くなっていました。ランナー全員が、1つ以上の中等度または重度の症状を経験したと報告しました。累積消化管症状スコアには有意差は認められませんでしたが、120g/hで高いスコアになる傾向がありました。しかし、吐き気、胃の膨満感、腹部のけいれんのピークスコアはドリンク間で違いがあり、吐き気スコアと胃の膨満感スコアは、120g/hドリンクで有意に高く、さらに、腹部のけいれんは60g/hの場合と比較して、120g/hドリンクの方がスコアが高くなっていました。

120g/hドリンクでは、75%が吐き気を訴え、90g/hと60g/hは25%でした。同様に、腹部のけいれん120g/hドリンクの37.5%が報告したのに対し、 90g/hと60g/hでは12.5%でした。そして、8人の参加者全員が全ての条件において4以上の胃の膨満感の症状を報告しました。つまり、糖質量が120g/h、 90g/h 、 60g/hドリンクにおいて、胃の膨満感に関する中等度から重度の症状の有病率は100 %だったのです。

上の図は、それぞれのドリンクにおける飲料の甘味(A)、飲料の快感(B)、飲水欲求(C )です。当然、糖質が多い方が飲料の甘味知覚は高くなっています。飲水欲求および飲料の快感はすべての条件で低く、条件間差は認められませんでした。

飲みたくもないのに超甘い飲み物を飲み、飲んだ快感も得られず、腹部膨満感が高くなり、吐き気を催すドリンク摂取にどんな意味があるのでしょう。

エリートランナーは本当にここまでして糖質を摂取して、レースを走らなければならないのでしょうか?脂質への依存度を上げることはタイム的に遅くなるのでしょうか?

これを参考にして、市民ランナーがレース中に120g/hという大量の糖質を摂れば、恐らく沿道で吐いてしまうランナーが続出するかもしれません。もちろん、運動強度が異なるので、意外と市民ランナーは大丈夫かもしれませんが。

このような研究が出ると、フルマラソンを早く走るには、胃腸もトレーニングが必要などと考えてしまうかもしれません。市民ランナーレベルでは、やはり健康が第一ですので、糖質過剰摂取には注意が必要でしょう。

競技の違いで、自転車競技の場合は、ランニングほどの体の上下動がないので、消化器症状が少ない可能性があります。(ここ参照)

私は糖質制限をしているので、タイムを狙わない程度のスピードで走れば、糖質摂取がゼロでもフルマラソンは完走できると思います。全力で走る場合にはやはり糖質が必要になります。

さて、私の今年のレースはどんなことになるのやら。

「13C-labelled glucose-fructose show greater exogenous and whole-body CHO oxidation and lower O2 cost of running at 120 versus 60 and 90 g·h-1 in elite male marathoners」

「13 C標識グルコースフルクトースは、エリート男性マラソン選手において、 60および90 g·h -1で走る場合と比較して、120で走る場合の外因性および全身のCHO酸化が大きく、O 2コストが低いことを示している」(原文はここ

One thought on “あけましておめでとうございます マラソンランナーはレース中に大量の糖質摂取が必要か?

  1. テレビ映像とは段違いの速さに、実際に箱根を見た人は驚くそうです「この速さで1時間走るの!!??」
    アスリートはやはり我々とは別世界に生きていらっしゃる、記録最優先、健康はもしかしたら二の次でしょうか。

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