運動は必ずしもインスリン抵抗性を低下させない

運動は健康のために非常に良い習慣です。しかし、だからと言ってインスリン抵抗性が低下するとは限りません。もちろん、何もしないよりはインスリン抵抗性が下がる可能性がありますが、逆に運動していることにより多くのエネルギー摂取を糖質から摂ってしまうことがあります。そうすると、インスリン抵抗性は増加してしまうこともあります。

私はフリースタイルリブレを使って様々なデータをこのブログに提供してきましたが、これだけマラソンをしていても、多くの糖質を摂取した時には、血糖値がドカンと上がってしまいます。

同じように運動を行っている若い人に対して、持続的なグルコース測定器を使って、6日間の血糖変動を記録した研究があります。機器はフリースタイルリブレではありません。私の場合はn=1ですが、この研究はn=10です。数は少ないのですが、しかし、ものすごい示唆に富んだものです。

特にひどい結果のアスリート5番の選手をとりあげると、彼は28歳で体脂肪率14.1%、1日に2時間30分以上も運動を行っています。そして計算で求められるエネルギー必要量は1日3864kcal でしたが、実際の摂取エネルギ―の平均は2568kcal でした。しかし、1日に砂糖(炭水化物ではない)を100g程度摂取していました。彼の空腹時血糖は108mg/dlでした。食後2時間を除いた時間の血糖値が108mg/dl以上になっている時間の割合は約70%でした。

下にグラフを示します。6日間の彼の血糖値の変動です。薄い緑色の部分が、いわゆる血糖値の正常値です。

 

 

他のアスリートのものも含めて、グラフにしたものが次の2つの図です。

左が6日間すべての時間のもので、右が食後2時間の間を除いたものです。緑色の部分にとどまっているアスリートがいる反面、ほとんどが高い血糖値を記録しているアスリートも4人いることに驚きます。ただ、大した練習時間をとっていない人もいるので、何とも言えない部分もありますが、普段から体を動かす習慣があっても、食事が悪ければこのようになってしまうのです。

 

これらのデータは持続的なグルコース測定をして初めてわかることです。非常に重要なデータです。私もできる限りデータを出していきたいと思います。

ちなみに私の2週間のフリースタイルリブレの記録をお見せします。

 

この研究と違い、血糖値を70~140の範囲で区切っています。しかし、食後であってもほとんどが140以下であり、食後2時間を除くとほとんどの時間が100を余裕で切っていることがわかると思います。これが糖質制限の威力です。(とはいっても、たまに血糖値がドカンと上がっているのはちょっと恥ずかしいですが、外食などもあると予想以上に上がることもあります。言い訳ですが。)

 

「Blood Glucose Levels of Subelite Athletes During 6 Days of Free Living」

「6日間の自由な生活の間での、サブエリートアスリートの血糖値」(原文はここ

要約

連続グルコースモニタリング(CGM)装置は、1~5分の測定間隔を有し、血糖の濃度動態を従来の血糖測定よりも頻繁に、非侵襲的にたらえることを可能にする。 この研究では、高められたエネルギー消費と食物の摂取が最適な血糖値を達成する能力にどのような影響を与えるかを調べた。

方法:10人のサブエリートアスリート(安静時心拍数 <60 bpm、トレーニング> 6時間/週)を対象とした。 2つのCGM装置を腹部に刺し、そのまま6日間保った。

結果:食後2時間に渡る時間を除いても、10人のうち4人のアスリートは、合計モニタリング時間の70%以上の間、血糖値が6.0 mmol/L (108mg/dl)以上であった。。空腹時血糖は10人中3人のアスリートで、アメリカ糖尿病協会(ADA)の定義の前糖尿病状態の範囲にあった。 1人だけが、かなりの時間4.0mmol/L以下であった。これは、推奨されているよりもエネルギー摂取量が大幅に低いためだった。

結論:期待とは逆に、高い血糖は運動選手にとってより懸念されることであった。また、エネルギー消費量が最も高く、推奨炭水化物摂取量を下回る人々で血糖値が低かった。この研究は、スポーツ選手全体の健康に対するこの高血糖の原因と影響をより正確に判断するために、推奨される食事と選手の血糖値についてさらに調査する必要がある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です