ノースダコタ大学のUND Todayによると、大腸内視鏡検査の後の1週間は非常に虫垂炎のリスクが高くなるようです。
これはJAMAにも発表されています。(原文はここ)
大腸内視鏡検査と虫垂炎の罹患率を調べてみると、なんと、大腸内視鏡検査後の最初の1週間の虫垂炎と虫垂切除率は、その後の51週間(つまり大腸検査後2週間から52週間まで)に比べて少なくとも4倍も高いことが判明したというのです。条件によっては12倍にも増加するともいうことです。
理由は不明ですが、検査そのものの影響か、検査前処置の大量の下剤の影響かもしれません。検査はガスを送り込んで行うので大腸に圧力が加わります。それが虫垂炎に関連するのか、それとも腸内細菌までも洗い流してしまう、検査前の大量の下剤により、腸内細菌叢のバランスが急激に崩れて、それが虫垂炎を引き起こしているかもしれません。両方とも関係していると思いますが、私は後者、腸内細菌のバランスの崩壊にあると思います。
虫垂はリンパ系の臓器で免疫のIgAを産生したり、腸内細菌叢の制御に関与していると考えられています。(大阪大学の研究より)
つまり、以前は必要がないものと考えられていましたが、重要な役割がありそうだというのです。
大量の下剤で腸内はきれいになりますが、腸内細菌にとっては大洪水に襲われたようなもので、かなり腸内細菌は便と一緒に出てしまうでしょう。その後の腸内細菌の回復の仕方や、その時の虫垂の働きが、もしかしたら大きな影響があり、虫垂炎になってしまうのかもしれません。
大腸内視鏡を否定しているわけではなく、非常に有用な検査であり、虫垂炎のリスクを恐れて大腸内視鏡を中止することは、全くお勧めしません。
それよりも腸内細菌の役割や虫垂の役割などまだまだわからないことだらけです。
虫垂炎自体は昭和59年と平成14年のデータではほぼ半減しています。平成26年ではさらに減少しています。
一部の医療機関で腸内洗浄を行っているようですが、もしかしたらもっと慎重に検討しなければならないかもしれません。腸内細菌は大事な共存者ですから。