安易なサプリメントは、傷ついた筋肉の修復を大きく低下させる

以前の記事「ビタミンCとビタミンEのサプリメントは運動による効果を弱めてしまう」で抗酸化作用のあるサプリメントはせっかくの運動の効果を打ち消してしまうことを書きました。

新しい「サイエンス誌」に掲載された研究では、抗酸化物質がどのように運動の効果を打ち消すかの一つのメカニズムを明らかにしています。

運動などによって、筋肉の細胞は損傷を受けますが、その細胞膜を修復するのに実は活性酸素種(ROS)が必要なのです。修復のためにわざわざROSを生成しているのに、それを抗酸化物質で阻止してしまうと、修復ができなくなってしまいます。そして、逆に筋力は低下してしまうのです。

人間に関わらず、生物の体は自分の体の中で、絶妙なバランスを維持しています。そのバランスが崩れは病気の発症の原因の一つです。確かに活性酸素などは細胞にダメージを与えますが、一方ではそれが信号となり、様々なメカニズムが働き、一定の状態に維持しようとします。食事で少しずつゆっくりと吸収される抗酸化物質は、通常バランスを崩さず、有益な作用を有していると考えられています。しかし、サプリメントとして抗酸化物質を摂ってしまうと、一気に大量の抗酸化物質が体内に入り、この絶妙なバランスを崩して、逆に細胞にダメージを与える可能性すらあるのです。

生物の体の仕組みはまだまだわからないことばかりです。良いと思ってしたことが逆の結果になることは十分起こり得ます。そして、人類は栄養素を得るために食べてきました。自然の食べ物に含まれる栄養素を消化吸収するように適応してきました。サプリメントのような一つの栄養素の塊を摂取してそれを吸収したときの状態に適応できているかどうかは未知数であるばかりか、このような研究を見てみると、全く適応していないように考えられます。

「Mitochondrial redox signaling enables repair of injured skeletal muscle cells」

「ミトコンドリア酸化還元シグナル伝達は、損傷した骨格筋細胞の修復を可能にする」

(原文はここ

細胞膜修復のためのミトコンドリア
細胞の機械的歪みは細胞膜の損傷を引き起こし、修復されなければならない。ミトコンドリアは、筋肉細胞(運動中の機械的歪みを経験する)および非筋肉細胞における修復反応を媒介することを見出した。細胞膜損傷によって引き起こされる細胞外Ca 2+の流入は、ミトコンドリアCa 2+の増加を引き起こした反応性酸素種(ROS)の生成を開始した。ミトコンドリアは細胞膜損傷部位でROS活性化アクチン重合および創傷閉鎖を生じた。エクスビボで行使されたマウス筋肉におけるこのROSの源を抑え込んでしまうと、損傷した筋線維の損傷の増加をもたらし、筋力が大きく低下した。これらの知見は、抗酸化物質(一般的なサプリメント)のようなROSの過度の抑え込みが、有益な効果とバランスをとらなければならない有害な作用を有することを実証している。

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