以前にも「血糖値の上昇は乳がんの予後を悪化させる」「乳がんで糖質制限をした方が良い理由」で記事にしたように、乳がんと糖質の関連は非常に高いと考えられます。今回はまた別の研究です。
乳がんの再発リスクと糖質摂取量が関連しています。乳がんの組織がインスリン様増殖因子-1(IGF1)受容体陽性であるのは半数に上るようですが、それだけでも1.7倍再発リスクが高くなります。しかし、この受容体に対して、陽性であっても、陰性であっても、糖質摂取量を減らさずそのままの量を摂っていたり、逆に増やしたりすると、再発リスクは2倍になってしまいます。
さらに、IGF1受容体陽性であれば、糖質摂取量を減らさないでいたり、増やしたりすると、なんと5.5倍にまで再発リスクが高くなります。
乳がんの診断を受けたら、その後は当然糖質制限を行うべきです。
北斗晶さんは乳がんの手術をして、その後復帰していますが、テレビ番組で糖質をたっぷり食べている様子を見ると、心配になりますし、間違った情報、つまり「乳がんの治療後は好きなものを食べても良い」というように思ってしまう人を増やしかねません。
「Risk of breast cancer recurrence associated with carbohydrate intake and tissue expression of IGF1receptor」
「炭水化物摂取およびIGF1受容体の組織発現に関連する乳癌の再発リスク」(原文はここ)
要約
背景:
インスリン様増殖因子-1(IGF1)受容体は、乳癌治療の潜在的標的であり、食物摂取の影響を受け得る。
方法:
閉経後の乳がん生存者265人での症例対照研究。 原発性乳癌組織を染色してIGF1受容体状態を決定した。ベースラインから研究1年目までの炭水化物摂取量の変化は、24時間の食事を思い出してもらってそこから推定された。
結果:
乳がんの腫瘍の半分はIGF1受容体陽性であった。再発リスクの増加は、IGF1受容体陽性と関連していた(リスクは1.7倍)。それとは別に、炭水化物の摂取量が維持されているか、増加している場合の再発リスクは2倍であった。これらの2つの変数の間には境界が有意な相互作用があった。具体的には、IGF1受容体陰性の女性では炭水化物摂取量の再発リスクに有意な影響はなく、受容体陽性の女性では炭水化物摂取量が維持されるか増加すると、再発リスクが5.5倍に増加した。
結論:
腫瘍組織のIGF1受容体陽性である女性のうち、診断後に炭水化物摂取量を減少させると、乳癌の再発リスクを低下させることができる。
影響:
これは、原発腫瘍組織の分子特性に基づいて、乳がん生存者のための食事療法の勧告をパーソナライズすることが可能であることを示唆する最初の研究である。
乳がんになった女芸人の食生活がヤフーニュースになっていたので、乳がんの元凶は糖質だ、イニシエイターとしてもプロモーターとしても、主食の概念は捨て、白米、スイーツ等の糖質はできるかぎり控え目にしたほうがよいとコメントしたところ、「そう思う」が30「そう思わない」が150という結果。「ガンに糖質は禁物」という情報の浸透度はまだまだ低いと感じました。
ちなみに、バラエティ情報によると、若い女性をターゲットとしている「スイーツ業界」は、タピオカブームの次にタロイモスイーツのブーム到来を目論んでいるようです。まずいので外れるとは思いますが・・。
それにしてもこの女性たちがおば(ぁ)さんになったときがおそろしい。
やまもとさん、コメントありがとうございます。
「そう思う」17%というのは良い線ですね。まだまだ病院は安泰です。洗脳は簡単には解けません。
スイーツ業界も手を変え品を変え、餌付けのエサを探しているのですね。
それで消費者ががんになろうが、糖尿病になろうが企業には関係ないですからね。