女子アスリートには体重制限を設けてはどうか?

昨日のニュースで次のようなものがありました。簡単に解決できる問題ではないと思いますし、選手でないとわからないこともあると思いますが、私なりの考えを書いてみたいと思います。

摂食障害のゴールドが五輪断念 体重の悩み、報道陣にも

2017年11月18日 朝日新聞デジタルより

フィギュアスケートの2014年ソチ五輪女子4位で、全米女王に2度輝いたグレーシー・ゴールド(22)が今季の大会に出ないことを決め、来年2月の平昌(ピョンチャン)五輪出場を断念した。17日、米国フィギュアスケート協会を通じて、「私はうつ、不安障害、摂食障害の治療を続けている」「五輪シーズンに競技ができないことはつらいが、それが今後のためです。みなさんの愛と支援に感謝したい」などとコメントした。

ゴールドは、15年から体調に異変を感じていることを口にしていた。16年のグランプリ(GP)シリーズ・スケートアメリカで5位に終わった直後には、体重についての悩みを報道陣に明かした。その場にいたフリーライターの田村明子さんや、USAトゥデーの報道によると、「昨季も今季も、ずっと(体重に)苦しんできた」と発言。ある記者が「十分やせている」と声をかけると、「ありがとう。でも、この競技はやせた人のスポーツ。今の私はそうではない」と話したという。

2014年のソチ五輪でフィギュアスケート団体金メダルに輝いたロシアのユリア・リプニツカヤ選手が19歳で引退するという報道があったのも数か月前です。日本でも引退した鈴木明子さんが現役時代に摂食障害で苦しんだと言っています。

持久系(中・長距離走,マラソンなど)や審美系(体操,新体操,チアリーディングなど)の女子のアスリートに良くみられる摂食障害ですが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

簡単な問題ではありませんが、まずは指導者の無知が一番大きいでしょう。持久系のスポーツでは体重を落とせば記録が向上するかのような言い方をしますが、もちろんそのような面がないわけではありません。しかし、その選手が故障してしまったり、つぶれてしまっては全く意味がないわけです。そして、減量ばかり選手に強いても、選手もどうしたら良いか知りません。カロリー制限が減量の唯一の方法だと思っている指導者と選手は、どんどん食べない方向に向かっていくのです。

ある高校生の女子の長距離選手の食生活がネットにあったのでここで抜粋しますと、

朝食:食パン1枚(蜂蜜)、ジュース
間食:おにぎり1個
昼食:おにぎり1個、卵焼き、ほうれん草、から揚げ、果物
夕食:ご飯茶碗半分、サラダ、豚肉3枚、牛乳コップ1杯、味噌汁

エネルギー量では1500kcal程度であると推測していますし、この選手の体脂肪率は17%と言っています。

おかず類の量がわからないので何とも言えませんが、朝・昼・夕・間食とすべてに糖質がメインです。朝食は食パンと蜂蜜とジュースなので、ほぼ糖質オンリー。間食はおにぎりですので、糖質オンリー。昼もおにぎり、果物は糖質たっぷり。夜はごはん半分なので糖質少なめです。タンパク質は、朝はほとんどなし、昼は卵とから揚げ、夜は豚肉と牛乳です。そして脂質は恐らく肉に含まれている脂肪だけでしょう。

持久系の運動をしている高校生のエネルギー量としては圧倒的に少ないのですが、体が慣れてくるとこれでも運動ができるのでしょうし、省エネモードになり体重も落ちなくなるのでしょう。そうすると、体重を落とすにはさらに食事を減らすことしか考えられなくなります。

スポーツの栄養学でもいまだに糖質が重要な栄養であり、特にアスリートにはエネルギーとしてしっかり摂るように推奨しているので、どんどん人間にとって最も重要な脂質とタンパク質の量が減ってしまいます。

そのような食事をすれば、当然生理も止まりますし、骨ももろくなりますし、精神にも変調をきたします。それでベストなパフォーマンスを出せるはずもないと思います。

女子アスリートに対する指導として、次のようなことを言っている専門家もいます。

「減量指導の際には、体重や体脂肪率の数値に意識を集中させるのではなく、生活習慣の変更に力点を置くべきである。たとえば、① 夜遅くの飲食を避ける、② 高脂肪食を避ける、③ 練習後早めに食事をとる、④ 持久系の種目をトレーニングに取り入れ、遅筋で脂肪を燃焼させる、⑤ ウェイトトレーニングで筋量を増やし、基礎代謝を上げる一 など、体的に行動を変えること重点を置くことである。」

①と③は理解できるとしても、一番の問題は②です。これが栄養学の最も愚かな部分です。もちろん脂肪も摂り過ぎれば体脂肪となりますが、全く人間の生理学を理解していないのがわかります。このブログを読んでいる人はもちろんですが、今ではかなりの人が知っていること、つまり体に脂肪を貯めるのはインスリンです。そして、最もインスリンを分泌させるのは糖質です。そして、食事の脂肪を減らし、糖質は食べるので、痩せられません。糖質は体に炎症や酸化ストレスをもたらします。脂質は細胞を作り、ホルモンを作るものです。絶対に必要です。

④はすでにやっている選手が多いので推奨するほどのものではありません。⑤は筋量を増やせば体重が重くなります。体重を落としたいと思っている人に筋肉を付けさせて、体重を重くしてどうするのでしょうか?もちろん練習としての筋トレの必要性は競技によってあるかもしれません。しかし、筋量を増やせば本当に基礎代謝がそんなに上がり、痩せるとでも思っているのでしょうか?

指導者と選手には栄養のちゃんとした知識を付けてほしいですが、肝心の栄養学が間違っているので、なかなか難しい話になってしまいます。

しかし、最も重要だと思うのは、そこまで減量しなければならないのか?ということです。

女性の体は脂肪をある程度付けるように進化してきています。それはやはり妊娠して胎児をお腹の中で育て、子供を生んで母乳を与えて育てる、ということが進化の中で最も重要な役割であったと考えられるからです。男性のように外で戦ったり、獲物を何時間も追いかけることを求められていなかったのだと思います。だから、女性は激しいスポーツに適応するような体には進化の上でなっていないのです。非常にスポーツが一般的になり、女性のアスリートも増えましたが、体脂肪をどんどん落として、筋肉を付けてということは、女性として生きることに逆らうことになってしまうのです。

しかし、女性のアスリートがいくら女性として生きることをあきらめたとしても、体の中身がすべて男性に変わることなどあるわけもありませんので、体に異常が起こるのです。

だから、一つの勝手な提案ですが、女子アスリートに関しては、体重制限を設けてはどうかと思います。体重制限は何キロ以下という制限ではなく、反対の何キロ以上という制限です。

身長に対してあまりにも軽い体重のアスリートは出場する資格がなくなれば、敢えて無理をして体重を落とす必要は無くなります。

また、一般の方にもちゃんと体脂肪率を測定できる機器を開発できたと仮定して、体脂肪率何%以下は失格というような制限を設けるのも良いかもしれません。上の高校生の体脂肪率17%というのは家庭用の体重計についているもので、あくまで参考値でしょう。ひどい体重計では明らかに痩せて、体脂肪率が低い人でも20%以上で出てしまうようなものもあります。これを目安に体脂肪を落としていくとなると、非常に危険なことになってしまいます。一般的な機器での精度が高くならないと、むやみに選手を不安や危険にさらしてしまいます。

さらに、フリースタイルリブレのような機器を使用して、血糖値の変動を起こりにくくする食事を自分の目で確かめることも必要かもしれません。

世界中で女子のアスリートが苦しんでいます。何か早い対策を摂るべきだと思いますが、ずっと解決する気配がありません。

余暇で適度な運動をすることは非常に健康的です。しかし、激しい運動、過度な練習は不健康です。それをもちろん承知で選手はやっていると思いますが、せめて必要な栄養は十分に摂るように心掛けてほしいものです。その過酷な運動に耐えられる体は食べたもので作られるのですから。正しい食事も最も重要な練習の一つなのでと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする