玄米と白米での血糖値、インスリン分泌を比較すると?

先日の記事「「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」の書評 残念!」である意味(?)話題の本を取り上げましたが、その中で炭水化物の中で良いものと悪いものがあると書かれています。良い炭水化物というのは「茶色い炭水化物」です。

それでは、茶色い炭水化物の代表として、玄米を考えてみます。果たして血糖値やインスリン分泌は白米とどれほど違うのでしょうか?

今回の研究はインドのものです。日本のお米とは違うかもしれませんが、大きな違いはないでしょう。(図は原文より)

まずは血糖値変動を見て、GIの測定をしています。ブドウ糖(Glucose)を100として、玄米(BR)は57.6、最小限の精米をした米(日本で言えば3分づき程度でしょうか?)(UMR)は73.0、白米(WR)は79.6です。確かにGIは白米が最も高く、玄米はもっとも低いですね。GIは2時間の曲線下面積で求めるのですが、グラフを見てみるとどのお米もピークはほとんど変わりません。玄米は食物繊維が多い分、吸収が遅いかと思いきや、約40分にピークが来ています。むしろ白米のピークの方が遅いくらいです。

そう考えると、玄米は決して食物繊維のおかげで吸収が緩やかになるわけではなく、他のメカニズムでGIが低いようです。血糖値の下がり方が早いのです。白米がダラダラと血糖値が下がらないのを見ると、白米の方が吸収に時間がかかっていて、吸収が長くかかっており、玄米は最初の吸収は他のお米と同じようにされるのですが、食物繊維によって吸収されない量も多く、また腸管の通過速度も速いのかもいれません。しかし、食物繊維の量だけを考えると、最小限の精米をした米もかなりの食物繊維が残存しているはずです。

玄米の外皮がしっかり残っていると、腸管の通過時間が短くなり、少しでも外皮に傷がつくと白米と同じような通過速度になり、吸収されるのかもしれません。

つまり、血糖値に対して、食物繊維の効果はほとんどないと考えられます。

上の図は、1日を通しての血糖値の変動幅です。破線が玄米、実線が最小限の精米をした米、点線が白米です。そうして見てみると最初の食事ではどのお米も変動幅は変わらないように見えますが、2回目と3回目の変動は白米が大きく、玄米が一番少ないようです。

 

上の図はインスリンの追加分泌量を示しています。一番上が白米、次が最小限の精米をした米、一番下が玄米です。確かに玄米がインスリン分泌でも一番少ないです。しかし、最小限の精米をした米は全くインスリン分泌は白米と変わりません。ここでも、食物繊維の効果は感じられません。

つまり、確かに完全な玄米であれば、GIやインスリン分泌量は低下しますが、食後の血糖値変動幅は白米とほとんど変わらないこともあると思われます。そして、玄米は非常に食べにくいので、食べやすいように調理した場合、玄米の外皮が破壊されて、もしかしたら白米と何ら変わらない状態になる可能性はあります。

そして、少しでも精米してしまえば、全く白米を食べていることと変わりません。玄米は食べたくないけど、少しでも健康のために3分づきや5分づきを食べたとしても、血糖値やインスリン分泌から見ると無駄だということです。

また、玄米は白米ほどではないにしても、十分血糖値を上昇させ、インスリンを分泌させます。だから、食べるとしても少なめにした方が賢明でしょう。

食べない方がもっと良いです。玄米で得られる栄養素は他の食材でも十分得られますから。

 

「Even minimal polishing of an Indian parboiled brown rice variety leads to increased glycemic responses」

「インドの湯がいた玄米品種の最小限の精米でさえ、血糖応答の増加をもたらす」(原文はここ

2 thoughts on “玄米と白米での血糖値、インスリン分泌を比較すると?

  1.  初めまして。

     夏井先生のブログから、清水先生のことを知りました。
    最初に目にしたのが、コレステロールの計算方法で、目からうろこでした。身体的には健康で、薬を飲むのが嫌だったので、安心しました。当時、施設勤務の看護師でしたが、閉経しコレステロール値が上昇しているようでした。
     清水先生の身をはっての実験に驚き、脂肪に対する認識が変わりました。

     社会では真実だけがまかり通るとは限らないですね。相反する思いの人がいるように。

     今回東京に行く機会があり、夏井先生にお会いすることができました。その際に、「玄米はダメなんですか?」と待合でお聞きしたら、「血糖値が上がるからね」とぼそっと言われました。いつものブログの調子ですが、強く否定するでもなく、穏やかな小声でした。

     私は、小豆やひじきなどと玄米を硬めに炊いて歯ごたえと味を楽しむという思いです。ガスコンロが一つなので、鍋料理(汁物の煮物)と麻婆豆腐が自宅料理のほとんどです。レバーを焼いたりもします。歯ごたえのある食材が見当たらなくて、毎日ではなく、休みの日や時間のある日に食べる程度です。野菜は葉物やダイコンキャベツなど。果物も安いと食べてしまいます。外食率も多いです。丼や麺類は避ける程度です。

     今回のブログで玄米に対する認識も変わりました。シャットアウトは今のところできないかもしれませんが、量は確実に少なくなると思います。

     冬から再開したゆるゆるランニングですが、体重はほとんど変わらずです。

     とりとめもなく、書いてしまいました。7月にはたがしゅう先生の「語る会」に鹿児島に行く予定です。糖質制限、楽しいです。

     清水先生の色々な実験に刺激を受けながら応援しています。血液データの提供もできるよう心掛けていきます。

      

    1. なすっちさん、コメントありがとうございます。

      白米と比較すれば、もちろん玄米の方が血糖値の上昇の仕方は少なくなります。しかし、確実に上昇します。
      これからも何らかの有益な情報を伝えていけるよう、心掛けていきたいと思っています。

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