非常に多くの人がただ単にLDLコレステロール値が高いという理由だけでスタチンを処方されています。そして、それを止めると、まるで死んでしまうかのように脅されている人もいるでしょう。
今回の研究では、75歳以上の高齢者で、心血管疾患の一次予防のためのスタチンを止めたらどうなるかを評価しています。1160人が対象で、639人の参加者がスタチン継続群にランダムに割り当てられ、521人の参加者がスタチン中止群に割り当てられました。年齢の中央値は80歳です。ベースラインの平均総コレステロールは197.9 mg/dL、平均 LDL コレステロールは113.2 mg/dLでした。
3か月目において、総コレステロールはスタチン継続群では安定していて、196.9 mg/dLから 197.9 mg/dLだったのに対し、スタチン中止群では 199.0 mg/dL から 257.3 mg/dLに増加し、その後 3 年まで安定していました。LDL コレステロールもスタチン継続群では安定し112.0 mg/dから 111.6 mg/dL だったのに対し、スタチン中止群では 114.6 mg/dLから 170.6 mg/dLに増加しました。
3年間でどうなったでしょう?(図は原文より)
上の図は、全原因死亡を示しています。赤がスタチン継続群、青が中止群ですが、全く違いはありません。36か月時点で、スタチン継続群の604人の参加者のうち48人(7.9%)とスタチン中止群の484人の参加者のうち35人(7.2%)が死亡しました。
また、スタチン中止群では、心血管イベントの増加は認められませんでした。
つまり、スタチンを止めても、そのことで死が早まることはないでしょう。
そもそもスタチンは、心臓病予防のために5年間投与された患者でのNNT(治療必要数)は104です。(ここ参照)つまり、恩恵があるとしても100人に1人であり、それ以外には何の恩恵もないだけでなく、糖尿病発症や筋肉の問題が出現します。死亡率を減らす効果もありません。
高齢者対しても同様の結果です。
さらに以前の記事「高齢者のスタチンは死亡率が増加するかもしれない」で書いたように、スタチンによって逆に死亡率が増加している可能性すらあります。
高齢者は薬を飲めば飲むほど弱ります。(「薬で弱らされている高齢者」「処方薬が減ると高齢者の摂食量が増加」「多剤併用をやめよう」など参照)
薬の断捨離が必要です。
「Discontinuation of statins for primary prevention of atherosclerotic cardiovascular disease in adults aged 75 years or older (SAGA/SITE): a multicentre, open-label, pragmatic, non-inferiority randomised trial」
「75歳以上の成人におけるアテローム性動脈硬化性心血管疾患の一次予防のためのスタチン中止(SAGA/SITE):多施設共同、非盲検、実用的、非劣性ランダム化試験」(原文はここ)
