若いのに毛が抜け始めたら気になりますよね。しかし、親を見て、自分の親もハゲだったら「遺伝だから仕方がないか…」とあきらめてしまうかもしれません。恐らく遺伝的な要素は非常に大きいのではと思います。しかし、それと共にホルモンのバランスが大きく関係しているのではと考えられています。
アンドロゲン性脱毛症(男性型脱毛症、AGA)の早期発症の若年性脱毛症はホルモンや代謝異常が関連していると考えられています。女性の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の男性版とも考えられています。(「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対する糖質制限」など参照)
実際に若年性脱毛症の人のホルモンを調査してみると、次のような結果でした。(図は原文より)
コントロールと比較して若年性脱毛症を有する男性において、遊離アンドロゲン指数(FAI)ならびにデヒドロエピアンドロステロン硫酸(DHEAS)、黄体形成ホルモン(LH)、テストステロン、プロラクチンのレベルおよびLH/FSH比が有意に増加しています。卵胞刺激ホルモン(FSH)、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)は有意に減少しています。
これらのホルモンの変動は非常に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を有する女性のホルモンの状態と似ています。
しかし、今回の研究ではインスリン値では有意差が出ませんでした。インスリンの平均値は、若年性脱毛群(6.34μIU/mL)でコントロール(5.09μIU / mL)よりも高かったのですが、その差は統計的に有意ではありませんでした。若年性脱毛群の内12人(21%)がインスリン抵抗性を示し、コントロール群では3人(9%)でした。
インスリン抵抗性は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で必須ではありませんが非常に因子で、多くの人に認められます。私は糖質過剰摂取から来るインスリン過剰分泌、インスリン抵抗性が元凶ではないかと考えています。そのメカニズムは「若い女性はすぐにでも糖質制限を始めるべき」の図を参照してください。
ただハゲるだけなら良いのですが(本人にとっては良いことではないでしょうが)、これらの男性は、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、そしてそこから来る心血管疾患、および不妊症などPCOSの女性と同じリスクに曝される可能性があるのです。(「若ハゲ、若白髪は心臓病のリスクが高い??」参照)
遺伝的な部分では、このようなホルモン変化に対する毛髪の感受性が他の人より高いのかもしれません。感受性が高いことが遺伝しているとすれば、もしかしたら糖質制限をすることにより脱毛を防いだり、遅くしたりできる可能性があります。
糖質過剰摂取はインスリン過剰分泌をもたらし、インスリン抵抗性を起こします。そこから様々なホルモンのアンバランスを来します。「毛が抜け始めたら、糖質制限」してみてください。
「A Comparison of the Hormonal Profile of Early Androgenetic Alopecia in Men With the Phenotypic Equivalent of Polycystic Ovarian Syndrome in Women」
「男性における早期アンドロゲン性脱毛症のホルモンプロファイルと女性における多嚢胞性卵巣症候群の表現型との比較」(原文はここ)
清水先生いつもお世話になっております。
ちょっと気になる事がありメールを致しました。
北海道在住の清水泰行先生(糖質制限しウルトラマラソンを完走される)はグルコーススパイクもさることながら、食後高中性脂肪を問題にされています。(清水泰行先生は中性脂肪スパイクと命名されています)
私は63歳、男子、スーパー糖質制限して2年6カ月なります。
2017年の健康診断では(食後12時間経過)
HDL111. LDL103. TG33でしたが
前年の健康診断ですが
2016年の健康診断では
(食後3時間後)の健康診断の結果は
HDL78. LDL105. TG202でした。
TGのあまりの高さに驚いております。
先生は食後高中性脂肪値をどのようにお考えでしょうか?
空腹時の中性脂肪値が基準値ならばOKでしようか?
はたまた、食後高中性脂肪を問題視されていますか?
むしろ24時間の中で中性脂肪の値の平均値を考えなければならないのかとも思っています。
先生のお考えをお待ちしております。どうかよろしくお願いいたします。
ジェームズ中野さん
他の先生への質問を間違えて書き込んだのでしょうか?
そうであれば削除しますか?
もちろん私は食後TGスパイクはリスクだと思っています。