妊娠後最初の1000日間の糖分制限は成人後の様々な疾患のリスクを下げる その3 がん

妊娠後最初の1000日間の糖分制限シリーズのその3です。(「その1」「その2」参照)

今回はがんとの関連です。イギリスのバイオバンクの参加者64,761人(1951~1956年生まれ)を対象に、成人における主要ながん(消化器系がん(肝臓がん、直腸がん)、呼吸器系がん(肺がん)、ホルモン感受性がん(前立腺がん、乳房がん))の発生率について、糖分制限がない人から妊娠時から始まり生まれて2年間糖分制限を強制されてきた人を分析しています。(図は原文より)

上の図は、幼少期の砂糖配給制限への曝露と成人期のがん発生率との関連性です。横軸で右に行くほど糖分制限が長くなります。左に行くほど短くなります。砂糖の配給制限に長く曝されたことは、成人期の複数の疾患のがんリスク低下と関連していました。胎内から1~2年間砂糖配給制限だった人は、消化器がんで肝臓がんが0.31倍、直腸がんは0.60倍でした。肺がんは0.59倍、ホルモン感受性がんの前立腺がんは0.48倍、乳房がんは0.64倍発生率が低くなりました。

肝臓がんなんて、リスクが約70%低下するのです。これは高果糖摂取が肝臓のインスリン抵抗性、新規脂肪生成、非アルコール性脂肪性肝疾患と関連しているという生物学的および疫学的証拠と一致しています。過剰な糖質(特に果糖)は酸化ストレスを高め、肝臓の炎症を促進し、発がん経路を加速させます。

直腸がんも同様で、胎内から2年間、砂糖配給制限へ曝露された人は直腸がんリスクは0.48倍でした。糖質過剰摂取が腸内細菌叢を破壊し、炎症表現型を促進し、腫瘍形成から保護する酪酸産生菌を減少させるという証拠と一致しています。

ホルモン感受性がんの前立腺がん、乳がんもインスリン/IGF-1 仮説と一致います。糖質過剰摂取で、慢性的にインスリンと生物学的利用可能な IGF-1 を上昇させ、ホルモン反応性組織における細胞増殖を刺激し、アポトーシスを阻害すると考えられます。子宮内から過剰な糖質に曝露された人は、生涯を通じて持続的な高インスリン血症と高 IGF-1 にみまわれ、ホルモン依存性悪性腫瘍のリスクが高まった可能性があるのです。

さらにこの研究ではテロメアも測定しています。

上の図は(a)が白血球テロメア長、(b)がグランザイムBです。テロメアの長さの短縮は、老化の自然な一部ですが、代謝ストレス、酸化ストレス、慢性炎症によって加速されます。糖質過剰摂取は、終末糖化産物(AGEs)の蓄積とミトコンドリア過負荷を通じて酸化ストレスの主な原因で、テロメアが短くなる可能性があります。

砂糖制限に長く暴露されて人は、白血球テロメア長が 0.05 SD 長く、それは生物学的老化が約2.2 年少ないことを意味するそうです。つまり2.2歳若いのです。

グランザイム B は、活性化 T 細胞およびナチュラル キラー細胞によって放出される細胞毒性酵素であり、血中濃度の上昇は慢性炎症および免疫老化のマーカーと考えられています。砂糖制限に長く暴露されるほど、グランザイム Bが少なくなっています。

つまり、幼少期の糖分制限は、細胞老化を遅らせ、炎症が少なく、若く、回復力に優れているのです。

さらに驚くべきことは、がんの発症率や老化の生物学的マーカーだけではなく、幼少期の糖分摂取が50年後にも人々の食生活に影響を与え続けていたことです。

幼少期に砂糖の配給制限を経験した人は、50歳頃の成人期になっても砂糖の摂取量が少ないことが分かりました。また、全体的な摂取量も少なく、食生活はより健康的で多様でした。このことから、幼少期に経験する甘味のレベルが、その後の味覚の好みに長く影響を与える可能性があるのです。

もちろん、過去は変えられません。今からでも遅くありません。

糖質制限を始めましょう。

「Early-life sugar restriction causally reduces adult cancer incidence and slows biological aging」

「幼少期の糖分制限は成人の癌発生率を低下させ、生物学的老化を遅らせる」(原文はここ

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