骨の健康の多くは骨密度で評価されます。骨の健康は糖尿病ではどうでしょうか?
今回の研究では、4,135人を対象に糖尿病の有無で3つのグループに分けました。糖尿病なし(ND)は3715人、2型糖尿病は420人で、HbA1cが7.5%未満に適切(?)にコントロールされている(ACD)のが203人、不十分なコントロール(ICD)が217人でした。
分析の結果、糖尿病のある人は、糖尿病でない人よりも腰椎と大腿骨頸部の骨密度が高くなっていました。コントロール不十分なICD群は、適切コントロールのACD群と比較して、大腿骨頸部と腰椎の両方で骨密度が1.1~5.6%高くなっていました。
大腿骨頸部を見てみると、下の図のようになっていました。(図は原文より)
糖尿病でないND群と比較して、ICD患者の骨の皮質はND群より5.6%厚く、ACD群より4.6%厚くなっていましたが、頚部の径はICD群の方が狭くなっていました。
上の図は骨折の累積の発生率です。太い実線がICD群で、最も骨折が多くなっています。
ICD群の人は、ACD群よりも 1.62倍、ND群よりも1.47倍骨折リスクが増加していましたが、ACD群の人とND群の人では差がありませんでした。
骨折リスクの増加は女性の方が有意に高く、ICD群女性ではACD群の女性の2.08倍、ND群の1.64倍でした。
他の研究のメタアナリシスでも2型糖尿病では、大腿骨頸部、股関節、脊椎で有意に骨密度が高くなっていました。(ここ参照)そして、BMIが高く、HbA1cが高いことが、骨密度が高いことと正の相関がありました。体重が多いほど、血糖値のコントロールが悪いほど骨密度は高いのです。
別のメタアナリシスでも2型糖尿病は、股関節骨折のリスク増加は男性で2.8倍、女性2.1倍でした。(ここ参照)
つまり、糖尿病、特にコントロールの良くない場合、骨密度が高いのに骨折のリスクが高くなっているのです。やはり、骨の健康は骨密度だけではわからず、骨の質の問題も大きいのでしょう。
まずは糖質制限で質の良い骨を維持しましょう。
「High bone mineral density and fracture risk in type 2 diabetes as skeletal complications of inadequate glucose control: the Rotterdam Study」
「不適切な血糖コントロールによる高い骨密度と2型糖尿病における骨格合併症としての骨折リスク:ロッテルダム研究」(原文はここ)
「骨の健康は骨密度だけではわからず、骨の質の問題も大きいのでしょう。」
糖質制限や運動で質を保つように
したいです。
骨を強くする注射をされている
高齢者は多いですが、
生活習慣見直さずに
注射一本で骨折予防できるなら
楽ですね。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
骨粗しょう症もビジネス化しています。とにかく、骨密度を頻繁に測定し、予防と称して、
ずっと治療を続けるのがスタンダードです。
中には途中で治療を止めると逆に骨折リスクが増加すると言われているものもあります。