連日の猛暑で、熱中症予防のためにテレビなどでは「こまめな水分補給」をうるさいほどに連呼しています。もっとも重要なことは水分補給ではなく、熱中症にならないような環境で過ごすことです。もったいないからとか我慢できるという思い込みなどでエアコンをつけずにいることは良くありません。つまり暑さを避けることが最も重要です。水分補給さえすれば熱中症が防げるなんてことはありませんから。
逆に快適な環境にいれば水分補給などは普通にすれば良いことです。もちろん、長時間暑い場所での運動や作業をする場合は水分が十分に必要になります。運動をする場合には1~2リットルの汗などすぐに出ます。
そんな中、一部ではコーヒーなどのカフェインを含む飲み物は利尿作用があり、脱水を促進するので飲まない方が良い、と言っています。しかし、本当にコーヒーで脱水になるのでしょうか?
カフェイン4mg/kgを含むコーヒー4×200mLと水で比較した研究があります。参加者は1日に3~6カップのコーヒーを習慣的に飲んでいる男性50人です。(図は原文より)
研究は3日間行われました。上の図は実験前と実験後の前身の水分量です。下はその3日間の体重変化です。コーヒー群と水群では差はありませんでしたが、両群とも日に日に少しずつ体重が減ったようです。
また、コーヒー群では尿へのナトリウムの排泄の平均値が水群よりも有意に高くなりました。しかし、血漿浸透圧、ヘマトクリット、総血漿蛋白、血清ナトリウム、血清カリウムは変化はありませんでした。
他にも1日に5mg/kgのカフェインで実験したものもありますが、そこでも脱水は認めあられませんでした。
つまり、4~5mg/kg程度のカフェインを含むコーヒーは毎日の水分必要量に寄与し、72時間にわたり進行性の脱水をもたらさないと考えられます。もちろん緑茶などでも同じだと思われます。
コーヒーにもよりますが、コーヒーは100mL当たり、40~60mg程度カフェインを含んでいます。コーヒー1杯を150mLとした場合は、60~90mgくらいです。ですから1日3~4杯程度なら、脱水を気にせず飲んでも構わないと考えられます。
「No Evidence of Dehydration with Moderate Daily Coffee Intake: A Counterbalanced Cross-Over Study in a Free-Living Population」
「適度な毎日のコーヒー摂取による脱水の証拠はない:自由生活の集団におけるカウンターバランスクロスオーバー研究」(原文はここ)