スタチンの長期使用は乳がんを増加させるかもしれない

日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインの中では「スタチンの服用は乳癌発症リスクを減少させるか」の問いに、証拠不十分としています。これまでの様々な研究では、スタチンの服用が乳がんを減らす可能性を示したり、関連性がないことを示すなど様々な結果です。しかし、どれも比較的調査の期間の年数が少ないことに問題があります。がんの特性を考えると長期の観察が必要です。

そんな中、長期10年以上のスタチンの使用が、非常に乳がんの増加に関連しているという研究があります。

「Long-term statin use and risk of ductal and lobular breast cancer among women 55-74 years of age」

「55-74歳の女性の長期スタチン使用と腺管および小葉乳がんのリスク」(原文はここ

この研究での結果は次のグラフに示します。グラフの数字はOR(オッズ比)です。起こりやすさと考えていただければいいでしょう。

(図1 スタチンを現在も使っている人の使用期間と乳がんのリスク クリックで拡大)

(図2 スタチンを以前使っていた人の使用期間と乳がんのリスク クリックで拡大)

(図3 高コレステロールの既往があり以前にスタチンを使っていた人の使用期間と乳がんのリスク クリックで拡大)

スタチンを現在使っている人で10年以上におよぶ人は、全くスタチンを使ったことがない人と比べて腺管がんが1.83倍起こりやすく、小葉がんが1.97倍起こりやすいのです。ほぼ2倍に近いです。

スタチンを以前使っていた人で10年以上におよぶ人は、全くスタチンを使ったことがない人と比べて腺管がんが1.72倍起こりやすく、小葉がんが1.82倍起こりやすいのです。

高コレステロールの既往があり以前にスタチンを使っていた人で10年以上におよぶ人は、全くスタチンを使ったことがない人と比べて腺管がんが2.04倍起こりやすく、小葉がんが2.43倍起こりやすいのです。なんと、2倍以上で小葉がんでは2.5倍に近いのです。

これまで、様々なスタチンの有害な部分を取り上げましたが、今回も私はスタチンは「黒」だと思っています。人類史上最悪の薬の一つかもしれません。

何かを使用して、がんのリスクが高くなるかどうかは数年ではわかりません。やはり10年、20年という期間を通して十分に注意していかないとならないと思います。今の「安全」は10年後の「安全」なんて全く保障していないことを良く知るべきでしょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする