以前投稿した、冤罪かもしれないわいせつ事件、法廷で争われています

このわいせつ事件、弁護人の意見が正しいとすると、完全に冤罪に思えてなりません。当時通報は友人が行ったとされています。でも当日患者さんの母親が付き添っていたようです。そうであるなら、なぜその母親が通報しなかったのでしょうか?わざわざ友人を呼んだということでしょうか?母親の証言はどうなっているのでしょうか?

弁護人の意見の中で使用した麻酔薬の名前が書かれています。私が好みとする麻酔薬とはちょっと違うのと、麻酔記録を見ていないので何とも言えませんが、この薬で全身麻酔を行ったとすれば、恐らく非常に濃い濃度の吸入麻酔薬(セボフルラン)が必要になったのではないかと思います。そうすると、術後しばらく意識ははっきりせず、朦朧としていても不思議ではありません。その中で妄想幻覚、いわゆる術後せん妄の状態がしばらく続くことは全く珍しいことではないと思います。術後半覚醒で訳の分からないことを言うことはよくあります。

なぜ、被害者の訴えだけでここまでのことになるのでしょうか?

手術直後の患者にわいせつ行為をしたと逮捕された医師と弁護人が法廷で「無実」の訴え

東京・足立区の病院で、胸部の手術を終えたばかりで意識はあるものの身動きがとれない状態だった30代の女性患者に対し、執刀医がわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつの疑いで警視庁千住署に逮捕された事件。逮捕・勾留中の関根進医師(40)の勾留理由開示公判が5日、東京地裁(高島剛裁判官)で行われ、関根医師は「私はやっておりません」と容疑事実を否定した。弁護人は詳細に「無実」の理由を挙げて、勾留の不当性を訴えた。

裁判官は「罪証隠滅の恐れ」と

高島裁判官の説明によれば、関根医師にかけられた容疑は、手術後に病室に戻されたA子さんに対し、2度にわたって着衣をめくって手術をしなかった左乳房の乳首などをなめ、2度目にはさらに自慰行為に及んだ、というもの。

勾留の理由について、高島裁判官は「関係者に働きかけや通謀を行って罪証隠滅する恐れがあり、事案の重大性や悪質性から勾留が必要」と述べ、勾留を決めた資料としては「被害者等の供述調書、鑑定結果、捜査報告書」とした。また、罪証隠滅の対象としては、「(当該事件が起きたとされる)病院の関係者を想定している」と述べた。

本人は「私はやっておりません」と

これに続いて、関根医師が「疑われている事実について、私はやっておりません。以上です」と容疑事実を否定。

その後、3人の弁護人が交代で意見を述べた。

「無実の事案」と弁護人

弁護人意見の要旨は次の通り。

1) 本件は、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由はなく、むしろ無実の事案である。

2)麻酔として、笑気ガス、セボフルラン吸入麻酔薬、プロポフォール、ペンタゾシン、ジクロフェナクNa坐薬を使用した。術後、関根医師ともう一人の医師が付き添って、入院病棟に戻った。その直後に、 A子さんが目を閉じたまま「ふざけんなよ」「ぶっ殺してやるからな」など小声で言うのを看護師が聞いているなど、麻酔の影響による幻想・妄想があった。全身麻酔の患者が、手術後、半覚醒状態の時に妄想や幻覚を見ることは、ままあることだ。

3) 病室は4人部屋で、カーテンで仕切られただけで、声や音、気配などは容易に伝わる状態であり、他の3床には患者がいた。

4) 1回目の犯行があったとされる時間帯、関根医師は手術室で記録を書いていた。ごく短時間、この病室に行ったが、その際には一緒に手術を担当した別の医師と看護師2名がいた。

5) 2回目の犯行があったとされる時間帯には、関根医師は他の病室にいて、別の患者を診ていた。

6) 病室には15分ごとに看護師が定時巡回していたほか、患者からナースコールがされるたびに、頻繁に看護師が病室を訪れていた。1回目の犯行があったとされる時間帯にも、ナースコールがあった。ナースコールは看護師の携帯電話と連動しており、自動的に時刻が記録される。ナースコールのボタンはA子さんに握らせていた。

7) 2回目の犯行があったとされる時間帯の後、関根医師がA子さんの病室を訪ねた時、ベッドサイドにA子さんの母親がいた。関根医師が「ちょっと診ますから」と言うと、母親はカーテンの外に出て、そのすぐ側に立って待っていた。診察に要した時間は20秒以内。触診したのは手術をした右胸だけである。その間、ナースコールはなかった。関根医師が部屋を出る際、看護師が定時の巡回を行っている。この後、関根医師は病室には寄っていない。

8) 関根医師は、手術前にマスクをつけていない状態で、手術する右胸の写真を撮ったり、手術部位のマークをつけたり、術後も触診をしたりしているので、唾液の飛沫やDNAが付着したりすることはあり得る。

9) すでにA子さんの左胸の検体は採取が済み、病院に対しても2度の捜索差し押さえが行われ、隠滅するような証拠は残っていない。警察は、少なくとも平成28年7月から8月25日の逮捕に至るまでの間、関根医師を尾行しており、同医師がA子さんに接触していないことも明らかである。

10) 妄想によって患者が被害を申告するだけで医師が逮捕されるという事態が許容されれば、男性医師の萎縮を招き、医師減少、診療差し控え等で女性関係の医療現場は重大な打撃を受ける。

勾留理由開示公判とは

勾留理由開示公判は、勾留中の被疑者・被告人をいかなる理由で勾留決定したかを、裁判官が公開の法廷で明らかにする手続き。ただし、弁護人によれば、勾留の決定をした裁判官が出てくるとは限らず、今回の高島裁判官は勾留の決定をした裁判官ではない、とのこと。

 

準強制わいせつで医師を起訴~広範な証拠開示が必要

乳腺専門医が、手術後に麻酔の影響で体が動かない30代の女性患者に対してわいせつな行為をしたとして、警視庁千住署に逮捕された事件。東京地検は関根進医師を準強制わいせつ罪で起訴したが、起訴事実は捜査段階の容疑とは時間や犯行態様などが異なっていることが分かった。

消えた自慰行為

事件があったとされるのは、今年5月10日。患者は右乳房の良性腫瘍を切除する手術を受け、午後2時45分頃、執刀医の関根医師と前立ちを務めた上司の医師に付き添われて、4人部屋の病室に移された。上司の医師の話によれば、この時点で患者の意識レベルはJCS200(覚醒していないが、痛みには反応する状態)だった。

逮捕・勾留された時点での容疑事実には2つの行為が記載されていた。

▽第1行為

午後2時45分から50分頃までの間、

患者の着衣をめくり、やにわに左乳首を舐めた

▽第2行為

午後3時7分から12分頃までの間、

左手で患者の着衣をめくり、左乳房を見ながら、右手を自己のズボン内に入れて自慰行為をした

一方、起訴状では、犯罪とされる事実として次の1つの行為のみが書かれている。

▽午後2時55分から3時12分頃までの間、

患者の着衣をめくって左乳房を露出させ、その左乳首をなめるなどした

勾留の時点では、第1行為の後、「患者が気づいたため、いったん退室」と記載され、2つの行為は分断されていたことが明記されていた。

ところが起訴状では、第2行為である自慰行為が消え、犯行は左乳首をなめるという第1行為のみとなり、それが行われた時間帯が変わった。

第2行為に関しては、勾留理由開示公判で弁護人が、ベッドの高さや関根医師の身長などから、ベッド上の患者は同医師の股間は見えないと指摘し、被害供述の信用性に強い疑問を投げかけていた。検察側は、立証困難な第2行為を落とす一方で、第1行為については鑑定結果で裏付け可能と判断したのだろう。

今後の争点は?

ただ、それに伴う疑問もいくつかわいてくる。

たとえば、第1行為の時間が移動したのは、なぜだろうか。

患者の供述も、これに見合うように変遷しているのだろうか。だとすれば、どのような経緯で変わって行ったのだろうか。

弁護側は、勾留理由開示公判で、患者の訴えは麻酔の影響による術後せん妄の可能性を指摘しており、裁判でも同様の訴えをすることになるだろう。

いずれにしても、公判では、患者の証言の信用性が大きな争点の1つとなるはずだ。

また、勾留理由開示公判で明らかにされた病院の調査では、午後3時に看護師が定時のチェックを行い、3時10分にはナースコールでやはり看護師が患者のもとを訪ねている。午後3時7~12分には、関根医師は別の患者を訪室していた、という。まさに、犯行時間のまっただ中だが、これらの点について、検察側はどう説明するのだろうか。

さらに起訴状によれば、犯行は「患者が手術後の診察を受けるものと誤信して抗拒不能状態にあることを利用し」て行われた。一方、病院側の説明によれば、患者は手にナースコールのボタンを握っており、実際、ナースコールに応じて看護師が何度か患者のもとを訪れている。この事実と「抗拒不能」の主張は整合するのだろうか。

当該患者のベッドは、病室の出入り口のすぐ横にあり、隣のベッドとの間は1メートル。間を仕切る薄いビニールのカーテンは、床上35センチまでの長さで、声を挙げられればすぐに他の患者たちに知られるうえ、頻繁に看護師が出入りしていた。そんな環境で、医師がそのような行為に及ぶだろうか、という疑問もさることながら、同室の患者は異常な事態に気づかなかったのだろうか。

真相解明のために広範な証拠開示を

そのほか、いくつも浮かぶ疑問を解決し、事案の真相により近づくためには、患者本人や付き添いの母親はもちろんのこと、他の患者の供述も含め、検察側には幅広い証拠開示が求められる。

また、警察は患者の体から採取した唾液や口腔内細胞の鑑定を行っているはずだ。試料の採取状況や鑑定のプロセスを記した記録、DNA鑑定を行っている場合は、その鑑定結果の根拠となるエレクトロフェログラムなどの検討も重要になってくる。

医師が、術後の患者という、弱い立場にある者にわいせつ行為に及んでいたとしたら、とんでもない事件だ。逆に、それが事実でないとしたら、警察とマスメディアは、術後の幻覚と現実を取り違えた患者の訴えを鵜呑みにして、医師の実名や顔が分かる映像まで流して、医師の名誉を貶めたことになり、その責任が問われなければならない。

事実の解明が何より必要で、そのためにも十分な証拠開示がなされ、公正で明解で充実した裁判が行われるよう求めたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です