果糖は中性脂肪を増加させ、小さなLDLや酸化LDLも増加させる

糖質は血糖値を上昇させ、インスリン分泌も増加させます。そして脂肪が蓄積していくのですが、ブドウ糖と果糖ではその毒性は大きく違うように思えます。

これまでも何度も中性脂肪値の上昇が心血管疾患のリスク増加に関連していることを書きましたが(「中性脂肪が低くHDLコレステロール値が高いと虚血性心疾患のリスクは低い」など参照)、果糖とブドウ糖を比較するとどれほど違うのでしょうか?10週間摂取エネルギーの25%分をそれぞれブドウ糖(グルコース)の飲料で摂取した群と果糖(フルクトース)の飲料で摂取した群で比較してみました。(図は原文より)

上の図は一日の中性脂肪値を表しています。左のAのグラフがブドウ糖群で右のBが果糖群です。どちらの中性脂肪値も朝食後から徐々に上昇して食事毎に食後から5~6時間遅れて中性脂肪値のピークを認めます。そして夜中起床時からおよそ20時間後に中性脂肪値は最低値になっています。

ブドウ糖の群では10週間後もベースラインとはほとんど変化していませんが、果糖群では2週目以降食後の中性脂肪値の増加を認め、食事を重ねるごとに、つまり夕食後が最も中性脂肪値が高くなっています。起きている時間の非常に多くの時間中性脂肪値が非常に高い状態であることがわかります。

上の図は左の3つがブドウ糖群、右が果糖群です。上から順に空腹時のapoBの量、空腹時の小さな危険なLDLであるsdLDL、食後のレムナントリポタンパクの中性脂肪の量を表しています。ブドウ糖群ではsdLDLが2週間後にいったん減少していますが、10週ではベースラインと変化がありませんでした。その他の項目も10週間で大きな変化がありませんでした。一方、果糖群では、空腹時のapoBが増加しました。これはVLDLなのかカイロミクロンなのか、LDLなのかはわかりませんが、それらのリポタンパクやレムナントが増加したと考えられます。そして、sdLDLも増加しています。さらに、食後のレムナントリポタンパクの中性脂肪も増加しています。

ブドウ糖群果糖群
空腹時中性脂肪9.7%増加3.9%増加
23時間中性脂肪曲線下面積32%低下99.2%増加
24時間中性脂肪平均値2.5%増加18.2%増加
食後中性脂肪ピーク値9.8%増加38.1%増加
空腹時コレステロール3.9%増加10.1%増加
空腹時LDLコレステロール3.6%増加13.9%増加
空腹時HDLコレステロール2.4%低下3.5%増加
空腹時apoB3.0%増加27.2%増加
食後apoB6.9%増加25%増加
apoB/apoA11.8%増加22.4%増加
空腹時sdLDLコレステロール13.3%増加44.9%増加
空腹時酸化LDLコレステロール0.7%増加12.8%増加
食後レムナントリポタンパク中性脂肪15.2%増加78.6%増加
食後レムナントリポタンパクコレステロール3.7%増加33.9%増加
24時間遊離脂肪酸平均値9%増加0.9%増加
食後肝臓での新規脂肪産生の割合27.3%増加75.4%増加

(表は原文より改変)

上の表は10週間後にそれぞれのパラメーターがどのように増減したかを表しています。空腹時の中性脂肪に関してはブドウ糖群の方が増加しているのですが、中性脂肪の24時間の平均値やほぼ1日全体の量を表す曲線化面積、食後のピーク値では圧倒的に果糖群が増加しています。

総コレステロールやLDLコレステロールも果糖群で増加していますが、HDLコレステロールに関してはブドウ糖群では低下し、果糖群では増加しています。HDLコレステロールの増加は一般的には良いことのはずですが、注意が必要です。つまり質の問題です。(「HDLコレステロールは高ければ良いってもんじゃない? その4」など参照)果糖群では中性脂肪が増加し、レムナントも増加していることから、このHDLはapoCⅢがくっついた質の悪いHDLの可能性があります。

小さな危険なLDLであるsdLDLは両群で増加していますが、果糖群の増加の方がかなり大きいです。さらに酸化LDLも果糖群では増加しています。レムナントの増加も果糖群では非常に大きく、食後の脂肪産生もブドウ糖群よりも大きく増加しています。

上の図は両群に9週後にOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)を行った結果です。左がブドウ糖群、右が果糖群です。ブドウ糖群ではベースラインと変化がありませんが、果糖群ではOGTTでベースラインと比較して血糖値の上昇、インスリン分泌の増加を認めています。つまりインスリン感受性が低下したと考えられます。

たがしゅう先生の75g果糖負荷試験の2日後に中性脂肪値が異常に高値を示していたのは以前もご紹介しました。今回ご紹介した研究では1日摂取エネルギーあたり25%の果糖を摂取しています。そうすると1日に100g以上となるでしょう。たがしゅう先生よりも1日量では果糖の量は少ないにも関わらず、夜中には中性脂肪値が低下しています。もしかしたら3回に分けて摂取したのと、一気に75g摂取した場合では体の反応が異なるのかもしれません。

いずれにせよ、果糖は猛毒と考えています。糖質はどれも良くはないのですが、果糖が最も危険です。しかし一部で、果糖は血糖値を上げないなどの性質が取り上げられ、健康に良いという方がいます。よく考えて判断しましょう。

「Consuming fructose-sweetened, not glucose-sweetened, beverages increases visceral adiposity and lipids and decreases insulin sensitivity in overweight/obese humans」

「グルコース甘味ではなくフルクトース甘味の飲料摂取は、過体重、肥満のヒトにおいて内臓脂肪および脂質を増加させ、インスリン感受性を低下させる」(原文はここ

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コメント

  1. 山崎勝巳 より:

    清水先生こんにちは

    狩猟時代の果糖は重要なエネルギー
    源だったと思います摂取できる時期
    時間が限られてたと思いますその為
    吸収率が良く肝臓に脂肪として蓄え
    ケトン体として利用していたのでは
    無いのでしょうか?(脂肪貯蔵庫と
    して肝臓は大きくなった)脂肪肝か
    らのケトン体生成が一番効率が良い
    かもしれません。

    • Dr.Shimizu より:

      山崎勝巳さん、コメントありがとうございます

      果糖は決して吸収は良くないと思います。
      また、脂肪肝がケトン体生成に効率が良いというのも私にはわかりません。
      私とは反対のお考えなので、もしよろしければ根拠となる
      文献を教えていただけると助かります。

  2. 澤井 史治 より:

    いつもとても興味深く、優れた記事を投稿くださりありがとうございます。
    とても参考になります。

    2018.05.29の投稿を読ませていただきました。二つ質問させていただきます。

    私は2003年より13年間、可能な限りは夕食のみ糖質を摂らない食生活をしてきました。そして朝食は必ず果物のみを(つまり空きっ腹に)食べるという食生活でした。

    2016年からはスーパー糖質制限を継続しており、果物は基本的にNG食材なのでほぼ食べません。

    私の個人的な感覚ですが、空きっ腹であれば果物は血糖値をあまり上げず(健常人ですが、空腹時血糖値しか測ったことがありません)、体にダメージがあまりないように感じていました。

    ちなみに私の中性脂肪値と、コレステロール値は以下の通りでした。

            LDL   HDL   TG
    H.23.10.19    127   89    57
    H.26.09.03    116   93   44
    H.28.06.22    118   101    28
    H.29.04.28    232   108    37
    (空腹時血糖値は80、ヘモグロビンA1cは5.1くらいでずっと変化なし)

    朝のみ果物を食べる食生活を13年間実践した直後の検査が、H.28.06.22 のものです。
    中性脂肪値が28と、朝のみ果物だけを食するを13年間継続した後が、もっとも低い数値となっています。(朝のみ果物をスタートした平成15年から23年までは、血液検査をしていません)

    スーパー糖質制限を開始後10ヶ月の
    H.29.04.28  の検査が中性脂肪値37と、若干上がりはしましたが、依然低いままです。

    下記は、果物摂取が血糖値にどのような影響を与えるかを、ご自分で実験された方のブログです。

    https://ameblo.jp/balance-club-yokosan/entry-10708924895.html
    スゴイ!果物食べて血糖値が下がる? | 管理栄養士コーゲヨーコの 「バランス喰楽部」

    素人の推測ですが、「果物」は酵素や食物繊維が豊富な状態で食べるのと、果糖の飲料で摂取するのとでは、血糖値に与える影響はまったく違うものである可能性があるのではないか、と考えています。

    この推測は間違っているでしょうか?

    さらに仮にもし、空腹時に食べる果物があまり血糖値を上げないとしても、体内に確実に残る糖質は、体にAGEsを蓄積させるという点においては、やはり果物はなるだけ食さない方がよいと言えるのでしょうか?

    この二点、何卒よろしくアドバイスお願い致します。

    • Dr.Shimizu より:

      澤井 史治さん、コメントありがとうございます

      果物は完全なNG食材だとは思っていませんが、やはりたくさん食べると血糖値が変動してしまいます。
      フリースタイルリブレを使った人体実験 その20 ブルーベリー負荷試験
      変動幅はもちろん個人差があるので、ご自身で確かめないとわかりません。
      確かに、果物を果物として食べると、様々な成分により健康に良い作用があると思われます。
      しかしこれも程度問題ではないかと思います。健康に良い成分が入っているからと言って
      何も考えずにバクバク食べることはお勧めはできません。一日量として果糖が20~30gの果物を摂っても
      多くの方には影響はないでしょう。ただ、ブルーベリー負荷試験のように一度に食べる方が
      悪い作用が出るのではと思っています。分割して食べれば良いのではないかと思います。
      果物の種類にもよるので一概には言えませんが、やはり1回量は少なめの方が私は安全だと思います。

      澤井さんの中性脂肪値に関しては28も37もそんなに違いはないと思います。その前に何を食べたか
      などにも影響されるはずです。

      果糖はAGEを発生しやすいのですが、果物として摂取した場合でも果糖の代謝は同じはずです。
      しかし、何かが違う可能性はありますが申し訳ありませんが私には知識がありません。

      お答えになったでしょうか?