「その1」ではグルコサミンについて書きました。今回はオメガ3です。以前の記事「オメガ3サプリメントは高齢者の認知機能低下を加速させるかもしれない」で書いたように、最近オメガ3サプリは認知機能に関して良くない情報が出てきています。
今回の研究では、ベースラインで認知症がなく、かつ 1 つ以上の認知症リスク因子を有する、オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚をほとんど食べない(食事からの DHA 摂取量が200 mg/日未満)55歳から80歳までの人365人を対象としています。そのうち約半数(47%)は、晩発性アルツハイマー病の最も強力な遺伝的リスク因子であるAPOE4遺伝子を保有していました。参加者は、毎日サプリメントを摂取するグループとプラセボを摂取するグループにランダムに割り当てられ、サプリメントには、オメガ3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)が2,000mg含まれていました。DHAは神経保護作用や認知機能低下を遅らせる作用があると考えられています。
脳脊髄液 (CSF) 採取を行い、6 か月後の CSF のDHA 対アラキドン酸 (AA) 比の変化を調べました。さらに24 か月後の神経画像検査および認知機能測定を行いました。(図は原文より)
上の図は、CSF のDHA 対アラキドン酸の比です。青がプラセボ、赤がDHAサプリ群です。図のAは全体、BはAPOE4遺伝子を保有の有無で分けています。どちらもDHAサプリ群でDHA 対アラキドン酸の比が増加しています。確かに、DHAサプリによって脳にはDHAが送達されているようですね。脳内のDHA濃度が平均17%増加しています。
上の図は、24 か月間の海馬体積の変化です。左と右の海馬に分けています。DHA 群とプラセボ群の間で有意差は認めませんし、APOE4遺伝子を保有の有無でも変わりません。
ちなみに、DHAサプリにより、24か月後の赤血球 DHA/AA 比およびオメガ3指数、6か月後の血漿 DHA/AA も、ちゃんと増加していました。
つまり、数値は増えた、でも効果はなかった、ということです。
恐らく魚の摂取量が多い、地中海式の食事の影響でオメガ3への期待が高くなっていると思われます。しかし、単一の栄養素の問題ではなく、トータルの食事や生活の違いを考えなくてはなりません。
以前のコクランでも、オメガ3サプリの認知症への効果は認められていません。(ここ参照)
そう言えば、群馬大学は「オメガ3脂肪酸の摂取は低糖質・⾼タンパク質⾷による認知機能の低下を防ぐ」という研究を出していましたね。低糖質・高タンパク食と言っても、炭水化物25.1%、タンパク質57.2%、脂質17.7%の食事です。この低糖質・高タンパク食を食べる「ネズミさん」は海馬のあるmRNA発現の低下、作業記憶を低下させるそうです。そこにオメガ3脂肪酸、とりわけDHAの摂取をさせると、作業記憶機能の維持ができるそうです。
生まれ変わって、ネズミになったら、DHAを多く摂りましょう。
オメガ3は必須脂肪酸です。しかし、食事から、魚からオメガ3を摂取すべきでしょう。しかし、その前に認知症予防には糖質制限です。
「CNS target engagement of high-dose DHA supplementation in older adults at risk for dementia: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial」
「認知症リスクのある高齢者における高用量DHAサプリメントの中枢神経系への作用:無作為化二重盲検プラセボ対照試験」(原文はここ)

