所詮、スポーツのシューズのクッションなんてこんなもん

スポーツのシューズメーカーはシューズのクッション性が衝撃を低下させ、ケガを防ぐと宣伝しています。しかし、これは食品メーカーの「ヘルシー」などと同じように、かなりの「眉唾」な宣伝としか思っていません。私はマラソンシューズは軽いものを選びます。クッション性はほとんど必要ないと思っています。厚底のマラソンシューズは逆にケガをもたらすとも考えています。

シューズのクッション性とは言い換えれば「衝撃の吸収」です。スポーツのシューズが本当に衝撃を吸収してしまったら大変です。低反発のマットにボールを落としたことを考えてみてください。衝撃が吸収されて、ボールはほとんど弾みません。つまり反発する力が失われてしまうのです。床を蹴ってジャンプしたり、走って前に進むことができるのに、その蹴った力が吸収されてしまうのです。そうしたらパフォーマンスが落ちると思いませんか?だから、実際にはほとんど衝撃は吸収されないと思います。

また、これも低反発のマットで考えると、低反発のマットの上を裸足で走ったら走りにくく、ときには足首をひねって、捻挫でもしそうになると思いませんか?厚底で、柔らかいクッションがあるということは、大げさに考えればこのような低反発のマットの上を走っているようなものです。足の力が真っすぐ下に向いていて、真っすぐそのまま真上に反発すれば問題はありませんが、人間の足は毎回同じように動くわけではなく、ときには斜めに足を着くこともあります。そうすると低反発のマットで考えたようにねじれが起こります。つまりケガのもとです。

人間の足は非常に素晴らしく、クッションさえ自前で持っています。それが土踏まずのアーチです。そして、瞬時に地面を捉えた感覚が脳に伝わり、瞬時に脳が命令を出して姿勢を制御します。クッション性が強いとこの制御が上手くできない可能性がありますが、それでも脳は頑張って制御します。しかし、予測できないこと動き(例えば急に穴に落ちるようなこと)では、姿勢を立て直すために大きな力を必要とする場合があります。そのような場合のみ、クッション性のあるシューズが少し力を貸してくれるようです。それ以外には全く利点はありません。(図は「Shoe cushioning reduces impact and muscle activation during landings from unexpected, but not self-initiated, drops.」より)

 

上のグラフは高性能と言っているクッション性能のあるバスケットシューズと、最低限のクッションのバスケットシューズを比較したものです。左のグラフは自分の意思で60㎝の高さからジャンプした時の衝撃、右が予測しないときに60㎝から落ちたときの衝撃を測定したものです。予測していないときだけ、衝撃が低下していますが、自分の意思でジャンプした時は全く2つのシューズに違いはありません。所詮、クッション性なんてこんなものです。

 

 

また、中敷きも同じです。衝撃吸収のインソールはケガの予防にはなりません。

どこの企業も様々な宣伝文句で製品のすばらしさを伝えようとしますが、どこにもその性能のデータは載っていません。理想論で性能を語っていても、本当のところはお金を出すような製品ではないのです。

人間の体の性能の方がまだまだ上を行っています。自分の体をもっと信じるべきだと思います。

 

「Effectiveness of foot orthoses and shock-absorbing insoles for the prevention of injury: a systematic review and meta-analysis」

「傷害防止のための足の装具および衝撃吸収インソールの有効性:系統的レビューおよびメタ分析」(原文はここ

要約
筋骨格傷害の予防のための足の装具および衝撃吸収インソールの有効性に関する証拠を調査した。

足の装具を評価した11件の試験および衝撃吸収インソールを評価した7件の試験があった。足の装具は全体的な障害、ストレス骨折を予防するのに有効であるが、軟部組織傷害には無効であった。これに対し、衝撃吸収インソールは全体的な傷害、ストレス骨折、軟部組織損傷、どれに対する予防にも無効であった。

 

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