PPI(プロトンポンプ阻害薬)とスタチンはマッチポンプ薬の二大巨頭です。特にPPIは様々な疾患リスク、死亡リスクを高めます。(「PPI(プロトンポンプ阻害薬)は死亡率を増加させる」「PPI(プロトンポンプ阻害薬)は様々な死亡率を上昇させるかもしれない」など参照)
今回の研究ではPPIと全原因死亡および原因別死亡のリスクを分析しています。
PPIの新規の使用者733,885人とH2ブロッカーの新規使用者124,410人と比較したのと、PPIの新規使用者689,60人と胃酸抑制治療を行っていない1,361,245人を比較しました。下の2つの図は様々な原因での死亡リスクを示しています。(図は原文より、表は原文より改変)
上の図は緑がH2ブロッカー使用者、オレンジがPPI使用者で、累積の全原因死亡率です。PPI使用者の方が死亡率が高いのがわかります。下の表はH2ブロッカー使用者と比較したPPI使用者の、個々の原因別の死亡リスクです。
PPI 使用者/H2ブロッカー使用者 | ||
死因 | HR | 95%信頼区間 |
すべての原因 | 1.31 | 1.26-1.37 |
感染性疾患 | 1.39 | 1.20-1.60 |
非感染性疾患 | 1.32 | 1.27-1.38 |
ケガ/外傷 | 0.94 | 0.74-1.20 |
腫瘍 | 1.62 | 1.50-1.74 |
心臓血管/循環器系 | 1.14 | 1.07-1.22 |
慢性呼吸器疾患 | 1.33 | 1.14-1.55 |
肝硬変 | 1.90 | 1.01-3.56 |
肝硬変以外の消化器系 | 1.39 | 1.12-1.74 |
神経 | 0.78 | 0.53-1.15 |
精神的および行動 | 0.87 | 0.67-1.13 |
糖尿病、泌尿生殖器、血液、内分泌 | 1.23 | 1.01-1.48 |
筋骨格系 | 1.03 | 0.67-1.57 |
PPIに関連する個々の原因 | ||
肺炎 | 1.31 | 1.11-1.54 |
急性腎障害 | 2.61 | 0.95-7.17 |
C.ディフィシル 腸炎 | 1.57 | 0.73-3.35 |
心房細動/粗動 | 1.04 | 0.68-1.57 |
心不全 | 1.25 | 0.94-1.67 |
大動脈瘤 | 1.03 | 0.67-1.59 |
認知症とアルツハイマー病 | 0.85 | 0.68-1.08 |
慢性腎臓病 | 1.63 | 0.93-2.84 |
高血圧性心疾患 | 0.58 | 0.34-1.00 |
虚血性心疾患 | 1.21 | 1.10-1.33 |
肺がん | 1.89 | 1.63-2.20 |
中皮腫 | 1.60 | 1.00-2.57 |
乳がん | 1.83 | 1.45-2.31 |
肝がん | 1.98 | 1.23-3.19 |
前立腺がん | 1.42 | 1.03-1.96 |
胃がん | 2.71 | 1.73-4.23 |
アルコール性肝疾患 | 2.93 | 1.59-5.39 |
慢性閉塞性肺疾患 | 1.34 | 1.11-1.61 |
転倒を除く偶発的な外傷 | 1.07 | 0.72-1.59 |
肺塞栓症 | 1.50 | 0.98-2.31 |
全原因死亡で1.31倍、感染性疾患でも1.39倍です。そして本当に様々な疾患による死亡リスクが高くなっているのがわかります。特にがんの死亡リスクは高く、胃がんは2.71倍です。
下の表はPPIを使用していない人と比較したPPI使用者の様々な死亡リスクです。
死因 | HR | 95%信頼区間 |
すべての原因 | 1.96 | 1.94-1.99 |
感染性疾患 | 1.49 | 1.42-1.56 |
非感染性疾患 | 1.99 | 1.96-2.02 |
ケガ/外傷 | 1.26 | 1.17-1.35 |
腫瘍 | 3.74 | 3.64-3.84 |
心臓血管/循環器系 | 1.36 | 1.33-1.39 |
慢性呼吸器疾患 | 1.46 | 1.40-1.53 |
肝硬変 | 4.10 | 3.36-5.01 |
肝硬変以外の消化器系 | 1.88 | 1.78-2.00 |
神経 | 1.16 | 1.08-1.24 |
精神的および行動 | 1.07 | 1.00-1.15 |
糖尿病、泌尿生殖器、血液、内分泌 | 1.60 | 1.50-1.71 |
筋骨格系 | 1.56 | 1.35-1.80 |
PPIに関連する個々の原因 | ||
肺炎 | 1.44 | 1.37-1.53 |
急性腎障害 | 1.56 | 1.10-2.21 |
C.ディフィシル 腸炎 | 2.16 | 1.71-2.74 |
心房細動/粗動 | 1.54 | 1.32-1.79 |
心不全 | 1.87 | 1.67-2.10 |
大動脈瘤 | 1.06 | 0.97-1.16 |
認知症とアルツハイマー病 | 1.03 | 0.96-1.09 |
慢性腎臓病 | 2.11 | 1.64-2.71 |
高血圧性心疾患 | 1.02 | 0.87-1.19 |
虚血性心疾患 | 1.35 | 1.31-1.39 |
肺がん | 3.16 | 2.98-3.34 |
中皮腫 | 3.62 | 2.91-4.50 |
乳がん | 2.80 | 2.57-3.04 |
肝がん | 4.72 | 3.83-5.82 |
前立腺がん | 3.14 | 2.84-3.48 |
胃がん | 14.59 | 11.16-19.08 |
アルコール性肝疾患 | 3.24 | 2.80-3.75 |
慢性閉塞性肺疾患 | 1.29 | 1.22-1.35 |
転倒を除く偶発的な外傷 | 1.28 | 1.15-1.43 |
肺塞栓症 | 1.43 | 1.23-1.67 |
ほぼすべての原因の死亡リスク増加が認められます。H2ブロッカー使用者との比較よりもさらにリスク増加があります。全原因死亡は1.96倍、腫瘍全体で3.74倍、肺がん3.16倍、乳がん2.8倍、肝がん4.72倍、前立腺がん3.14倍、胃がんは何と14.59倍です。肺塞栓症でも1.43倍です。
あなたはそれでもPPIを飲みますか?PPIの危険性を全く説明せずにずっと処方し続ける医師を信用できますか?
「Proton pump inhibitors and risk of all-cause and cause-specific mortality: A cohort study」
「プロトンポンプ阻害薬と全死因および原因別死亡のリスク:コホート研究」(原文はここ)
この事に限らず、ドクターシミズ氏の主張している事は確かに様々な研究結果やそのデータに基づく根拠かも知れませんが、そもそもそのデータが真実が虚偽かを、我々一般人で正確に判断出来る素養を持っている人はごく僅かでしょう。また、例えば国が安全だと言ってそれなりの根拠データを出した場合も同じ事です。
即ち、一般人は何を根拠にその情報を信じたら良いのかは、自身がその情報の専門家でもない限りは、その情報の信頼性の判断は事実上不可能であり、それを根拠としては良し悪しを判断出来ない事になります。
では、我々一般人は何を根拠に情報を信用すべきかですが、それはその情報を主張している主体が何か・その主体がどのような責任を負っているかで判断すべきだと私は考えています。
例えば、国の主張とドクターシミズ氏の主張が対立する場合、互いに専門的なデータも出して主張したとしても、今述べたように一般人は正確にその良し悪しを判断する事は出来ません。
では何を根拠にその良し悪しを判断するのかと言うと、負っている責任の重さです。国は曲がりなりにも全国民の生命に対して責任を負っているが、ドクターシミズ氏は専門家としてそれなりの責任を負ってはいますが、国ほどの重責ではありません。
従ってこの場合、国の主張を信用すべき事になります。ただ注意すべきは、国の主張が正しいと判断したから信用するという事では無く、負っている責任の重さで判断する事しか判断する手立てがない、ドクターシミズ氏より国を信用した方がまだマシである、そのレベルに過ぎないという事です。
吉岡斎さん
私は全くみなさんの健康に責任などありません。私のひとりごとを信じるかどうかは個々の判断です。
国は全国民の生命に対して責任を負っている、と思えるんですね。
その重責を負った国が推奨、推進したコロナのワクチンでどれほどの死者や健康被害を負った人がいるかご存じですか?
これまでいくつもの薬害があったことはどうですか?データの捏造もしていますよね?
都合の悪い情報は隠しますよね?
はたしてどれほどの厚労省の役人が国民の生命に対して責任を負っている、と思っているのでしょうかね?
政治家は裏金作りに勤しんでいますし。厚労省の大臣は様々なところから献金をもらっています。
議論したいとは思いません。私は私が正しいと思っていることを情報として書いているだけです。
何を信じるか、誰を信じるかは、それぞれが判断すれば良いことです。
糖質制限の効用は自分の体で試して実感すればいいんですね
とりわけ健康人が「江部・清水流の糖質制限」を試すのであれば良いことばかり。やらない手はないでしょう。個人の感想ですが(笑)
カルダノ栄太さん、コメントありがとうございます。
自分で試さずに否定する人が多いですからね
ちなみに、「江部・清水流の糖質制限」ではありません。「江部先生の糖質制限」です。私の名前はいりません。
また、江部先生が第一人者であるので、「江部流」でもありません。
「何を根拠にその良し悪しを判断するのか」
と言うと私の場合「実感」です。
ただ大事だと思うのは、
感覚を鋭敏に保って、正しい判断力を
維持できるコンディショニンク。
スーパー糖質制限は、少なくとも安易な
服薬よりコンディショニングに有効、
の実感があります。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
医者の中にも安易に自分で薬を飲んでいる人はいますからね。
一般の人は薬で健康になれると勘違いするのは、仕方がないのでしょうね。