空腹時インスリンを測定していますか?

みなさんは空腹時インスリンを測定したことがありますか?20年前の論文ですが、虚血性心疾患のリスク因子として空腹時インスリン値が重要であることを示しています。

ただ、空腹時インスリンだけではなく、アポBとsdLDLの3つを合わせたものが最もリスクを明らかにしているようです。この3つの因子と、従来の危険因子である、LDLコレステロールと中性脂肪とHDLコレステロール値の3つを合わせたものを比較しています。(表は原文より)

まずはそれぞれの因子がどれほどリスクになるかです。もっともリスクが高いのが空腹時インスリンで10μU/mL以上で5.5倍です。次に中性脂肪で135mg/dL以上で3.5倍です。その次はアポBで110mg/dL以上で2.7倍、sdLDLで2.5倍と続きます。その後にLDLコレステロールで143mg/dL以上で2.4倍、最後がHDLコレステロールで39mg/dL以下で1.6倍となっています。

上の表はそれぞれのリスク因子がない場合または1つだけある場合と2つや3つある場合のリスクを評価しています。一番上のModel1は従来の危険因子である、LDLコレステロール増加と中性脂肪増加とHDLコレステロール値低下が全くない場合またはひとつだけある場合を1として、2つある場合が3.1倍、3つある場合が3.0倍であることを示していますが、従来の因子ではない空腹時インスリン増加、アポB増加、sdLDLで調整すると(Model2)、3つある場合でも有意差が消えてしまいます。

Model3は従来の因子ではない空腹時インスリン増加、アポB増加、sdLDLがない場合またはひとつだけの場合を1として、2つある場合が3.7倍、3つある場合が5.9倍であることを示しています。これを従来の因子であるLDLコレステロール増加と中性脂肪増加とHDLコレステロール値低下で調整(Model4)すると、3つある場合は5.2倍であり、しかも有意差が認められます。

そう考えると、最もリスクの指標となるのは空腹時インスリン値なのかもしれません。つまり、虚血性心疾患のリスクはインスリン抵抗性が最も重要な因子ではないかと考えられるのです。

冠動脈が詰まる場合に血栓ができるのですが、通常であれば血液が固まる機能(凝固系)とそれを溶かす機能(線溶系)がうまく働き、血管には血栓ができないようになっています。しかし、凝固系が亢進したり、線溶系が低下すると、血栓ができやすくなります。

インスリンが増加するとこの線溶系が低下すると言われています。また、線溶系の低下はVLDLの増加や中性脂肪の増加とも関連しているようです。そう考えると、インスリン抵抗性を起こす病態、つまりは高血糖状態がインスリンを増加させ、高血糖とインスリン抵抗性が起こるとVLDLの増加、中性脂肪の増加は起こり得ます。またインスリン抵抗性により慢性炎症が起こります。高インスリン血症は凝固線溶系のバランスを崩し、線溶系の低下を招き、慢性炎症を起こした血管に血栓ができやすくなります。

つまり、LDLコレステロールの増加や、中性脂肪の増加、HDLコレステロールの低下、アポBの増加、sdLDLの出現は全て慢性炎症とインスリン抵抗性の結果であり、虚血性心疾患の根本的な原因はインスリン抵抗性ではないでしょうか?さらに根本は糖質の過剰摂取です。

そう考えるとこの研究の結果は上手く説明できます。

今回の研究の重要と考えられる空腹時インスリン、アポB、sdLDLはどれも一般的な健康診断などで行う検査ではありません。しかし、一度自分の空腹時インスリン値を知っておくことは大事なことかもしれません。10を超えるようであれば、すぐに糖質制限を始めた方が良いと思います。

「Fasting insulin and apolipoprotein B levels and low-density lipoprotein particle size as risk factors for ischemic heart disease」

「虚血性心疾患の危険因子としての空腹時インスリンおよびアポリポタンパク質BレベルおよびLDL粒子サイズ」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする