いまだに世の中では、体重の増減はエネルギー(カロリー)の増減によって起きていると思われています。そして、いまだにカロリーオフはヘルシーと言われています。
そうであるならば、時間制限食、食事回数を少なくするなどでは、決して体重が変化しないはずです。
今回の研究では、時間制限食や食事頻度減少、1日の早い時間でエネルギー摂取を行う、という食事のタイミングでの体重の変化への影響を分析しています。29件のランダム化臨床試験から69件の報告が含まれ、対象者は2,485人(女性69%、平均年齢44歳、平均BMI33)でした。研究介入には、時間制限食(17件の研究)、食事頻度減少(8件の研究)、一日のカロリー配分の変更(4件の研究)が含まれていました。12週間以上の期間行われた研究ばかりです。(表は原文より改変)
平均差(95% CI) | |
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時間制限食 | |
重量、kg | –1.37 (–1.99から–0.75) |
相対的な体重減少、% | −1.82 (−2.81 から −0.83 ) |
BMI | –0.44 (–0.67から–0.2) |
除脂肪体重、kg | –0.42 (–0.7から–0.15) |
腹囲、cm | –1.96 (–3.24から–0.68) |
HbA1c % | –0.08 (–0.15 から –0.01) |
空腹時血糖値、mg/dL | –1.15 (–1.77から–0.53) |
LDL、mg/dL | –1.51 (–1.3 から 4.32) |
収縮期血圧、mmHg | –0.54 (–2.42から1.33) |
拡張期血圧、mmHg | –1.14 (–2.41 から 0.14) |
エネルギー摂取量、kcal/日 | –164 (–242.21 から –84.85) |
食事の頻度、低頻度と高頻度 | |
重量、kg | –1.84 (–3.55から–0.13) |
BMI | –0.65 (–1.09から–0.21) |
除脂肪体重、kg | 1.35 (–0.18から2.88) |
腹囲、cm | –0.83 (–4.34から2.68) |
HbA1c % | –0.14 (–0.39から0.11) |
空腹時血糖値、mg/dL | –5.4 (–17.22から6.42) |
LDL、mg/dL | 4.27 (–3.34から11.87) |
収縮期血圧、mmHg | 0.7 (–3.28から4.68) |
拡張期血圧、mmHg | –0.1 (–3.45 から 3.25) |
エネルギー摂取量、kcal/日 | –0.64 (–208.34から207.07) |
カロリー分布、一日の早い時間帯と遅い時間帯のカロリー分布 | |
重量、kg | –1.75 (–2.37から–1.13) |
BMI | –1.06 (–1.82から–0.3) |
腹囲、cm | –1.77 (–2.89から–0.65) |
HbA1c % | –0.01% (–0.06から0.04) |
空腹時血糖値、mg/dL | –3.06 (–6.73から0.6) |
LDL、mg/dL | –3.95 (–11.67から3.77) |
収縮期血圧、mmHg | –4.96 (–8.54から–1.38) |
拡張期血圧、mmHg | –4.64 (–10.79から1.51) |
エネルギー摂取量、kcal/日 | –51 (–96.6から–5.4) |
上の表は時間制限食、食事頻度減少、一日の早い時期のカロリー配分による試験で、対照と比較した場合、どのような違いがあったかを示しています。時間制限食では統計的に有意な1.37 kgの体重減少が観察されました。食事頻度減少とカロリー配分の早期化も、それぞれ–1.85 kg、–1.75 kgの体重減少がありました。
さらに時間制限食は、体重減少率、BMI、除脂肪体重、腹囲、HbA1c、空腹時血糖値も有意に低下していました。除脂肪体重も減少してしまったのは残念ですが、恐らく糖質制限と同じように、筋肉の水分量が減少した可能性がありますし、400g程度は誤差範囲でしょう。また、1 日の食事時間が 8 時間以下の場合では体重が1.88 kg減少し、1 日の食事時間が 8 時間を超える場合の0.71kg減と比較して、減少が大きく、恐らく食事時間が短いほど減少程度が大きいと思われます。
食事頻度の減少はBMIも減少し、カロリー配分の早期化はBMIと腹囲が減少しました。
また、時間制限食とカロリー配分の早期化は、エネルギー制限を指示されていないもかかわらず、自然と摂取エネルギー量が少し減少してしまう可能性があります。これで体重が減ったと主張されてしまうかもしれません。所詮、摂取したエネルギー量も自己申告なので、データ的な質は低いので、誤差範囲だと思います。
食事頻度の減少試験では、エネルギー摂取量が減少していませんが、体重は減少しています。
現代では、人間は毎日、ダラダラと1日中何かを食べたり飲んだりして過ごし、夜遅くまでエネルギー摂取をしている人も珍しくないでしょう。1日3食食べることが専門家たちから推奨され、それがあたかも健康的だと思わされています。
人間の進化の過程では、1日3食なんて食べていなかったでしょう。1食か2食がせいぜいでしょう。間食もすることもないでしょうし、糖質入りドリンクも存在しません。夜遅くに食事や夜食を摂ることもほとんどなかったでしょう。それに合わせて人間の体のメカニズムは作られていると考えられます。(「早い時間の夕食とその後の空腹時間が長いと脂肪が分解しやすい」「遅い夕食の影響」など参照)
できる限り、短い時間の間に食事をして、食事回数も少なくして、できる限り遅い時間の食事を少なくしましょう。1日3食は健康に良くないと考えられます。
「Meal Timing and Anthropometric and Metabolic Outcomes: A Systematic Review and Meta-Analysis」
「食事のタイミングと人体計測および代謝の結果:システマティックレビューとメタアナリシス」(原文はここ)