代謝の異常が不可逆的になるのを待っていてはダメです。医療や検査機関が都合よく決めた正常値に騙されてはいけません。
「その1」では、糖尿病がその発症の10年以上も前から始まっていることを書きました。
今回は、すい臓のインスリンを分泌する細胞、β細胞の可逆的なβ細胞機能障害、次に不可逆的なβ細胞機能不全という考えについて書いてみたいと思います。
8か国から集められた3,000人以上の被験者から得られた病態生理学的研究によると、2型糖尿病に伴うβ細胞機能障害/機能不全は、一般的に考えられているよりも早期に発症する可能性があることが示唆されています。(図は原文より)
上の図は、β細胞機能障害と機能不全の自然経過を示しています。縦軸は正常値に対する割合で、横軸は、1型糖尿病(年)と2型糖尿病(10年)の期間を示しています。
Aはβ細胞機能で縦の線は現在定義されている正常(NL、緑色の〇)、サブクリニカル(無症候性)前糖尿病(サブクリニカルPre DM、黄色の〇)、前糖尿病(Pre DM、オレンジ色の〇)、2型糖尿病と1型糖尿病(赤色の〇)を示しています。
460人の被験者(正常から2型糖尿病まで)のβ細胞機能の調査では、OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)後の2時間血糖値が120 mg/dLの「正常」な場合でさえ、β細胞機能は50~60%の機能の低下(下の黄色の〇)を反映し、180~200 mg/dLでは約80%の減少(下のオレンジ色の〇)と関連していることが示されました。
同様に、1,601人の肥満青年において、2時間後の血糖値が100~119 mg/dLまたは120~139 mg/dLでは、正常(緑の〇)と比較して、それぞれ20%(上の黄色の〇)および50~70%(下の黄色の〇)の著しい機能低下を示しました。
OGTT 2時間値が140〜199 mg/dLは前糖尿病としていますが、その手前であってもβ細胞機能は大きく低下してしまっているのです。
図のBは組織学的なβ細胞量を示しています。破線の垂直線は、正常(NL、緑色の〇)、初期β細胞機能不全、中等度β細胞機能不全(オレンジ色の〇)、進行したβ細胞機能不全(赤色の〇)です。
空腹時血糖異常 (IFG)、耐糖能異常 (IGT)ではβ細胞量がすでに50%前後まで減少してしまっています。2型糖尿病ではさらに減少しています。
Cはβ細胞の機能と細胞量のズレを示しています。緑色の実線の矢印の部分を見ると、β細胞の機能は約75%低下していますが、β細胞量は約50%の減少にとどまっています。だから、この時点で食事改善(または治療?)をしていれば、25%分は細胞を失う前に機能を維持できる可能性があるのです。
図のDは他の要因などがβ細胞機能障害の大きな割合を示していることを表しています。BMIや食事の改善でβ細胞量が減る前に機能を改善できると考えられます。
つまり、β細胞の機能障害は、細胞量減少による機能不全より先行します。β細胞機能障害の時点で早く、糖質制限をすれば、β細胞が減らずに済むわけです。
上の図のように、糖尿病の進行は、1型糖尿病(〇)発症前の7年間または2型糖尿病(□)発症前の13年間で類似しており、糖尿病発症の1~2年前までは「正常」ではあるものの、空腹時血糖値はわずかに上昇しています。どちらも、発症前の1~2年間で血糖値が急速に上昇します。
空腹時血糖値が90 mg/dL以上に持続的に上昇することは、潜在的に異常であると考えるべきでしょう。
早めに糖質制限を始めましょう。
「Diabetes: Concepts of β-Cell Organ Dysfunction and Failure Would Lead to Earlier Diagnoses and Prevention」
「糖尿病:β細胞器官の機能障害と不全の概念は、早期診断と予防につながるだろう」(原文はここ)


本日、職場健診楽しみです。