橋本病にも糖質制限

糖質制限は甲状腺ホルモンに影響を与えます(「糖質制限は甲状腺ホルモンの変化を起こす」など参照)が、自己免疫性甲状腺炎、橋本病にはどんな影響があるでしょうか?

今回の研究では、橋本病の40人を対象に、2つのグループに分け、通常の食事と糖質制限の食事を6か月摂ってもらい、自己抗体の抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)と抗サイログロブリン抗体(TgAb)、甲状腺の水分含有量を評価しました。慢性炎症では水分貯留が増加しますが、それは橋本病の患者にも観察され、甲状腺の炎症により甲状腺組織の⽔分含有量が増加します。

糖質制限は炭⽔化物12%〜15%、タンパク質50%〜60%、脂質25%~30%と比較的タンパク質多めです。(図は原文より)

上の図は、通常の食事のコントロール群と糖質制限群のベースラインの特徴です。自己抗体は非常に個人差があるため、平均値ではかなり糖質制限群が高くなっていますが、通常食群と統計的な差はないようです。6か月後、通常食群ではTPOAbは29.21→34.12へ、TgAbは3.86→5.80へと統計的には有意ではありませんがちょっと増加しています。

上の図はベースラインと糖質制限6か月後のデータです。自己抗体は大きく低下し、水分含有量は低下しています。ただ、どれくらいの水分が正常なのかはよくわかりません。だからこの水分量の低下が大きな低下なのか、わずかな低下なのかはわかりません。

上の図は糖質制限群のベースラインと6か月後の自己抗体のグラフです。

上の図は糖質制限群の甲状腺の水分含有量の変化です。水分含有量の低下は炎症の減少を意味していると考えられます。

拙著『「糖質過剰」症候群』でも、橋本病に糖質制限をすると自己抗体が大きく低下することを書きました。橋本病だけでなく自己免疫疾患にはまずは糖質制限をしてみることが重要かもしれません。

自己免疫疾患も糖質過剰摂取が大きな要因ですから。

 

「MRI quantitative assessment of the effects of low-carbohydrate therapy on Hashimoto’s thyroiditis」

「橋本甲状腺炎に対する低炭水化物療法の効果の MRI 定量的評価」(原文はここ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です