現在では、最も心血管系疾患にリスクのあるものは中性脂肪だということがはっきりしてきていますが、故意になのか、知らないのか、中性脂肪を無視している医師がいます。
先日も心臓血管外科の医師と、消化器外科の医師と話したことがありましたが、「中性脂肪が低いのは本当に健康に良いの?」「中性脂肪は1,000ぐらいまで問題ないよね!」なんていう会話をしていました。がっかりしてしまいました。消化器外科であればまだ仕方ないと思いますが、心臓の医療に携わる医師もそのような認識でした。
これも恐らくスタチンの売り上げを上げるための洗脳教育の賜物でしょう。LDLコレステロールにばかり目を向けさせ、悪者扱いにして、スタチンをとにかく処方させる。
でも、出てくる証拠はどれもLDLコレステロールはほとんど関連無しです。
中性脂肪上昇は糖質過剰摂取が最も大きな原因です。一度でも検査で中性脂肪値が150を超えるようなら、糖質制限を決心しましょう。私は中性脂肪が100を超えた患者さんには糖質の摂り過ぎを指摘して、減らすように勧めています。理想は100未満です。
下の図で上の2つは中性脂肪と心不全の関連、下の2つがLDLコレステロールと心不全の関連を示しています。(図は原文より)
右左の違いはどんな調整したかによるものなので、とりあえずすべての調整をした、右の図を見てください。黒い丸が右側に行けば行くほど心不全との関連が強いことを示しています。
中性脂肪値が264を超えるとリスクが2倍以上になっています。
しかし、下のLDLコレステロールとの関連では黒い丸がほとんど変わりません。つまり、関連性がないということです。
「Nonfasting Triglycerides, Low-Density Lipoprotein Cholesterol, and Heart Failure Risk Two Cohort Studies of 113,554 Individuals」
「非絶食中性脂肪、LDLコレステロールと心不全リスク 113,554人の2つのコホート研究」(原文はここ)
要約
目的 – 高齢者では心不全の罹患率が上昇しており、心不全は罹患率および死亡率が高い疾患である。従って、予防のための変更可能な危険因子を同定する必要がある。非絶食中性脂肪およびLDLコレステロールの高濃度が一般集団における心不全の高リスクと関連するという仮説を試験した。
アプローチと結果 -コペンハーゲンの113,554人。非絶食中性脂肪およびLDLコレステロールのベースラインを測定した。最高23年間追跡され、その間に3593人が心不全と診断された。段階的に高濃度の非絶食中性脂肪が段階的に心不全のリスクが高かった。非絶食中性脂肪≧5mmol / L(440mg / dL)を有する人は、1mmol / L (88 mg/dL)未満の濃度の人と比較して、心不全の危険率が2.59であった。LDLコレステロールの濃度は、心不全のリスクと関連していなかった。
結論:非絶食中性脂肪の濃度が上がれば上がるほど、心不全の高リスクと関連していた。しかし、LDLコレステロールの濃度は、一般集団における心不全のリスクと関連していなかった。