本当に薬をいっぱい飲んでいる人が多いのに驚きます。それとともに、一人の患者にこれほど多くの種類の薬を処方している医師が多いのにはもっと驚いてしまいます。もう何が効いていて、何が副作用で、何が患者本来の症状なのかわかりません。

服用する薬が多ければ多いほど、死亡率はどうなるでしょうか?

今回の研究では多剤併用中止をして、12か月後どうなるかを調べています。平均年齢81~82歳の高齢者施設(ナーシングホーム)の190人を対象として、119人を薬削減群、71人を多剤併用そのままのコントロール群としています。ベースラインで処方されていた薬の平均数は7.09でした。そのうち全部で 332 種類の薬剤が中止され、1 人あたり平均 2.8 薬剤が中止されたことになります。(図は原文より)

上の図は1年後の薬中止の成功率です。7種類の薬をやめようとした2人は全部で14種類のうち3種類が失敗しました。全体では18%の人で、10%の薬は中止に失敗しましたが、逆に言えば90%は中止できました。

下の図は中止に薬の種類別の成功率です。

22人の患者における硝酸薬(いわゆるニトロ)の中止は、臨床的またはECGの変化とは関連していませんでした。しかも100%の成功率です。胃酸を抑える H2 ブロッカーを中止しても、94% で上部消化管症状は発生しませんでした。 降圧薬の中止は、51 人のうち 42 人 (82%) で血圧の上昇を引き起こさしませんでしたが、「失敗」と定義された 9 人の人では、降圧薬の数またはその投与量が減らされました。

ペントキシフィリン(血流を改善する薬)、カリウム、鉄製剤の成功率もほぼ100%です。他の薬物(非ステロイド性抗炎症薬、鎮痛薬、スタチン、経口血糖降下薬、アマンタジン、カルバマゼピン、ジゴキシンなど)は中止されましたが、薬物中止に起因する可能性のある有害な所見はありませんでした。

定量的な評価はされていませんが、施設のスタッフの報告では、一部の人に動揺(興奮)の減少、注意力の向上、さらには障害の改善を認めました。

さあ、最も重要なことです。1 年後の死亡率は、コントロール群で45%、薬削減群で21%でした。なんと死亡率半減です。乱暴な言い方をすれば半分は処方された薬で命を縮めていたことになります。 急性期医療施設への年間紹介率も、コントロール群の30%と比較して薬削減群で11.8%と有意に低くなりました。

無駄な薬、効果のない薬は毒にしかなりません。多剤併用が当たり前になり過ぎていて、患者も家族も、そして医師も平気で多くの薬を使っています。薬に起因する副作用に薬が処方され、どんどん薬が増加することもあります。薬が効かなければその薬を変更するのではなく、さらに薬が重ねて処方されることもあります。そうなればどれが効いているのか、効いていないのか、メインの症状は何で、副作用な何なのか全くわからず、患者も家族も何のために飲んでいる薬なのかも理解できなくなります。

私は薬をできる限り減らすように患者に説明しますが、私が処方した薬ではないので、止めることが難しいことも多いです。処方した医師にやめたいと言っても脅されたり、嫌な顔をされたりというのはよくあることです。

まずは食事を改善して、糖質制限をして、病気の予防、改善が必要です。そうすれば飲まなければならない薬は最低限となるでしょう。ほとんどの病気は糖質過剰症候群ですから。

 

「The war against polypharmacy: a new cost-effective geriatric-palliative approach for improving drug therapy in disabled elderly people」

「ポリファーマシーとの戦い: 障害のある高齢者の薬物療法を改善するための新しい費用対効果の高い高齢者緩和アプローチ」(原文はここ

2 thoughts on “多剤併用をやめよう”
  1. 薬で胃腸が荒れるから消化薬も処方、という時点で違和感を感じてしまいます。
    医師や薬剤師の方にはさすがに言えませんが、、、

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      痛み止めにはよく胃薬が併用されますが、そもそもずっと痛み止めが必要なこと自体が問題です。

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