PPI(プロトンポンプ阻害薬)は子供のうつや不安を増加させる

以前の記事「不安やうつ病と胃食道逆流症(逆流性食道炎)との関連性」で書いたように、不安やうつ病と胃食道逆流症には関連性がありますが、胃食道逆流症があるからといって、PPI(プロトンポンプ阻害薬)を使用すると、余計にうつや不安が増加する可能性もあります。

このことについて、まずは子供について書きたいと思います。

子供にPPIを処方する医師がいるかと思うとゾッとします。これから成長したり、将来がある子供に、こんな副作用の多い薬を処方する必要があるのでしょうか?

今回の研究では、7~17歳の小児でPPIを開始した29,320人と開始しなかった29,320人を対象に、PPIの使用とうつ病および不安症のリスクとの関連性を分析しました。両グループの平均年齢は11.9歳、平均追跡期間は1.6年でした。

PPI使用とうつ病および不安のリスクとの関連に関する主な結果を下の表に示します。(発生率は1000人年当たりです)(表は原文より改変)

PPI使用非PPI発生率の絶対リスク差(95% CI)HR (95% CI)
発生率発生率
一次分析20.47.812.61 (11.09–14.13)2.61 (2.32–2.94)
二次分析
うつ病または不安の定義
うつ病または不安症の診断15.06.18.92 (7.61–10.23)2.46 (2.15–2.82)
うつ病の診断5.82.63.24 (2.41–4.06)2.25 (1.82–2.79)
不安の診断9.23.55.68 (4.66–6.70)2.61 (2.19–3.12)
抗うつ薬の使用5.41.73.69 (2.93–4.45)3.15 (2.45–4.03)
うつ病および不安の発症時期(治療開始後の日数)
1~30日26.27.119.17 (11.87–26.47)3.71 (2.17–6.34)
31~90日22.56.516.03 (11.19–20.86)3.47 (2.33–5.18)
91~180日24.89.215.65 (11.34–19.95)2.71 (2.04–3.60)
181~365日19.47.711.72 (8.91–14.54)2.52 (2.00–3.16)
366~730日18.37.810.49 (8.24–12.74)2.34 (1.94–2.82)
個々の薬剤
エソメプラゾール19.77.412.29 (7.71–16.88)2.66 (1.82–3.89)
オメプラゾール20.97.913.00 (11.35–14.64)2.65 (2.33–3.02)

PPIを開始した子供におけるうつ病および不安の発生は、PPI非使用者と比較して、リスクが2.61倍にもなっていました。抗うつ薬の使用のリスクも3.15倍でした。

PPI開始後1~30日でうつ病および不安の発生リスクは3.71倍、31~90日では3.47倍、91~180日では2.71倍、181~365日では2.52倍、366~730日では2.34倍でした。

下の表はPPI使用とうつ病および不安のリスクについて、PPI の累積使用期間別での関連性です。

発生率発生率の絶対リスク差(95% CI)HR (95% CI)
非PPI使用7.811
≤30日16.28.38 (6.61–10.15)2.02 (1.76–2.33)
31~90日22.915.04 (12.56–17.51)2.85 (2.46–3.29)
91~180日31.723.87 (18.68–29.05)3.89 (3.21–4.72)
≥181日31.023.15 (13.75–32.55)3.81 (2.77–5.26)

うつ病および不安リスクは、PPIの累積使用期間が長くなるにつれて増加しました。非使用者と比較すると、累積期間1~30日で2.02倍、31~90日で2.85倍、91~180日では3.89倍、181日以上の場合は3.81倍でした。

そして、恐ろしいのが下の表です。治療後のPPIの使用とうつ病および不安のリスクとの関連を示しています。

 発生率発生率の絶対リスク差 (95% CI)ハザード比(95%CI)
非PPI使用7.811
継続中のPPI治療31.323.54 (17.41-29.67)4.48 (3.43-5.86)
PPIの中止からの期間
1-90日22.514.71 (10.98-18.43)3.28 (2.55-4.21)
91-180日19.611.78 (8.10-15.46)2.85 (2.18-3.72)
181-365日16.58.65 (6.01-11.29)2.24 (1.79-2.80)
366-730日14.646.84 (4.62-9.07)1.88 (1.55-2.29)

継続中のPPI治療では、うつ病および不安のリスクが4.48倍、そしてPPI中止後1~90日では3.28倍、91~180日では2.85倍、181~365日では2.24、366~730日では1.88倍でした。つまり、PPIを中止して1年以上たっても有意にうつ病および不安の発生リスクが2倍近くもあるのです。

PPIによるうつ病や不安の発生の生物学的メカニズムがいくつか考えられていますが、実際には詳細なメカニズムは解明されていないでしょう。しかし、このPPIという薬が、実際には子供にとっては毒になり、脳に悪影響を与えているのです。

ワクチンにしても薬にしても食事にしても、体に入れるものにはもっと慎重になるべきでしょう。大人でさえ様々な影響があるのですから、子供であればなおさらです。特に成長段階の子供は小さな大人ではありません。大人以上に計り知れないダメージが起こる可能性があります。

親は、子供に何らかの症状が出たときに、薬に頼る前に、自分が提供している食事にまず目を向けるべきでしょう。その食事が生物学的、生理学的に人間にとって良い食事なのかを考えてみる必要があります。栄養士や医師は食事に関してはあてになりません。

PPIなんかは、可能な限り手を出さない方が良い薬です。

「Proton pump inhibitor use and risk of depression and anxiety in children: nationwide cohort study」

「プロトンポンプ阻害薬の使用と小児のうつ病および不安のリスク:全国コホート研究」(原文はここ

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